第20話 Rest in peace~決別

墓石の横 添えた花

愛すべき悪友は土の中


線香の代わりに煙草に火をつける

水の代わりに

リキュールの瓶を開けて

墓石に降りかける

素面では生きることができなかったお前は

今きっと聖水を浴びているような気分だろだろう


振り返れば 

お前の人生は

言い訳ばかりの人生だったよな

グダグダと愚痴は垂れ流す癖に

一歩も前に踏みだそうとしない


人に言えないような罪も犯した

悪さからじゃなく

弱さから罪を犯すお前は最低の人間だった


だから俺は鏡に映る お前を殺した

鏡を見る度に反吐が出そうだったから


血まみれになった拳を何度も振るって

お前を殺した


恨まないでくれよ

どうか安らかに眠ってくれ

そして二度と目を覚まさないでくれ


顔も見たくないと思っていたが

不思議と今は愚かなお前の姿を懐かしく思う

俺が強くなれたのはきっとお前のおかげなのだろうな


墓地を去る時

通りすがった人に「故人とはどのような関係で?」と尋ねられる

私は振り返って「私です」と答える


「今日は大嫌いな自分が死んだ命日なんです。」







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