第18話 答案用紙
正解か不正解かもわからない
答案用紙の空欄を埋めるように
私達はそれが正しいのかもわからないままに
行動し時を埋める
ある者は掴み
ある者は逃す
答案結果が返ってくるまで気が気でない
私は未練たらしくも
自分の書いた回答を何度も確認する
何処かで選択を間違えたのではないだろうか?
その間違った選択が私を最悪の場所へと連れて行くのではないか?
そういった不安は膨らみやすいもので
私はそれでよく知恵熱を出す
人生を試験時間に例えるには
人生はあまりに長く
その答えはひどく抽象的だ
そして私は今人生についてなど語りたくない
なぜなら私はまだ人生の半ばにいるから
富士を五合しか登っていない者に
一体富士について何を話せというのか?
人生の意味を知るものは死んだ者だけである
しかし死んだ者に話を聞けないのだから
なるほどこれはよくできたシステムだと私は思う
どうやら神は私達にカンニングをさせる気がないらしい
だから私が語りたかったのは
私の人生ではなく未来だ
私は私のあるべき未来のために
行動するのだ
今こうして心の赴くままに綴っている文章もそうである
詩であれ小説であれ
私は私の時間
すなわち命を削って
正解も不正解もわからないままに
空白をひたすら言葉で埋めているのである
同情を買いたいわけではなく
これは決意表明なのだ
私は正解・不正解にかかわらず
これからも書き続ける
空白を埋め続ける
今はまだ 誰の物でもない
満点の名無しの
手に入れるために
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