第13話vintage /いびつな字で書かれたノート
vintage /いびつな字で書かれたノート
白紙のまま棒にくくりつけて
見せびらかすように振ったとしたら
それはきっと僕の人生を降参してしまうことになる。
何故書くのか?その問に答えられないまま
今日も汚い字で罫線の隙間を汚すのは「なぜ生きるのか?」その答えを見いだせないままに人生をただイタズラに汚していく日々に似ている。
少し悲しいことだけど、僕の人生がすぐにゴミ箱行きになることを前提で買われた安っぽい白いTシャツのようなものだとしたら、せめてその汚れはハンバーグソースや友人との別れ際に泣きじゃくりながらhugした時についた涙や鼻水の染みであって欲しい。
もし誰かがその年季の入ったシャツを指差してボロ雑巾だと笑ったとしても、笑い返して「いやこれはヴィンテージだよ」って言えるくらいの自尊心は保っていたい。
僕が白紙のままそれを放っておけば、きっと誰かが予定帳やメモ書きなんかに使ったりして、そんな風に有意義に使われた方ノートも幸せなのだろう。
それでも僕はあえてため息のあとについて出た本音の吐露をインクで白い紙に落とす。
僕の作品を読んだある人は言う
そんなのはただのボロ雑巾でしかないのだと。
そんな時、僕は笑ってこう言い返すのだ。
これは世界に2枚とない僕だけの染みがついたヴィンテージ作品なのだと。
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