第9話 Traffic jam /停滞
Traffic jam /停滞
屋上の手すりに乗りかかって
海岸線まで続く渋滞を見下ろして2人笑ってる時は
まさか自分達があの中にいるなんて思いもしなかった
勢いよく滑走路を加速した機体は
そのまま離陸して
渋滞に巻き込まれたマヌケなドライバー達の上を飛び越えて
遠い空へと消えていくはずだったのに
俺らは飛べずに こうしてこの大渋滞の中
携帯で連絡を取り合っている
思うんだ
きっと俺らの目の届かないどこか遠くで
好き勝手に ブレーキを踏んでる奴らがいる
運転席から見える大型トラックは
馬鹿でかいエンジンをもてあまして
一人唸る
でも だからといって my friend
焦って飛び出したりしないで欲しい
おまえに
中央分離帯で横転してる事故車の二の舞にだけはなってほしくないんだ
電話を切った後 俺逹はきっと大きな溜息をつく
バックミラーにイラついた目を写して
ポケットからチューイングガムなんかを取り出して
気持ちを落ち着かせてる
2020年
ラジオから飽きもせず流れ続ける traffic jam 真っ只中
それでもサイドブレーキを引かずに
ブレーキパットの上に足を置いたまま
アスファルトの照り返しでできた蜃気楼のその先を睨んでいる...
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