第8話 sunset


行き道より重い足取りで歩く帰り道


オレンジの陽だまりが緊張した心を溶かして

雪解け水のように冷たい涙が流れた


失敗だらけ いいところなしの僕にさえ彼女は頬を寄せて 今日を生き抜いたご褒美にと オレンジのキスマークを残す


誰もが眠る前に霜のついた心を

かざすことが許される暖かな暖炉


凍てつく夜に弱い心が晒されれば

いとも容易く砕け散るから


オレンジの炎を虚ろな瞳に映しながら絨毯の上で横たわる シェパードように

ベンチの上に寝転がって あなたを眺める


夜空があなたを隅へと隅へと押し流しても

あなたは最後の最後まで名残惜しそうに 空の奥を紫色に染める


見送ったあと思わず呟く

miss you no

See you.....




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る