第7話 マスメディア
ここにくる途中
近所に住む子供達が唄う
童謡を聞いたよ
黒いローブを着た連中が
闇に紛れて
シャッターを切り
他人の人生を奪っていく
お伽話だとしても
本当にそんな連中がこの世界にいたら怖いね
広場の中心にある高台に
かつての英雄が登っていく
読み上げられた罪状も
燃えさかる夕日も
今日はやけに芝居がかって見える
シェークスピアが今の君を見たら
悲劇と呼ぶのだろうか?
それとも喜劇と?
どちらにせよ
それは茶番劇に終わって
恥を隠すために
重々しい幕が下ろされるのだろうね
高台の影で
高級な服を身に纏った
ふくよかな男達が談笑する
彼らの持つ空の黄金の杯には
一体何が注がれるのだろう?
ズボンの上に乗っかった脂肪は
誰の肉を喰らって
得たのだろうね?
悪夢を見たくなかったら
馬鹿なことは考えず
灯りを消して早く眠ろう
僕らの被る神妙な顔のお面は
夜祭で売られているやつみたいに
安っぽくて不完全
欠けた円形闘技場から
笑みを浮かべた怪物が
死刑台の上に立つ男を覗いてる
文明がどれだけ進もうと
人民が求めるのはパンとサーカス
闘技場の真ん中に立って
怪物と対峙する
勇敢な剣士なんて
きっと どこにもいないね
毎日行われる公開処刑
夕日は何度も過ぎ去るのに
メロスは訪れない
冷たい笑みを浮かべる聴衆の中を
半裸で駆け抜ける
正直者がいるなら
安全な場所から一歩も出ない聴衆をよそに
君と殴り合いたい
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