第32話 アナト、名付け親になる
ロープを伝って上から降りてきたのはエアバニーと特殊攻撃部隊『D』の合わせて5人だ。
ショウは指名手配を受けているのですぐに身構えた。
そして底に着いた彼らの中で一人、エアバニーがすぐアナトに気付いた。
エアバニー「げ!やっぱりアナト!」
アナト「随分な言い様だなエアバニー。しかし他守を指名手配とはやってくれたな。」
エアバニーはヤレヤレといった感じでため息をつき
エアバニー「はぁー。。まあ、そう言ってくれるなよ。そうでもしないと83区系の奴らのロビー活動が酷すぎてサークルアンデッドの施設には入れないだろ?政府も裁判所も今や81区はロビイストだらけだ。」
アナト「まぁな。。この区は異常だ。」
エアバニー「今回は報道機関も連れてきたしサークルアンデッドの内情を世間に流せると思ったんだが。。木っ端微塵だな。。」
アナト「奴らが実験体にしていた者たちは他守は殺さなかった。」
エアバニー「そいつが他守ショウかい?」
エアバニー「大人しく渡してくれ。。ないよな?」
アナト「無理だな。」
エアバニー「はぁ。。だよねぇ。。」
エアバニー「他守君、おじさんと来る気は。。無さそうだね。。」
ショウは完全に警戒感を顕にしている。
エアバニー「あー!待った!指名手配はホラ!取り消すから!」
ショウ:??
そこに不思議そうに顔を見合わせた隊員達はエアバニーに詰め寄る。
剛本「隊長、今回の捜査対象の被疑者。。なぜ拘束しないのですか?それにあれらはイシュタラではないのですか?」
エアバニー「それは必要ない。」
剛本「はぁ?」
エアバニー「あの頭にエンブレム浮かべてる奴や後ろの転がってる連中はサークルアンデッドの人体実験の被害者だよ。」
剛本「どう言う事ですか?」
エアバニー「お前は志願してナノマシーンの適合者になったが彼らは違う。サークルアンデッドに知らない間にナノマシーンを植え付けられて無理矢理ここで実験台にされていたんだ。」
剛本「無理矢理。。」
アナト「おっと、言い忘れていたがそれ以上近づくなよ。私達はサークルアンデッドの開発した体内のナノマシーンを媒体とする病原体に侵されている。」
エアバニー「なんだよ?それ?」
アナト「かかると自然治癒はまずしないそうだ。」
エアバニー「じゃぁお前らは何で平気なんだよ?」
アナト「答えは簡単だ。私達はその病原体に勝ちうる新しい能力を得たと言うことだ。」
アナト「まぁ、お陰で死ぬところだったがな。。」
エアバニー「アナトが?まさか。。?」
それからエアバニーの視線はアナトの胸元へいく。
エアバニー「で、さっきから気になってたんだが。。その抱いている赤ん坊はなんだ?」
エアバニー「。。まさか、お前の。。?」
アナト「勘違いするな!馬鹿かお前は!?」
アナト「この子はここの実験体だった一人だ。この子に病原体に対するチカラを移譲されて私は助かったのだ。」
エアバニー「ふーん。。で、随分弱ってるみたいだけど。。大丈夫なのか?」
その名前のない赤ん坊はアナトにナノマシーンウイルスに打ち勝つ能力を移譲した事でかなり弱っていた。
アナト「そうだった。。他守、そのミネルバと言う者にこの子を回復させて貰えないだろうか?」
ショウ「ああ、いいけど今なら俺も回復魔法ぐらい使えるぜ。」
ショウ「それよりアナト。。エアバニーとエラく親しげだな。。?」
アナト「まあな。腐れ縁だ。さ、早く頼む。」
ショウ「分かった!」
そう言うとショウはまた魔法詠唱のポーズに入りる。
ショウの足元に緑色の魔法陣が現れると「キュアオール!」と叫んだ。
するとそこの周りにいた人々の体力や怪我が見る見る回復した。
赤ん坊の顔色もすっかり良くなって呼吸が安定する。。
小町「凄い。。」
小町はあっけに取られて思わず身を乗り出す程に驚いていた。
アナト「礼を言う。」
ショウ「その子の名前は?」
アナト「名はないそうだ。」
小町「そんな。。可哀相。。」
ショウ「じゃあさ、アナトが付けてやれよ。」
アナト「!!私が?」
ショウは頷(うなず)く。
アナト「そ、そんな急に言われても。。」
アナト「。。。そうだな。。」
アナト「こいつは私の命の恩人だ。。」
アナト「よし、決めた!オンジにしよう!」
ショウ:待てーーい!
ショウ:何そのじいさんみたいな名前!!
アナト「お前は今からオンジだ!」
赤ん坊「オンジ。気に入った。ありがとうアナト!」
ショウ:いいのかーー!?
ショウ「つーか喋れるのか!?その赤ん坊!?」
オンジ「ボク、今日から、オンジ!よろしく!」
こうして名前のない赤ん坊の名前は『オンジ』に決定した。
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