第33話 これからの事

100名程の人体実験の被害者達もショウとミネルバに順に回復してもらい全員息を吹き替えしていた。



その様子を見てエアバニーは「しかし便利なものだなぁ。。俺にも使える様にならないかな?」



アナト「お前には無理だな。多分私にも。。」



エアバニー「何でだよ?」



アナト「例えばお前は電撃は使えても炎は出せないだろう?」



エアバニー「それが?」



アナト「空気中に酸素があっても燃やす炭素がないからだ。自らの脂肪を非効率に燃やして攻撃する生物などいない。」



エアバニー「つまりなんだよ?」



アナト「他守はそもそも全く存在していない物やあの娘(ミネルバ)の様に生命でさえデタラメに生み出している。さらに生物的あるいは機械的な何の技術も介さずに治療を実現している。」



アナト「つまりそんなデタラメなチカラにはデタラメに強力なティアマトとのリンクが必要だと言うことだ。」



アナト「まともにティアマトのチカラも宿せないお前では到底無理だ。」



エアバニー「ふーん。。そいつは残念!じゃぁいいさ!」



アナト「ところでエアバニー、私は他守や他の実験体を見てきた。それでひとつお前に聞きたい事があるのだが。。」



エアバニー「なんだ?」



アナト「サークルアンデッドの被験者は皆排泄行為を代替するために幼児のオムツのような『臓器?』を有している。」



エアバニーは被害者達を見る。



確かに人種、亜人種はみなランニングにオムツの様な出立(いでたち)だ。



ゲームで装備を解いたときに肌着になるアレだ。



しかし、このファーストアドベンチャーのそれはかなり不格好だ。



しいて言うなら女子もオムツである。



アナト「そこで聞くが。。エアバニー。。お前も。。やはりオムツなのか?」



顔をそむけたまま小刻みに震えながらアナトは聞いた。



エアバニー「何笑ってんだよ!」



エアバニー「俺はサークルアンデッド被害者じゃぁねぇよ!そんな無駄設定はねえ!」



アナト「ちっ。。そうか。」



エアバニー「。。。舌打ちすんなよ。。」



エアバニー「で、他守ショウ達をどうする気だ?そんな強力なチカラを何に使う?」



アナト「。。。」



アナトは無言でバアルを見上げた。



バアルは、美しい羽を広げたまま、神々しく宙に浮いたままだった。



その輝くオレンジ色のオーラでナノマシーンウイルスから身を護りながらもアナトの忠告通り距離を取っている。



その姿が一層彼を神秘的に見せていた。



バアル「アナト、これからの事で話がある。他の者達も聞いて欲しい。」



アナト「はい。兄様。」



バアル「まず、その病原体に侵された者達は悪いが一度隔離させてもらう。」



アナト「もちろんです。」



バアル「その上でオンジ君、君に協力してもらって血清剤を作りたいと思う。君も全員に移譲してまわる訳にはいかないだろうからね。」



オンジ「わかった。オンジ。協力する。」



バアルは頷くと100人はいたであろう彼らを一瞬で消し去った。



ショウ「アナトと同じ。。?」



エアバニー「!スゲェな。。おい」



バアル「それから他守ショウ君」



ショウ「あ、はい。」



バアル「君は僕たちの世界へ来て欲しい。きっと学ぶ事が沢山あるはずだ。」



ショウは真顔になって答える。



ショウ「はい。。もう、僕には多分他に道はないと思います。。」



エアバニー「おいおい他守君、イ特に来てくれてもいいんだよ?悪い様にはしない。」



ショウ「すいません。指名手配になった時、この世の全てが敵に見えました。今更そこへ行きたいと言う気持ちにはなれません。」



ショウ「こんな事になってアナトと出逢って、アナトだけはいつも味方で本当の事を言ってくれてたと思います。」



ショウ「だからアナトが行くところならそこに行きたいと俺は思います。」



アナトは頷(うなず)いて言った。



アナト「一緒に来い。」



アナト「廃核の海の底。我がイシュタラの世界へ」



ショウ「うん。うん?え?イシュタラ?」



ショウ「えええええええええええ!!!???」

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