第26話 超人の闘い

医療班の車の中のベッドで横になっている東風平(コチンダ)



そこは一般的な救急車のような設備を持った、それでいて複数人収容出来るもう少し大きめの車両だ。



そこに今、正に10階へ向かおうとしていたショウから東風平(コチンダ)へ直接会話が入っていた。

東風平(コチンダ)→ショウ:「施設のすぐ外です。だ、大丈夫です。他守さんは大丈夫ですか?特別集中治療室へは?」

必死に元気そうに振る舞う東風平(コチンダ)にショウはわざわざ10階へ行くことを告げる。



ショウ→東風平(コチンダ):「な、何か行かなくて済んだんですがやっぱり行くことになっちゃって。。でも大丈夫です!すぐそっちに行くんで待ってて下さい!」

東風平(コチンダ)「え?」



ショウ→東風平(コチンダ):「ごめんなさい!もう行かないと!」



と、突然ショウは会話を切ってしまった。



東風平(コチンダ)→ショウ:「他守さん!あの、他守さん?!。。。」



東風平(コチンダ):だめだ。。。繋がらない。。。他守さん。。10階へ行ってはいダメです。。



東風平(コチンダ)はそのまま意識が遠くなっていった。







外では、エアバニーが東風平(コチンダ)に言われたとおり池の外周にある芝生が唯一切れている場所を見つけ、そこに向かおうとしていた。



笹原はしばらくは様子を見たがエアバニーがハッキリとそこに向かっていると認識した時、その瞳に覚悟を決めた。



エアバニーの歩く背中に向けてゆっくり手をかざし、アナトがやった様な電撃を放った!



流石にアナトの様な威力はないがカミナリの様な電撃が雷鳴と共にエアバニーを襲った。



しかし、エアバニーは振り向いて両手でそれを受け止め、かき消した。



笹原「き、貴様!適合者か?」



エアバニー「お前、今何て言った?」



笹原「。。。!」



エアバニー「何の適合者だ!?え?」



そう言うとエアバニーは笹原の方を向いたまま、後ろ向きにその芝生のない部分から池に飛び込んだ。



笹原「クソッ!」



と、エアバニーを追いかけて笹原も池へ飛び込む。



しかし二人とも水しぶきも上げることなく、すっと霧の中に消えるかの様に池の中に消えていった。



沢田レポーター「これはどう言う事でしょう!?」



イ特隊員に制止されて近づけないものの興奮気味にレポートを続ける沢田えり子レポーター。



沢田レポーター「先程、施設警備責任者の男性からカミナリの様な稲妻が走り、エアバニー隊長に命中したかの様に見えました!」



沢田レポーター「その後、二人とも池の中に入っていったようですが一体何が起こっているのでしょう!?」



池の下ではそのまま戦闘が始まっていた。



高速で動く二人。



時折ぶつかり合いお互いを殴りつける。



目で追えないぐらいの速さだ。



エアバニー「やるねぇ!これならどうだ!?」



エアバニーが手刀を降るとカマイタチが起こり三日月状の真空派が笹原を襲う。



寸での所で笹原は避けるが逸れた真空派は柱に当たるといとも簡単に鉄筋コンクリートの柱を真っ二つにしてそのまま突き抜けて後ろの壁にぶつかりその壁にも大穴を空けた。



エアバニーはニヤリとして「ほらよ!」



と今度は連続で何発も真空派を撃った。



笹原もさすがにそれは避けきれず腕でのガード越しに数発命中!



しかし腕にダメージを与えられつつも笹原は耐えた。



汗が滲み出る笹原。



しかし、その傷を負った腕は見る見る回復する。



エアバニー「ほー!よく耐えたなぁ。頑丈な奴だ。」



笹原「エアバニーさん。噂以上ですね。超人的だとは聞いていましたが、本当に人を超えていますね。」



強がりなのか辛そうながらもニヤリとする笹原。



エアバニー「人をバケモンみたいに言うなよ?お前も十分超人だろ?」



笹原「どうも!」



そう言いながら今度は笹原が攻撃する。



特殊能力では分が悪いと見た笹原は元々能力値の高い肉弾戦で勝負に出る。



柔術を入れた総合格闘技スタイルだ。



エアバニーも格闘技はやるが打撃専門だ。



と言うのも、エアバニーにとって柔術の練習で汗だくの男同士で組み合う(抱き合う)と言うのがどうしても肌に合わないのだ。



詰め寄られて至近距離に来られると大技が出しにくく掴まれると組技に自信がないエアバニーには不利。



エアバニーにしてみれば、とにかく距離を取りたかった。



しかし笹原は執拗に下から潜りこんでタックルに持っていこうとする。



その度に、膝蹴りの素振りやジャブを出してタックルを牽制しながらエアバニーはフットワークを使って自分の距離に持っていこうとした。



といっても二人とも『超人的』な速さである。



そこら中の壁や床に傷や穴を開けながら激しい激突は常人には殆ど目で追えないぐらいのスピードで繰り広げられていた。



一方、池の外の地上でもエアバニー達が戦闘に入った事を受けて銃撃戦が始まっていた。



エアバニーに続こうとする隊員とそれを阻止しようとする施設の男達といった構図だ。



イ特隊員は沢田レポーターに危険なので下がるように言うか逆に好きを見て一番激戦の池のガラスの自動ドアのある正面入り口付近の茂みに彼女は潜入していた。



小声でレポートする沢田。



沢田レポーター「皆様、私は今エアバニー隊長と施設の責任者が消えた池の近くに来ております。」



沢田レポーター「ご覧頂けますでしょうか?激しい攻防が繰り広げられています。」



その時、沢田の目に信じられない光景が飛び込んできた。



沢田レポーター「え!?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る