第12話 成長とクラスチェンジ
期末試験でのシンヤ・クシナダへの敗北を経て、レオンは2ヵ月で見違えるほどに成長していた。
だが……強くなったのは俺も同じである。
バスカヴィル家を継いで、道を踏み外した犯罪者との戦いの日々。仲間を率いて魔物や魔王軍と戦っているうちに、俺だって成長しているのだ。
――――――――――――――――――――
ゼノン・バスカヴィル
ジョブ:
スキル
剣術 75
闇魔法 73
調教 85
魔法剣 70
体術 69
魔力強化 72
夜血 65
大物殺し 62
身体強化 50
異常無効 ―
即死無効 ―
成長加速 ―
――――――――――――――――――――
上位職になったことで所有できるスキルの数が10から15に上がった。残りの3つの枠は終盤に手に入るスキルのために空けてある。
スキルオーブの使用、イベント攻略によって新しいスキルも取得している。
魔王攻略に必要なスキルの熟練度は平均で80くらいだったため、俺の力はあと少しで魔王討伐に届きうるステージにまで至っていた。
相も変わらず、【調教】スキルの伸び率が高いのが恐ろしいところだったが……。
新しく修得したスキルの中でも特色しているのは【夜血】と【大物殺し】だろう。
【夜血】……まるで吸血鬼の特殊能力のような名前のスキルだが、実のところ、このスキルの詳細は俺もよくわかっていない。
これは『夜王』にクラスチェンジしたときに修得したスキルであり、名前から察するにレオンが持っている【勇血】のスキルの対になるもののようだ。『冥将獄依』もこのスキルが『50』になった際に覚えた。
【大物殺し】はボスモンスターを一定数倒すことにより修得できるスキルで、大物──すなわちボスモンスターに与えるダメージ量が上昇する。
熟練度が高ければ高いほどに効果は増し、『62』ということは単純にダメージ値が62%上昇することになる。
かなり強力なスキルだったが……トドメを刺した者にしかカウントされないため、パーティーで修得できるのは1人か2人だろう。
我ながら随分と強くなったと思うが……俺だけ強くなっても意味はない。
いくらスキルの熟練度を上げたところでソロプレイで魔王を倒すのは至難である。
もちろん、仲間だって十分に成長させなくてはいけない。
――――――――――――――――――――
ウルザ・ホワイトオーガ
ジョブ:
スキル
身体強化 62
剛力 65
槌術 61
命中強化 45
耐久強化 52
威圧 60
鬼喰い 40
体術 35
速度強化 28
自然治癒 37
異常無効 ―
即死無効 ―
――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
エアリス・セントレア
ジョブ:
スキル
治癒魔法 65
支援魔法 63
結界術 60
詠唱加速 50
魔力節約 53
守護障壁 45
蘇生付与 33
物理耐性 25
幸運 35
隠密 35
異常無効 ―
即死無効 ―
――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
ナギサ・セイカイ
ジョブ:
スキル
刀術 73
身体強化 70
速度強化 69
魔法耐性 45
致命攻撃 51
人斬り 35
貫通攻撃 33
吸収攻撃 32
物理耐性 35
怪物殺し 30
異常無効 ―
即死無効 ―
――――――――――――――――――――
この1ヵ月で、ウルザは『羅刹』、エアリスは『聖女』、ナギサは『剣豪』にそれぞれクラスチェンジしていた。
熟練度の成長が俺のほうが速いのは、『わらしべ長者』ラリーで入手した『成長加速』のスキルを修得しているからである。
クラスチェンジをするとジョブごとに固有のスキルが手に入るのだが……3人はそれぞれ【鬼喰い】、【蘇生付与】、【人斬り】を修得していた。
『羅刹』の固有スキルである【鬼喰い】という物騒な名前の能力は、敵への攻撃に体力の吸収効果が付与される効果がある。
敵に与えたダメージの一定%分の体力を回復できるため、攻撃と回復が同時にできる非常に有用なスキルだった。
『聖女』の固有スキルである【蘇生付与】は、通常の治癒魔法に戦闘不能からの回復効果を付与することができるものだ。
魔王クラスの強力なボス戦では何度も戦闘不能に陥ってしまうことがあるため、魔力の消費の激しい蘇生魔法の使用を抑えることができる。
蘇生効果は全体治癒の魔法にも及ぶため、一度に複数の人間を蘇生させることも可能だ。
『剣豪』の固有スキルである【人斬り】、これまた物騒なスキルであったが、人型の敵に対するダメージ量が増加する。
対象があくまでも『人型』のため、人間だけではなく人型をした魔族などにも有効だ。
魔王を含めて、魔王軍の幹部は人間に近い姿をしているものが多いため、シナリオ後半のボス戦の大部分で使用することができる。
全員が【異常無効】と【即死無効】を修得しているのは、シナリオ終盤に出てくるモンスターが状態異常や即死攻撃をよく使ってくるからだ。
これらのスキルは特定のイベントを攻略すれば何人でも、何度でも修得することができるため、全員に覚えてもらっている。
3人の仲間もかなり育っているが、まだ魔王と戦えるだけの熟練度には届かない。
それでも、3人で力を合わせて戦えば、俺の力を借りずとも魔王軍の幹部くらいは倒すことができるだろう。
とはいえ……いくら俺と仲間達が成長したとしても、それだけでは魔王は倒せない。魔王を倒すための重要なピースが欠けている。
勇者の血……魔王を封印することができる唯一の力が俺達には足りていない。
そのため、俺はバスカヴィル家の力を全面的に使って、レオン以外の勇者の子孫を捜索させている。
今日の放課後、ちょうど捜索部隊の責任者からの報告を受ける手はずになっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます