小噺「さすがに傷つくことだってある」

【さすがに傷つくことだってある】

(第四章 第5話「妖しい挑戦状」)


 トウカたちはシラバミから贈られた謎の木箱を開けるため、鍵師の少年アサヒのもとへ訪れていた。アサヒは苦労の末に、その木箱を開けてみせた。

 中に入っていたのは可愛らしい金平糖。


「てっきり虫とか入っていたらどうしようかと思っていたんだけど、そんなこと考えちゃって申し訳なかったかな」


 トウカはそんな言葉をもらした。

 そのとき、床下で涙を流す者がいた。


「え、ボクそんな風に思われているの。さすがのボクでもそんな陰険なことしないし――、というか今回はトウカちゃんに楽しんでもらいたかっただけなんだけどなあ――」


 もしかして、ボクは本格的に嫌われているのだろうか、と一人床下で思ったシラバミだった。


(了)

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