小噺「仲間外れ」

小噺「仲間外れ」

(第三章 第7話「湖の儀式」)


 トウカはあやかしが嫌い。だが、分かっているのだ。

 本当は、あやかしのすべてが悪いわけではないのだと。

祖母の式神も、ウツギも、ポチも、ヒサゴも、みんな素敵なあやかしだと思うのだ。みんな優しい――。


 このとき、トウカの頭の中にとあるあやかしの顔が浮かんでいたが、トウカは無視をした。彼はトウカの中で、「優しいあやかし」の枠には入らなかった。

 むしろ嫌いな部類だ。


「――うん、シラバミさんはないな」


 くしゅん、とどこかで菫色の髪をしたあやかしはくしゃみをした。


(了)

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