第6話……の裏側で
「はぁぁぁぁ、しかし居候する事になるとはねぇ……湯真? 分かってると思うけど、これはチャンスであり危機よ?」
「知ってるって。2人で居る時間が長いとなれば、ちょっとしたキッカケで……」
「「正式に付き合うことになる」」
「それだけは……」
「なんとしてでも……」
「「阻止っ!」」
まぁ結局の所、その具体案は浮かんでない。ただ、今までもこれからも手を組んで戦う事に変わりはない。
俺は海真の情報を、恋桜は凜桜の情報を提供する事でわずかな隙間に徐々に潜り込んで行く。
誰かが言っていたっけピンチはチャンス。
だとすれば、この状況を絶好の機会に変えてやる。
「恋桜!」
「湯真!」
「これからも……」
「「よろしく!」」
―――屋上で湯真と恋桜が握手を交わしていたその頃―――
「ねっ、ねぇ海真? 聞こえる? 2人なんて言ってるか聞こえる?」
「いや、よく聞こえない」
「えぇ、どうしよう。まさか居候生活が始まったばかりで告白なんてないよね?」
「どうだろう。湯真の奴ここぞという時に強心臓だからな」
「えぇ! ダメだよ。それで恋桜と付き合っちゃったら私……」
「おっ、俺だって恋桜が湯真と付き合ったら嫌だぞ!」
「どうしよう。やっぱりあの2人仲良いもん。ずっと一緒だし、クラスだって……」
「そりゃ見てりゃ分かるって。けど……」
「いざ恋桜を目の前にすると……」
「いざ湯真を目の前にすると……」
「滅茶苦茶緊張するんだよなぁ」
「顔が熱くなる位緊張しちゃうよぉぉ」
「「はぁぁぁぁぁぁ」」
「……あっ!」
「っ! やばっ、誰か来るぞ」
「とっ、とりあえず下にっ!」
「かっ、階段降りよう! 急げ!」
ガチャ
「おっ、湯真!」
「屋上行ってたの? 湯真」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「……っと、行ったな?」
「うん。ビックリしたぁ」
「屋上に居る恋桜もいつ降りてくるか分からないな」
「海真? 屋上行って2人きりで話すチャンスじゃ……」
「ばっ、馬鹿! 急にそんな事出来る訳ないって! 凜桜だって分かるだろ?」
「ごっ、ごめん! だね、私も同じ立場だったら絶対に……無理」
「でも、こうなった以上そんな悠長な事言ってる場合じゃないんだよな? しかも今の状況……結構ピンチだぞ?」
「……居候だもんね? 必然的に2人になる時間も増えちゃう。そしたら……」
「気が付いたら」
「付き合ってたなんて」
「「最悪な展開も有り得るっ!!」」
「それだけは……」
「なんとしてでも……」
「「阻止っ!」」
「となれば」
「やるべき事は1つだよね!?」
「凜桜!」
「海真!」
「これから……」
「「頑張ろうっ!」」
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