第5話 バラック小屋暮らし 後編

 ノアの号令で始まったタイマン。俺はバットを振りかぶり相手に向かって突っ込んだ。相手は大振りで俺に向かって剣を振って来た。俺はすかさずバットでガードする。


 カキーン!!


バットと剣が当たり橋の下響いた。


 相手の振りが大きかったため、隙を見つけ俺はバットを振りかぶり


 「ホームラン!! 」


 ボコん!


という音とともに


 バキッ!


という音も聞こえた。男はその場に倒れ泡をふいた。が、俺は倒れた男の腹を蹴り続けた。あまりにも蹴り続けるので、見ていた男二人が


 「兄貴ぃ!! 」

 「ちょ! すみませんお兄さん! 勘弁してください! 」


二人は焦って止めに入るが、

 

 「やかましゃあ! 今忙しいねん! 」


と言いつつ腹を蹴り続ける。


 俺の気も済み蹴るのをやめた。いつもの癖で男の服のポケットを漁る。すると巾着袋の中に小銭が入っていた。俺はそれを没収し男二人の持ち物検査をし同じ小銭を持っていたので没収した。この世界に来て初めて手に入れた資金になる。


 没収した後、男達に二度とこないよう言いつけ帰らした。


 「なぁ、あいつら誰なん? 」

 「実は…… 私の借金取りでして…… その…… 2ヶ月ほど滞納してまして…… だからですね取り立てにきまして…… 」


ノアは立ち上がり目を合わさず、モジモジ説明した。俺は再度怒りがこみ上げ


 「で? ほんでなんや」

 「だからですね…… 取り立てに来ました…… 以前から頼りになる冒険者に取り立てを追い返してもらおうと思って集会場に出入りして頼み込んだんですが、みんなに断られてまして、心が折れかかった時に転生者様の貴方様が現れ勢いに乗って説明せずに連れて来て追い返していただきました…… 」


あほやコイツ…… 全部話したら余計怒られるのに…… 俺は別の意味であきれ返った。俺はノアを土下座させ説明を続けさした。


 「で、ですね…… この小屋暮らしも前に住んでいたところを追い出されてゴミ捨て場にあった廃材から作って建てました」

 「ほんで借りた金は何につこてん」

 「えっとですね、酒場と服です。主に酒場で消えました」

 「え?酒場って17歳でも行けんの」

 「何言ってんだ! 行けるに決まってるぞ! 」


 ゴン!!


いつものしゃべり口調に戻ったのでゲンコツをしてやった。


 「ほんでぇ、あいつら仕返しくるんちゃうん? ヤクザとかそんなんちゃうやろなぁ」

 「ヤクザ? なんですかそれ? 」

 「その様子やとこの世界にはおらんようやな。取り敢えず、あいつらの仲間は?」

 「いません! あいつらはこの町のゴロツキです! 」

 「なんやチンピラかいな」


 ノアに全部説明させ俺は話を全部理解した。どうも遊ぶ金欲しさにチンピラから金を借り利息が膨らみ家賃も払えず追い出され、廃材で小屋を建ててココに住み俺を利用して追い返した。クソまな板女め!! これから先が心配になって来た。パティーを解散をとてつもなくしたくなってきた。そんなそばから


 「雷斗! 雷斗! 」

 「なんや? 」

 「これからもよろしくな! 」


 ゴン!!


もう1発ゲンコツを入れてやった。


 その日俺は畳1畳ほどの家の中で横になり深く眠った。ノアはというと家の横で縛り上げ土下座させて夜を過ごしている。

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