第4話 バラック小屋暮らし 前編

 俺の名前は吉田雷斗。俺はノアに紹介されてノアの家にきた。そこは町に流れる川に架かる橋の下にあるバラック小屋。俺はそれを見て今唖然としている(以後この部分をカットします)


 「なぁ、ほんまにココに住んでんの? 」

 「あったりまえだろ! ここが私の家だ! 」

 

あぁまじなんか。まず、見かけでいうとつぎはぎだらけの小さな小屋で中を見ると外の光が隙間から入ってくる。広さはというと畳一畳分。そこに毛布のような物をひいているだけ。


 俺は少し疑問に思った。ヨーロッパの町並みで平和そうな町なのに何故コイツだけこんなバラックに住んでいるのか。何か深い闇があるのかなどコイツ自身訳ありなんだろうと考えていた。直接本人に聞いてみようと思ったが、聞きづらかった。


 異世界に来て初めての夜。俺は狭い小屋の中でノアにこの世界について色々聞いてみた。


 「なぁ、この世界ってどうなってんの? 」

 「ん? この世界は魔界と人間界で分かれてんだ! そしてここマルケンは魔界に近い町だ! 人間界はもちろん人間の住む世界。町があって、領主がいて、森があって動物、綺麗な川と海がある! 魔界は魔界人と魔獣の世界なんだ!あそこがどうなっているかは誰にも分からない。でも魔獣と魔界人の確認は取れてんだ! 時々人間界に入ってくる! 」

 「どうなっているかみたいもんやな。誰も知らんのやったら一番に知ってみたいな。時々入ってくるって、ええんかいな」


俺はアニメのような話で小笑いしながらそう言った。

 

 しばらく間があいて、ノアが悲しそうな顔をして口を開いた。


 「雷斗……」

 「ん?なんや?」


俺はゴクリと唾を呑み脳内に二つのシュチュエーションがよぎった。さっき気になっていたこの暮らしについて。もしくはこのままあんな事やこんな事のお誘いといったシュチュエーション。


 「雷斗はこの小屋に住んでいてなんとも思わないのか? 」

 「え? せやなぁ。まぁ気になるところはあるけど」


そう応えると、俺の目を少しの間見つめていた。すると目から一粒の涙が目から顔の輪郭に沿って流れていく。俺はココに住んでいる理由はただ事では無く、コイツにとって深刻だと思い覚悟を決めて話の続きを聞くことにした。


 「実は…… ココに暮らしている理由…… それは、しゃ…… 」


 ドンドンドン!!


誰かがドアを強くノックした。俺はキョトンとした目でドアを見てからノアを見た。するとノアは立ち上がり外に出て行った。外から男数人の声が聞こえる。趣味ではないが、壁に耳をあてて盗み聞きをした。


 「おい。いつ返すんだ! このボロ小屋に火をつけるぞ」


俺はただ事ではないと思い外に飛び出た。


 外に出ると男3人にドアの前で土下座するノアがいる。一人の男が飛び出て来た俺に


 「コイツの男か? 良い所に出て来たな。お前保証人になれ」


保証人? ん? 住宅保証人?


 「姉ちゃんいつの間に男作ったんだ。お前にはそんな余裕ないと思うんだけど。アァ!!! 」


男は罵声を浴びせながらノアの頭を足で踏んだ。俺はそれを見て瞬間湯沸器のように頭が沸騰して激怒した。


 「ワレコラァ! 女の子になにさらしとんじゃ! 」

 「んん? 俺たちとやりあうってんの? 」


そう言うと後ろにいた男二人が短剣のような物を背中に背負っていたサヤから抜いた。するとノアが俺に向かって叫んだ


 「雷斗! 雷斗も背中の剣を抜いて!! 」

 「アホかい! そんなええもんなんも持ってないわ! 」

 「あるだろ! 見え見えだぞ! 」


なにを言うてんねんと思いつつ背中に手を回す。すると何か棒のような物が手に触れた。それを手に取り勢いよく構える。俺の視界に飛び込んできたのは、集会の時に背負っていた少し凹んだ金属バットだった。すっかり忘れていた。転生した時にそのままだった。でも剣と金属バット。しかも相手は二人。勝率は低いのは誰が見てもわかる。だが、この事態を切り抜けるにはやるしかなかった。


 男二人と睨み合っている。そこで俺は提案した


 「おい、タイマンでどうや。俺が負けたらノアがお前らの言うことを聞く。俺が勝ったら俺の言うことを聞く。どないや? 」


すると男がこう言った


 「タイマン? なんだいそれは? 」

 「え? タイマン知らんの? 」

 「そんな物知らないなぁ」

 「あれやんけ! 一対一の男の勝負やんけ! 」

 「そう言うことか。変わった言い方だな。いいだろう受けてたとう」


俺と男はタイマンすることになった。


 俺と男は向かい合ってスタート合図を待っていた。相手の手には剣。俺お手には金属バット。タイマンに持ち込めたから勝率は上がった。


 ノアが号令をかける

 「いっくよー! はじめ!! 」


それとともに俺はバットを振りかぶり相手に向かって突っ込んでいった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る