第2話 始まりの町マルケン

 俺の名前は吉田雷斗。関西一の暴走族総長。せやけど、訳あって異世界に来てしもて女神の言う通りマルケンを探してる。


 俺は女神さんの言うとうり、マルケンに向かっている……多分。勉強が嫌いな俺は東西南北が分からず小道をひたすら歩くしか無かった。歩き出して恐らく半日経つぐらい、水もなく食べるものもない。早くマルケンを見つけないと倒れそうになっていた。


 そう思いながら歩き小さな丘を登ると城壁のような石の壁に囲まれた街が見えた。俺は嬉しくて堪らず、両手を天高く上げて町に向かって走って行った。


 町に着き城壁を過ぎるとヨーロッパの田舎町のような町並みが広がっている。取り敢えず、ここがどこなのかを聞くために町民を探すことにした。


 少し歩くと真っ黒の制服に真っ黒のケビ帽を被ったガタイの良いおっさんが立っていた。


 「おっさんすんません。ここなんちゅう町なん 」


と尋ねるとガタイの良いおっさんは親切に答えてくれた。


 「冒険者のお方かな? ここはマルケンだよ。旅のお方なら集会場がちょうど突き当たりにあるあの大きい建物が集会場だからあそこに行きなさい。 」

 「おっさんおおきに! 」


俺は礼を言い集会場まで走った。


 集会場に入ると目の前に受付のようなところがあった。すると横から


 「冒険者のお方ですか?ようこそマルケンへ! マルケンでパーティーメンバーをお探しでしょうか? それともマルケンで物件を購入されパーティー拠点を置かれますか? 」


声をかけてきたのはこれまた綺麗な瞳の金髪お姉さん。胸元が開いたカッターシャツにスキニーを履きこなすスレンダーボディー。どうやら受付けの人のようだ。俺は唾を飲んだ後に、応える。


 「実は目が覚めたらわけわからん所におってやなぁ。俺もなんやわけわからんのよ。この世界はなんなん? 」


と応えると受付のお姉さんは驚くこともなく応えた


 「女神エイミーに導かれし転生者様ですね! 転生者の方はまず職業登録をしていただき…… 」

 「お姉さんどないしたん? 」

 「いえ、職業は聞く必要なさそうですね! 冒険者で登録いたしますね! 」


俺は少し疑問に思いながらうなづき話を進めた。


 「では冒険者登録完了いたしました。まず、ソロで冒険されるのもよし、パーティーを組んで冒険をされるのもよしなので気の合う他の冒険者様がいらっしゃいましたらパーティー登録するようお願いします。」

 「なんか分からんけど、取り敢えず仲間集めたらええねんな。お姉さんおおきに、ありがとう。」


と礼を言い振り返るとニコニコした顔で突っ立っている綺麗な黒髪で赤い瞳をしたゴスロリ美少女が立っていた。


 「ハイ、ハーイ! ノアとパーティー組もうよ!」


え? なにコイツ……。俺はいきなり声をかけてきてビックりしたより、こんな格好の奴に話しかけられたこともなければ、気持ち悪い人種認定をしていたタイプの人間がグイグイ来て免疫の無い俺は腰を抜かした。


 「なぁに腰抜かしてんだ? 今日からノアとパーティーを組むぞ! 立ち話もなんだしそこの席に座ろっか! 」


俺は半泣きになり、


 「は、はい…… 」


と応え席に連れて行かれた。

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