第103話 裏付け (ソシリア視点)
前話ではなく「その思いの理由」の内容を前話と間違えておりました……。
一話飛ばす形で投稿してしまい、誠に申し訳ありません……。
コメントして頂き、本当にありがとうございます。
◇◇◇
やはり、私の睨んでいた通りだったらしい。
そう理解して、私は思う。
……もし、婚約がこのままであれば、サーシャリアはもっと危険な状態になっていたかもしれないと。
そんなことを考えているうちにも、感情的になったマルクが私を睨んでくる。
「いいから、早く教え……」
「少し落ち着きなさい」
「つぅ!」
冷静さを欠いたマルクの額をはたき、冷静さを取り戻させた私は、腰に手を当ていい放つ。
「私に聞く前に、もう少し考えなさい。私が何でこの名前を口にしたかくらい、発言からわかるでしょ?」
そういい放つと、マルクは押し黙り、代わりと言うようにリーリアが口を開く。
「……侯爵家と餓狼商がつながっているということ?」
「ええ、そういうことよ」
そう、それこそが私が餓狼商の名前を知ったきっかけだった。
カインというサーシャリアの元婚約者の家を調べるに当たって、私はその商会と侯爵家のつながりを知ることになったのだ。
そして、その商会が扱う品を見て、私は辺境と餓狼商が関わりを持っているかもしれないと思い当たったのだ。
……その商会が扱う品こそ、辺境の魔獣の素材だったのだから。
「侯爵家が、餓狼商と……!」
その関わりは決してよいものではなかったことを、私はマルクの反応から悟る。
だとしたら、やはり。
「私が知っているのは、侯爵家とつながっていることだけ。どんな存在だったか、教えてくれない?」
「……それに何の意味がある?」
「その話次第では、私がアルフォードを説得する話の確証を得られるわ」
そういうと、マルクは少し悩んだ後口を開く。
「餓狼商てのは、その商会の名前じゃない。あまりにも汚いやり口から、そう呼ばれていただけだ」
話す度に、わき上がってくる怒り。
それから、その餓狼商の卑劣さが伝わってくる。
「あいつ等は、俺が前に言った辺境貿易前の辺境を食い物にしていた悪徳商会の一つで……その中でもえげつない商会だ」
「……今考えれば、侯爵家レベルの貴族が後ろにいたからこその傲慢な態度だったのね」
その言葉に、私はふとかつてマルクから聞いた話を思い出す。
辺境貿易前、辺境は様々な貴重品を買いたたかれていたと。
……その価値を偽られた状態で。
そして、それらの商会は辺境が開拓していくうちに消えていったという。
そのことを思い出し、私は確信する。
「……いやなことを言わせてしまってごめんなさい。でも、もう大丈夫」
これで、私の予想の裏付けがとれたと。
「──アルフォードを説得する材料は集まったから」
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