第33話 北米戦線紳士淑女録1
航空日報出版社『NC
「北米戦線の国際連盟軍将兵」 須藤和彦著より
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七六二装甲歩兵予備中隊長をつとめ、後に少佐に戦時昇進。元は満洲帝国駐留将校の子息だったが、父の戦死によって徳島県の親戚に引き取られる。
帝國農業工学大学に進学したものの、養父の会社が倒産し経済的な事情で陸軍短期現役士官に志願。装甲歩兵への適正を認められた結果、満洲へ派遣される。
学位取得の後はそのまま陸軍へと居残り、満洲へ戻って勤務を続ける。満洲での勤務が長かった結果、いわゆる「大陸浪人」と呼ばれることになる。
上官に対してはその能力に関して厳しい目を向けることが多いが、意外にも部下へは目配りの出来る人物と評されることが多かった。毀誉褒貶すべてにおいて事績が多すぎて、点数評価の難しい人物。
※「大陸浪人」……満洲帝国駐留の帝國陸軍軍人、特に装甲歩兵乗りの実戦重視に過ぎる様子を揶揄した言葉。休眠期においても対BUG戦闘が頻発する地であるため、軍紀を多少逸脱しても実戦を重視する傾向にあったとされる。
軍上層部も激戦地であるため、将兵の損耗率の高さから、よほどの命令違反で無い限り独自裁量を最大限認める方向であったようである。
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剣京輔大尉付き先任軍曹。兼「武隆改」(複座型)操縦兵および火器管制担当。
父親は町工場を経営していたが一家が経済的に困窮していたため、学業を終えてすぐに陸軍に志願した。
当時の考課表に寄れば、「優秀な下士官ではあるが、戦闘時に苛烈な攻撃を行い過ぎる傾向にあり」と書かれている。
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陸軍幼年学校から陸軍大学へ進んだエリート士官。
性格は極めて真面目で、常識人だが苦労人と評されることが多い。変わり者の多い「剣部隊」の中にあって、ほぼ唯一の常識人。
長野県高遠町在住の祖父によれば八木家は真田家に仕えた武士の家系である、らしい(本家には朱塗りの槍と先祖伝来の甲冑(当世具足)が伝わる)。本人も祖父の影響を受けて陸軍へ志願したふしがある。
趣味は将棋で、居飛車党かつアマチュア初段。
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美人と言ってよい顔立ちと、鋭い眼光が特徴。エメラルドグリーンの瞳を持つ。父は帝國の外交官、母親は王国人かつタムタム族である。子供のころは外見故に奇異の視線や差別に晒されることも多かった。
祖国への忠誠を証明するため陸軍へ志願。以前も剣と同じ満洲駐留部隊へ配属されていた。剣が中隊を編成するにあたり、伝手を通じて真っ先に引き抜いてきた人物でもある。
苛烈に過ぎる戦ぶりで知られており、「新兵殺し」と渾名するものもいる。
実は可愛いものが好きで、軍用行李にぬいぐるみを忍ばせているのは公然の秘密である(本人は隠しているつもり)。
▼瀬戸孝蔵(せと・こうぞう、三十八歳、帝國航空宇宙軍大佐、身長百六十五糎)
航空宇宙軍に軍籍を置いているが、国際連盟軍司令部に出向中。国際連盟軍司令部での肩書きは統括連絡局局長であり、各国の軍や政府との利害調整を行う部署の長である(表向きは)。
国際連盟における帝國の裏面(特に対BUG戦争)を統括しており、ありとあらゆる場所に出没する怪人物。
性格はひねくれている上に快楽主義者で、対蟲戦をある種のゲームとしてしか感じていない。
▼中曽根公康(なかそね・きみやす、四十七歳、少将、身長百五十五糎)
帝國陸軍遣米軍集団司令官。果断な判断力と、豊富な実戦経験を持つ歴戦の将。
政治に関することが大嫌いで、自らの嗜好を軍務に差し挟むことを嫌悪する。
頑迷というわけではないが、正攻法を好む傾向がある。
■ルフトバーン王国
▼ヒルデリア・バルドゥ(二十歳、女性、身長百五十五糎、体重四十四瓩)
王国選王家の一つ、バルドゥ家当主の次女。王位継承権第四位。
「剣の貴族」たるバルドゥ家に対する帰属意識が非常に強く、プライドも相当に高い。自他共に厳しさを求めるタイプ。
魔法や人形の修練に人生の大半を費やしてきたせいか、世事には疎いところがある。
豊富な魔力保有量と、卓越した戦闘センスによって個人としての戦闘能力には優れているが、部隊を指揮する能力に関してはまだまだ経験不足である。
王国軍近衛魔法師団、蒼の戦翼隊隊長を務めている。
▼ユルスラ(タムタム族、人間換算二十歳くらい、身長百六十糎、体重五十二瓩)
幼い頃からヒルデリアに仕えてきた腹心であり、常に警護としてヒルデリアの側に控えている。
性格は実直だが、過去に多くの人生経験を積んでいるため、ヒルデリアの教育係でもある。
幼い頃から面倒を見てきたヒルデリアに対する思い入れが強く、バルドゥ家の使用人達の中ではその『親バカぶり』が広く知れ渡っている。
趣味は盆栽だが、じじ臭いと言われるのが嫌でひた隠しにしている(が、バレバレである)。
※タムタム族――名誉と礼節を重んじる、「森の守護者」と呼ばれる種族である(耳が長く尖っているのが特徴)。過去の種族間戦争の経験から王国有力貴族に仕える者が多く、家令等の重要な役割を任されていることが多い。
▼パルーカ・サハティ(十四歳、女性、身長百三十八糎、四十二瓩)
金髪でミディアムロングの髪をサイドシニヨンに結っている事が多く、眼は深紅の瞳。容姿は整っているが、基本的にボーイッシュな私服を好んで着ることが多い。胸はやや控えめなサイズで、本人はわりと気にしている。
王都に巨大な帝國式百貨店を経営し、軍需産業から自動車輸入販売等を手がけるサハティ商会を経営する大商家に妾腹の子として生まれる。母親が下級貴族の出であることから魔力容量と人形遣いとしてのセンスに恵まれている。
ヒルデリアのヒルデリアの庇護のもと、人形遣いとしての才能を開花させてエースとして成長しつつある。自分を見出し目をかけてくれているヒルデリアへの信頼は厚い。
乗機は「ファ・ラトゥーガ
素早い動きと手数の多さで相手を翻弄する戦法を好む。
▼リルハ・ザルツハイム(十四歳、女性、身長百三十八糎、体重三十八瓩)
選王家筆頭であるザルツハイム公爵家の家長で、先王の死去により若くしてルフト・バーン国王となった。ヒルデリアとは幼少時から親しく、同じ学び舎で魔法術を学んでいたこともあった。
年に似合わず聡明で博識だが、甘やかされて育ったせいか普通の子供以上に子供っぽい一面もある。
また、悪戯好きな一面もあり、家臣たちを暇つぶしの悪戯に巻き込んで困らせることもしばしばである。
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