第31話 北米戦におけるBUGの種類とその生態

北米戦におけるBUGの種類とその生態

~新型BUGの脅威を中心として~

帝國農業工業大学生物学部教授 寺島市朗


◆BUGとは

 現在では異世界起源種ではないかという説が有力となっているが、詳細は不明。

 人類に敵対的な非地球起源生物種の総称である。


◆タランチュラ型BUG

種別(通常サイズ)……中型(全長3~5メートル、体重約3トン)

脅威度カテゴリー……C+

生態……もっとも初期から存在するタイプのBUGの一つ。形態は初期からほぼ変化が無い。紫色の体表が特徴的。BUGの中でももっとも数が多いとされる。

背中に搭載している角は生体砲弾となっている。

砲弾の射程は数百メートルと短く、初速も遅いことから接近戦意外では脅威度は低い。

 八本の足が生み出す機動力(時速五十~六十キロ程度)と、前脚や鋭い牙を用いた格闘戦能力、そして数の多さが武器。

 有名な弱点は十本ある脚部。可動域確保のためか一部は装甲がほとんどなく、損害を受ければ移動不能になる可能性が高い。

 装甲歩兵にとって苦戦する相手ではないが、常に群体で行動するため、包囲を避けつつ適切な支援を受けて戦闘をすることを心がけたい。


◆アルマジロ型

BUG種別(通常サイズ)……大型(全長十~十五メートル、体重約八~十三トン)

脅威度カテゴリー……B

生態……遠距離攻撃手段としては生体砲弾である「牙」を何本も射出する。「牙」には生体炸薬が詰められており、TNT爆薬相当の爆発を引き起こす。

 戦車並の装甲を誇るが、代償として移動速度は非常に遅い(毎時十~二十キロ程度)。

 このBUGも脚部には脆さがあり、脚部への狙撃、あるいは白兵戦で切断する戦法が有効。強力な大型BUGで、単独での戦闘は極力回避すべきである。


◆ナナフシ型BUG種別(通常サイズ):大型(全長十五メートル、体重約十五トン)

脅威度カテゴリー……A-

生態……北米戦時に初めて出現が確認された新型BUG。昆虫のナナフシに形状が似ている事から命名。 

 身体の中央部は円柱形状をしており、その円柱の正面には「砲口」が開いている。 この砲口から高速で生体砲弾を射出する。

 その射程はおよそ十~五十キロメートル程度とされており、人類側における榴弾砲などの野戦砲に相当する存在である。それまで「長射程兵器」の無かったBUGに初めて登場した脅威として恐れられた。

「頭部」と「後尾部」はそれぞれ膨らんでおり、頭部には各種感覚器官が集中している。後尾部には生体砲弾の生成器官が内臓されているものと思われる。

 基本的にタランチュラ型等の中、小型BUG群体と共同で行動することが多く、それらを「指揮下」に置いているとみられる。

 白兵戦能力はほとんどないため接近することさえできれば脅威ではないが、遠距離砲撃能力は非常に危険。存在を確認次第排除したいBUG種の一つ。


◆ヤツメウナギ型

 BUG種別(通常サイズ):大型(全長二十~三十メートル、体重約五十0トン)

 脅威度カテゴリー……B-

 北米戦時に出現した、ヤツメウナギに酷似している形状の大型BUG。

 直径は十メートル近く、固有能力として地中をさほど大きな音を立てずに移動することが出来る能力を持つ。

 ヤツメウナギ型の地中移動した跡はフナムシのそれのように、シールド工法で作られたトンネル状になる。そのため、中~小型BUGが同型を追いかけるように移動に用いるケースも多い。

 またヤツメウナギ型自身も他のBUGと「共生」しているケースが多く、「頭部」にある開口部から小型BUGを「搭載」出来る模様。

 大型生体砲弾を開口部から射出出来る。が、その砲撃間隔は非常に長いため戦闘で積極的に用いるケースは少ないとされる。

 北米戦開戦時には、ヤツメウナギ型の存在は人類側には知られていなかった。そのため地中移動の後に突如地上に出現した同型は各地で「奇襲」となり、甚大な被害をもたらすことになる。

 音響センサーなどで一応は奇襲を避けることは不可能ではないが、察知できなければ後方への奇襲といった危険な状況を招くため注意が必要。


ハリネズミヘッジホッグ

 BUG種別(通常サイズ)……小型(全長一~三メートル、体重約○.八トン~)

 脅威度カテゴリー B+

 地球の動物、ハリネズミに似ているBUG。その背中に剣山状の生体砲弾を搭載している。人類側の陣地に吶喊とっかんし、背中の「針」を周囲に射出する能力を持っている。火力は強力だが基本的に自爆攻撃であり、自らも損傷する上に他のBUGすら巻き込むことも多い。

 装甲防御力は皆無に等しく敏捷性も劣るため、事前に発見出来れば撃破は容易。ただ、身体が小さいことから地形によっては発見が難しく、防衛戦では真っ先に潰すべきBUGの一つとされる。


◆ハウンド型

 BUG種別(通常サイズ)……小型(全長一~三メートル、体重約○.五トン)

 脅威度カテゴリー……C

生態……四足歩行獣型BUG。装甲防御力は低く、単体なら撃破は容易。限定的ながら集団戦術を用いることがあり、人類に対し数に任せた包囲戦を挑むケースが多い。

 BUGにしては珍しく生体砲弾を射出する能力は無いが、格闘戦能力と敏捷性に優れている。また、タランチュラ型に続いて数が多い。

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