2 エッグシティ
石灰岩の採掘場や大峡谷のある山間の土地に、突然卵型の平地が姿を現す。このエッグ平地に作られたのがエッグシティだ。人口19万人、採掘場の従業員の住宅地を中心に栄えたのが今いる中央エリアで、市庁舎や高校、大学、ホテル街もある。そして、街を取り囲む卵型の外周道路のおなかの辺りにあるのが、このドライブインエッグベースだ。
駐車場にあるサムのコンパクトカーに乗り込む。これから時計の反対周りに外周道路を回って、まずはマスターおすすめの商品を買いに北部の商業地域に行き、それから外周道路を一周して町を見ながら帰ってこようというわけだ。
「この町はね、ゆっくり見て回っても自動車なら一日ぐらいで帰ってこれる広ささ。さあ」
先月買ったばかりだというサムの自慢のコンパクトカーはいい調子だ。大きくカーブを描く外周道路を、軽快に飛ばして行く。
「へええ、これが東の大渓谷かい。ダイナミックというか雄大というか、見事なもんだね」
中央エリアの住宅街を抜けると、急に辺りがひらけ、切り立った崖や巨岩、谷間を流れる青い清流が見えてくる。岸のこちら側にはプールを持っている大きな邸宅が並ぶ。下流にはグランピング場やオートキャンプ場があり、有名な釣り場や夏場になると渓流下りのゴムボートモ出てにぎわうという。
鉄橋を超えて緑深い向こう岸に渡れば、自然保護区域やトレッキングコース、奥の盆地には先住民の居住地があり、パワーストーンのアクセサリーや、木彫りの工芸品が観光客に人気だという。
外の風景を見ながら世間話をする。テリーは実は大学で生物学を研究していて、生物好き、釣りやトレッキングが趣味だということがわかってきた。
「テリーさんはいい体してるしアウトドア派なんだね。俺はもっぱらインドア派だよ」
サムが笑う。自動車は東部の高級住宅地を抜けて、やがて北部の商業地域へと差し掛かった。
「ここのショッピングセンターの駐車場で車を止めれば、目的の店まですぐだよ」
車を降りて歩き出す二人。ところが、にぎやかな商店街に入ったとたん、サムが走り出した。あわてて一緒に走り出すテリー。
「すまん、探してた爺さんがいたんだ!」
見るとはるか前方にホームレスの爺さんが道を曲がっていく。地元の野球チームの派手な色合いのキャップをかぶって黒い上着で歩いている。
「おいおい、なんだか変な裏道に入っていくぞ!」
爺さんは意外に早く、すたすたと裏へ、やばそうな場所へと入っていく。なんだろう急に人の怒鳴る声や叫ぶ声があちこちから聞こえてくる。つぶれた工場の跡地に勝手に住み着いた貧しい人たち、それを追い出そうとする市役所と警察のにらみ合い、追い出しに反対する学生たちのデモ行進や、賛成派の市民たちも怒鳴りだし、何かすごいことになっている。その中を突っ切っていこうとするホームレスの爺さん、だめだこのままでは見失う。すると、そのとき、さっとテリーが走り出した。速い。
「サム、こっちだ」
人だかりとは違う、大きく左にそれながら建物へと近づいて行った。サムはやっとの思いでくらいついて走っていく。そして建物の前で立っているテリーにやっと追いつくと、あれ、不思議、あの帽子が人ごみの中から近づいてきた。テリーは人の流れと爺さんの歩いていく方向から先回りしてターゲットを補足したのだ。
「おい、クーパーの爺さん、俺だ、サムだ、止まってくれ」
やっと爺さんはこっちに気が付いてくれた。爺さんを人の渦から引っ張り出し、工場跡地の片隅で話を聞く。サムはいつの間にかマイクとビデオカメラを一体化した手作りの撮影機材を爺さんに突きつけ、あっという間に撮影開始だ。都市伝説バスターズのロケ画面になっている。
サムの質問に答えながら、爺さんは名前と年齢、住んでいる街などを答え、さらに体験談を話し出す。聞き出し方がうまいというか、テンポのいいサムの質問に不思議な体験談がぽんぽんと飛び出す。
「それで、昨夜、爺さんは第三公園に向かって歩いていたんだね」
「ああ、昨夜は新月で暗い夜だった。こんな夜はやばいとは思ったんだが、ウェルズ通りを歩いていたら、奴が出やがったんだ」
「やつ?」
「壁やシャッターに穴が開き、象のように大きなイカの化け物が出てくる場合と、地面に穴が開いて、人間のような歯を持った大きなワームが出てくる場合があるんだが、昨夜は後者だった」
「そのワームもでかいのかい?」
「ああ、その平たい胴の太さは1メートル半ぐらいか、口はもっと大きい、歯だけじゃなくて大きな目も人間そっくりで、地面に穴が開いたと思ったら、すごいスピードで出てきて襲い掛かるのさ。昨夜も俺の目の前で野良犬が一瞬で飲み込まれちまった。ちょっとして見に行ったら、穴は消えていて、首輪だけが転がっていたな」
まあ、荒唐無稽な話で信じろというほうが無理な話だが、サムは少しも疑わず、真剣ンに聞き出す。だから爺さんも本気で話している感じだ。
「いやあ、本当にエキサイティングな話だった」
サムはどうやって仕入れたのか、この辺りの商店で使える商品券をポケットからひっぱり出すと爺さんに渡した。
「また、頼むわ。よろしくな」
爺さんは自慢の野球キャップをはずして礼を言うと、またどこかへ歩いて行った。
「いやあ、すまなかったな、えらい目に合わせちまって。でもこれで今日の分のロケがすんじまったよ。でもテリーは機転も聞くし足も速いんだな。ありがとう」
「はは、面白かったよ。じゃ、買い物に戻ろう」
ごたごたの続く裏道を脱出して、にぎやかなメインの通りに戻る。ここは、あの高級住宅街の金持ちも買いに来る、こだわりの老舗が集まっている通りだという。
「ほら、パンのいい香りがするだろう。ここのハックのパン屋は、新鮮な牛乳と発酵バターをたっぷり使ってるんだ、値段もいいけど、やわらかくておいしいぞ。食パンがおすすめで、ほら、エッグベースで出たクロワッサンもここの商品さ。朝早くにハックのおやじが焼きたてを持ってくるんだ」
サムが気軽に手を振ると中から太った白衣のおやじも手を振ってくれる。パンとバターのいい香りがたまらない。
「おや、なんだ、洞窟生ハム?」
すぐ隣のマクガイヤーという肉屋の前には洞窟生ハムという看板が出ている。
「ほら、この辺りは石灰岩の採掘をしてるから、山の中に洞穴だの鍾乳洞なんかが多いんだ。店主のマクガイヤーさんは、年間を通じて気温が変わらずしかも湿度が高いという洞窟の性質を生かして、近くの洞窟で白カビをつけて熟成させる特別な生ハムを作っているんだ。これがうまくてうまくて大評判さ」
ドライブインで出た厚切りベーコンもここのものだそうだ。ステーキをはじめとする肉はもちろん、ニンニク味のスパイスソーセージやコンビーフソーセージも絶品だそうだ。だがその時、サムが小声でささやいた。
「今日も店に出てないなあ。いや、実はね、噂ではここのマクガイヤーさんは、地下の崩落現場で、何かとんでもないものを見たらしいんだ」
「なんだい、また怪物か何かかい?」
「いいや、どうもUFOの関係らしい」
「地下で空飛ぶ円盤かい?よくわからない話だな」
「だから面白い、ネットのネタになるんだよ」
なんでもこの商業区域の真ん中に、地下駐車場と地下のショッピング街を作る話があってね。数年前に、ついに完成、マクガイヤーさんのところも地下街に二号店を出したんだ。ところが原因不明の崩落事故が起きて立ち入り禁止に。しかも事故の再発が心配されてそのまま封鎖されたんだ。頭に来たマクガイヤーさんは、何人かの店主たちとバリケード破って中になだれ込んだらしい。そこでとんでもないものを見ちまったそうだよ。
「いったい何を見たんだ?」
「いや、だから俺もそれを知りたくてマクガイヤーさんを探してるってわけだ。それ以来誰も中に入らないように、軍隊が出動して入り口を見張ってるらしいぜ」
「軍だって?」
そう、もとはといえば諜報部員であるテリーは、この街で軍の不穏な動きがあるからと探りに来たのだ。考え込むテリー。
「な、面白そうだろ。よければすぐそばだから買い物の帰りに覗いていくかい?」
テリーはうなずいてその場を後にしたのだった。この商店街にはほかにも、高級フルーツやオリジナルのシロップ漬けが有名なフルーツパーラー、アンジェラ。チーズでできた月がトレードマークのチーズの専門店、チーズムーン。マリナおばさんのサラダハウスなど、おいしいお店が目白押しだ。また商店街の中央にはおしゃれな修道院の礼拝堂と直売所があり、にぎわっていた。
アリエス修道院のハニークッキーの看板がある。清く正しい修道女たちが養蜂を行い、自分たちで収穫した小麦粉でクッキーを焼くのだ。素朴で懐かしい味が定番の人気だそうだ。
「あれ、この写真…?!」
サムもテリーも驚いた。礼拝堂のすぐ前に掲示板があり、近づいてよく見てみると、貼ってある地元の新聞記事の写真にあの人が写っていた。
「エッグシティ新市長エリカ・ロッテンハイム氏、修道院の慈善活動に協力を約束」
さきほどドライブインにいた、あの美しい女性に間違いなかった。修道女たちに激励の握手をしている様子が何枚も映っている。この街の市長だったのか?!
さらに世界的なシンガーでサムもよく知っているアーティストのホリアが近々この街のテンペスト男爵の博物館のリニューアルオープンにイベントのゲストでやってくるというニュースが目についた。
「すごいなあ、ホリアは奇抜な衣装にクラシックの要素を取り入れたネオオペラという分野を開拓したマニア好みのアーティストだ。最近もマルチオペラとかに挑戦していると聞く。謎の多い人物としても知られていて、いつもコンサートはチケット完売だし、この街に来るんだったらぜひ見に行きたいなあ」
もちろんここでのチケットもすでに完売していた。だが、ひょんなことからこの世界的シンガーと運命の糸がつながってくる二人だった。
そしてそこを通り過ぎて少し行くと、この商店街でも一番の老舗のサンダースがある。そう、ここがマスターの教えてくれた店だ。創業当時はまだ人口も少なく、保存のきく缶詰やお土産などをおいていた雑貨店だったらしい。今ではこの土地の珍しいものや、缶詰に特化したユニークな店となり、なかなかにぎわっている。
このエッグシティのすぐ近くに住んでいる先住民の珍品や、珍しい各種の缶詰が所狭しと並んでいる。
すごいのは、各種素材缶詰から、日本の珍しいバラエティに富んだツナ缶やサバ缶、ヨーロッパの高級料理缶詰など、なかなか手に入らない缶詰が揃っていることだ。
「こんちは、また来たよ」
サムはこの珍品が並ぶ店の常連客になっているらしい。缶詰のほかにも、トンボ玉のような色鮮やかなガラス工芸品やターコイズ、アメジストなどの古代から伝わる先住民のアクセサリーが人気だ。マヤ文字に似た古代文字が刻んであるパワーストーンでもある。
「おや、なんだいこの卵みたいな人形は?」
テリーの目に留まったのは、大きさといい形といい、鶏の卵にそっくりな粘土を焼いた人形だった。
「卵に短い手足が生えているのか、デブなのか、愛嬌のある人形だね」
先住民に伝わる古代の土偶の一つなのだという。
そしてやっと発見、例の疲れが取れるというキノコの缶詰だ。3缶パックでなかなかお得、テリーはさっそく成分表示なんかに目を通している。
「へえ、ハイパーマッシュルーム、ビタミンDが豊富で、そのほかにもビタミンB群、各種アミノ酸がたっぷり入ってる。ミネラルたっぷりの天然の岩塩で煮てあるシンプルな味付けだってさ」
レジに持っていくと初老の店主サンダースのおやじさんがニヤッと笑った。
「ほう、あのマスターに教えてもらったんだな。疲れも取れるし、女性にもモテるぞ。効くよ、これは…!」
なんかすごいものを買ってしまったみたいだ。サムが質問する。
「サンダースのおやじさん、このキノコ缶はどこで仕入れるんですか?」
「ま、サムになら教えてもいいかな。実はなあ、指定された日時、夕暮れ時に浄水場のそばに行くと、プラチナブロンドで透き通った白い肌をした男たちがやってきて、このキノコを置いていくんだよ。それをうちの工場で缶詰に仕上げているんだ」
「そのプラチナブロンドの男たちって何者なんですか?」
「さあ、街で見たことはないねえ、いつも山の奥からやってくるんだよ」
サムはまた新しいネタになりそうだと大喜びだ。
「じゃあ、崩落事故が起きたっていう地下のショッピング街を見に行くかい?」
「おう、サム、ぜひ頼むよ」
驚くことに、最初に車を止めた駐車場の裏側がその問題の場所だった。裏に回ってテリーはすぐに驚いた。とにかく厳重なのだ。単なる事故現場とは思えない。しかもそれがずーっと続いているというのだ。
「こりゃ、本格的だなあ。軍の装甲車が3台、ブルドーザーやパワーショベルなどの重機や特殊車両も来ているぞ」
地下街への入り口と思われるところはバリケードやフェンスで二重に封鎖され、その周辺には武装した兵士が巡回している。一日に3回、バリケードがさっと取り払われ、たくさんの土砂を積んだトラックがいくつも出てくるという。いったい地下で何が起きているというのだ?!
それから二人で駐車場に戻って、外周道路の旅を再開だ。
北側の道路を走ると、すぐに山の中に続く太い道路にぶつかる。北西の石灰岩の採掘場に続く産業道路だ。一時ほどの盛り上がりはなくなったが、セメント工場は今でもフル稼働しているし、最近では石灰岩から作るエコナ紙の工場もできている。さらに車を進め、西部の自然公園へと出てくる。
「外周道路からは見えないが、この西の山の中に大きな洞窟があり、その周辺からミネラル豊富な清水が大量に湧き出しているんだ。その水を利用してエッグシティの浄水場が作られている。さっきサンダースのおやじさんが言っていた辺りだ。またその近くから古代の遺跡も発見されていて、去年資料館もできたんだ。せせらぎと古代の歴史のハイキングコースとして、最近人気だね」
なるほど、山間部に続く道は豊かな緑に包まれ、どこからかせせらぎの音も聞こえる。やがて車は中央エリアへと差し掛かる。すると住宅地側に白いがらんとした4階建ての建物が見えてくる。
「あれがもとの市民病院だ。今の市民病院は新しくなって住宅地の中にある。ここもリニューアルされてリハビリ病院になるって噂だったけど、なぜかほったらかしだ」
廃墟となった古い病院、サムはここで幽霊の噂がでないか期待しているらしい。市民病院の前を通過して、いよいよ南部エリアに入る。
「さあ、ここが観光客のお目当て、ゼリーボーンズミステリーパークだ」
外周道路の内側に広いテーマパークが見えてくる。珍しいお墓や派手なお墓、大きなお墓などがある墓場公園、お化けやミステリーのアミューズメントがあるミステリーランド、そしてからくり人形や珍しいものばかりが置いてある博物館の三つのエリアがあるそうだ。すべての施設がこの街で有名なテンペスト男爵の財団のものなのだという。
道路を走りながら見ていると、墓場の中におとぎ話のお城のようなものが見えてくる。
「あれもお墓だよ。青い城って呼ばれている。そばで見るとなかなかの迫力だ」
ほかにもミステリーランドの地獄めぐりフリーフォールや、イギリスの大邸宅のような博物館の建物も見えてくる。また、歩いてすぐの丘の上などには観光客目当てのオフィシャルホテルなどもいくつかあり、にぎわっているようだ。中に入ると一日ではとても回り切れないらしいので、今日はとりあえず周りをぐるりと回って終了だ。
気が付くともう昼を過ぎていた。この卵型の外周道路を一周して、また中央エリアに戻ってきたのだ。
「またエッグベースに寄らないかい?、ランチは、ノンアルコールの特性トロピカルドリンクとホットドッグがうまいんだ。中身はマクガイヤーのガーリックソーセージだぜ」
テリーはサムの誘いに乗って、またもやドライブインに寄ることにした。
確かにガーリックソーセージ入りのホットドッグはうまい。マスタードとケチャップも旨味がある。だが、それに加え。
「ぷは、な、ここのノンアルコールカクテルはうまいだろ!」
アルコール厳禁のドライブインでは、普通コーラなどの炭酸飲料が名物なのだが、ここのは違う。味は15種類だが、どれも炭酸は強烈、お手頃価格から極上品まで、しかも、果肉たっぷりのフルーティーなものから漢方薬に似たスパイシーなものまでいろいろある。
「いやあ、目が覚める味だね」
今飲んでいるのは、トロピカルノンアルコールカクテルだ。基本的にはアンジェラの100%フルーツジュースをベースにハーブやスパイスを加え、そこにジンジャーエキスや天然カフェインエキスを入れて、強烈な炭酸で割る、マスター独自のカクテルなのだ。だが、その時、サムが急に口に人差し指を立てて静かにと合図した。なんだろうとテリー。サムの指さした方向を見ると、なんと誰もいないと思っていた店の奥のテーブルに、この世のものとも思えない超絶美少女が座り、サムに手招きしているではないか。
「…!!」
長い髪、夢見るような大きな瞳、知的な口元…天使のような魅力があった。だが二人で見ていると、やがてその美少女は透き通り、空気のように消えていった。
「見えたかい、テリー」
「見えた、確かにこの目で見たぞ、サム」
真っ昼間から幽霊か?、そんなバカな。するとマスターが言った。
「あ、見ちまったかい。最近時々昼間に出るんだよ。かわいい子の幽霊が」
昼間なのとかわいいのとで特に被害もでていないらしい(?)。
なぜ撮影しなかったのか残念がるサム。でも興奮して浮かれてもいる。マスターが笑った。
「サムはそういうのを取材してるんだっけな。あ、そういえば、2カ月前にサムが置いていったミステリーノート、けっこう書き込んであるぞ」
この有名ドライブインに来た人たちが自由に書き込んでいた自由ノートを参考にサムが考えたのがミステリーノートだった。この街の周辺で起きたミステリーな出来事を自由に書き込んでほしいと置いていったのだ。ネットとは違う地元の情報がよく集まるのだ。
奥のテーブルの上からマスターがミステリーノートを持ってきてサムに渡す。受け取ったサムはさっそくノートを隅から隅まで目を通す。
「す、すごい、この街ってこんなに不思議な話だらけだったのか?」
興奮するサム、テリーもノートを見せてもらって驚いた。今まで自分が見てきたこの街がまったく別の物に代わって見えた。
結局、翌日、ノートを見ながら街をもう一周しようということになってきた。
「もちろんテリーも行くよな?」
まだこの街のことを知りたいし、テリーはサムが気に入って答えた。
「ああ、つきあうよ」
こうして二人はまた翌日会う約束をして別れたのだった。
その夜、テリーはさっそく、キノコを入れてカップスープを飲んでみた。疲労回復に効果があるかどうかはわからないが、意外とうまい。
そして諜報部の本部に暗号通信を送った。今日見た地下街の封鎖の様子を詳しく送ったのである。本部からは正式な指示は明日の夜に送るとだけあった。そして一日が終わった。
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