私がマスターですか?(大丈夫かいな?)◆

「ねぇ!シオンの持っているダンジョン・コアが光っているんだけど!?」


!?


あわわわわ!!!!?


「ど、ど、どうしよう!!!爆発するのかな!?かな!?」

「お、落ち着いて!落ち着くんだ!」


ダンジョン・コアの異常に慌てる一同だったが、点滅するように光っていたダンジョン・コアが一際、大きいな光を放った!


ピカッーーー!!!!


「うわっ!眩しい!!!」

「シオン!大丈夫か!?」

「くっ!!!」


光はすぐに収まったが、そこにはさっきまで居なかった物体がいた。シオンの手の中にはまだ、ダンジョン・コアが握られていた。


「あれ………なに?」


ギルド内の視線は新しく産み出された物体に注がれた。


『初めましてマスター』


そこには、大鷲ぐらいの大きさの【白龍】がテーブルに鎮座していた。


「「「しゃべった!!!」」」


『私はダンジョン・コアです。マスターの魔力を受けてこの度、意思を持つことが出来ました。今後はマスターの為に力を使いたいと思います』


一同、3度目の唖然………

(;゚Д゚)!?


「私の魔力って?私は魔法なんて使えないよ!?」


『マスターの【聖歌】に、魔力が込められておりました。力の使い方は違っても、聖歌も魔力で発動しているのです』

「私はさっき普通に唄っただけだよ?」

『マスターの唄には全て魔力が込められております。マスターの聖歌の【力のワード】は【想像】です。マスターの想いを唄に乗せれば、その効果が発揮されます』


えっ!?何それ!すごくない!?


「歌人は全て同じでは無いのか?」


お兄様が質問されました。


『否です。歌人にも厳密には【ワード】(種類)があります。わかり易く言うと【属性】といった方がピンッとくるでしょう。歌人にはそれぞれ【ワード】(種類)と言った言葉が必ずあります。例えば【情熱】と言ったワードを持つ歌人であれば、炎の攻撃聖歌や、攻撃力アップの聖歌を覚えやすく、他の歌人よりも効果が上がります』


1度言葉を区切り、続けて話す白龍。


『そして、【冷静】のワードを持つ歌人なら氷系の攻撃聖歌や、混乱を抑える精神安定剤の聖歌など覚えますね』


「なんという事だ!それが本当なら歌人の世界の情勢が変わるぞ!?」


ギルドマスターが1番驚いた。今まで数が少なく、余り研究が進んでいない形態の聖歌の秘密に付いて、少し判明したのだから。


「それで、私はどうしたら良いの?」


『マスター!私のダンジョン・コアは現在、無防備な状態です。ダンジョン・コアは言葉通り、ダンジョンを作り、ダンジョンの際奥にて保管して護られるものです。この姿は分身体なのでいつでもマスターと一緒に居られます。是非とも、ダンジョンを作らせてコアを護って欲しいです』


「これはパパに相談しないと決めれないよ~」

「じゃあ、シオン。家に帰ろうか?」

「うんっ!疲れたから帰る~」


シオンはもう、兄レインのせいで大変な目にあった事を忘れ、帰ろうとした。


「あっ!シオン!明日、家に遊びに行くからどうなったか教えてね~?」


ミリアはどこまで行ってもマイペースだった。


「本当にシオンといると退屈しないわね」

「そうですね。シオンといると退屈しないな!」


イオンとクロウが、やれやれと言った風に笑いながら言い合う。


「ギルマス~、シオンちゃんはどこに向かっているんですかね?」

「わからん!でも、シオン嬢ちゃんを中心に時代が動こうとしているのかも知れん」


これからのシルフィード辺境村がどうなっていくのか知るよしも無かった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

???

『どういう事!?ダンジョン・コアなんて筋書きには無かったわ!まさか未来が変わりつつあるの?しかも、【ワード】のことも知らなかった。なんてこと!?それを知っていれば私がここに来る事もなかったのに!あの悲劇も防げたかも知れない。これからは気が抜けないわ。もっと注意深く観察しないと、とんでもない事になりそうだわ………』



シオンを監視する者も、自分の筋書きからずれていっていることに内心、驚愕しているのだった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

【後書き】

愚者の声

「う~む………」

シオン

「どうしたんですの?」

愚者の声

「いや、当初は国同士の戦争を予定していたんだけどね。シオンの村を一番辺境の方にしてしまったのでどうやって敵国から攻め込ませるか出来なくなっちゃった」


シオン

「まったく、いつも見切り発車なんだから」

愚者の声

「すみません………しくしく」




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