早く教えてよ!ってか言えやーーー!!!

「どうしたんだい?」


ギルドマスターの登場に、カリンさんは泣きついた!


「マスター!助けて下さい!もう私には手に負えません!」

「ま、まてまずは話を聞かせてくれ!」


かくかくしかじかふむふむ…………

ギルドマスターも頭を抱えた。


「はぁ~カリン君が泣きつく訳だな……」


失敬な!私達は完璧に仕事をこなしたんじゃい!しかも人助けもしたんだからね!


「ちょっと!こっちは魔物の大群を殲滅するのに頑張ったんだからね!ちょっとは労ってよ!?」


シオンがギルドマスターに突っかかる。


「ああ、君達の功績は素晴らしいものだよ。ただねぇ……魔物50体以上にボス級モンスターの撃破なんて国の騎士団総出でのレベルの事案なんだよ?」


「マジですか…………」


シオンはその事実に唖然となる。


「やっぱりね………どう考えても4~5人のパーティーでの対処するレベルじゃないと思ったわ!」


イオンさんもシオンと同意見だった。


「どうしてすぐに危険だと思ったら引き返さなかった?」

「えっ?だって森小屋まで行かないと森の異変調査が出来ないじゃない?」

「森の入口から途中に魔物が多く出た事の報告で十分だったんだよ?あくまで今回は【調査】だったんだから………」


何だってーーーーーー!!!!!


私達、あんな怖い思いをして命のやり取りしなくて良かったの!??


シオンは気付いていて教えてくれなかった兄のレインをキッと睨み付けた。


「ふっ、そんなに僕を見つめてどうしたんだい?」


いや、見つめているんじゃ無くて睨み付けてるんだけど!?嫌味の通じないレインにイオンさんが援護してくれた。


「レイン君は森の入口に入った時点で、ギルドに戻って報告する事は知っていたんだよね?」

「無論、調査だけであれば十分だと理解していた。しかし………」

「なにか別の事情があったの?」


「せっかく超絶可愛い妹のシオンと一緒にお出掛けなんだよ?すぐに帰っては勿体ないじゃないか!それに、盗賊が攻めて来たときは村のみんなの避難を手伝いするよう命令されて、シオンに良いところを魅せることが出来なかったんだからな!」


本日、2回目の唖然………


えっ?私、そんな理由で命を掛けるはめになったの???


イオンさんが優しく抱き締めてくれた。うぅ……イオンの優しさに涙が出るよ!


「えっと……でもそのお陰で私の命が救われたんだから感謝してますよ?」


エリスさんがフォローしてくれる。疑問系だけどね!


何だかなー!と思うシオンだった。そしてレインのシスコンっぷりに頭を抱えるギルド内のみんなであった。


「はぁ~頭が痛い………」


特にカリンさんの落ち込みが酷かったので、空気を変える為に、シオンは軽く唄った。


「カリンさん、リラックス出来る歌を唄うので落ち着いて下さい。ラ~ララ~~♪」


エリスも初めて聞くシオンの歌声にうっとりしている。唄い終わったシオンに拍手が送られた。


「うん、いつ聞いても素晴らしい歌声だ!」

「初めて聞いたけど凄く良かったよ!」

「うぅ……原因のシオンに慰められるなんて……」


こらっ!そこ!?私が原因じゃ無いからね!まったくもう失礼しちゃうわ!ぷんぷん!


「でも凄いですね!歌人なんて初めて会いましたよ!」

「エリスもその歳でAランクなんて凄いじゃないか!」

「えへへっ!けっこう頑張ったんだよ!?」


イキワイワイっと言った雰囲気になったところでギルドマスターが現実問題を突き付けた。


「ごほんっ!今回はエリス君の命を救った事もあるし、取った行動は問題は無かったと考える。君達が【運んで】きたボス級モンスターの大熊の素材の代金は後日、計算して渡すよ。それと、肉は村人に無償で振る舞うので良かったかい?」

「はい!それで良いです!」


ギルドマスターも満足そうに頷いた。


「そ・れ・で・だ!ダンジョン・コアはどうすれば良いと思う?」


ギルドマスターの問い掛けに首を傾げる。


「冒険者ギルドで買い取ってくれるんじゃ無いの?」

「バカをいえ!ダンジョン・コアなんて品物を買い取れるか!上手く使えば無限の富を産むが、間違って使えば国すら滅ぼしかねん品物だぞ!」


!?


「これは、シオンの父親である領主様の管轄になる案件だ。倉庫に置いとこうにも、そこがダンジョンになってしまうから置いておくこともできん!」


う~わ~!なんて面倒な!!!


はっ!?まさか!


シオンは何かに気付いたようにエリスを見た。すると視線を逸らしたエリスを見て確信したのだ!


「エ~リ~ス~!貴女はわかっていて押し付けたわね!」

「あはは!バレた?」


むきぃーーー!!!!

騙されたーーーー!!!!


「でも、エリスはいいのかい?命を掛けた割には無報酬なんて?」


クロウの問い掛けにギルドマスターが口を挟んだ。


「いや、エリス君には想像以上の報酬が入ってくるだろう。偶然とは言え、ダンジョン・コアを手に入れた事例は少ない。Sランク冒険者に昇格は確定しているし、ダンジョン・コアを持ち帰った名声があれば、王族、上位貴族からの指名依頼もどんどん舞い込んでくるだろう」


おおう!マジかー!命を掛けた分の報酬はあったのか………ってか、本当にどうしよう!



頭を抱えるシオンでした。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

【後書き】

愚者の声

「お帰りなさい!」

シオン

「ただいまですわ………」

愚者の声

「いやはや、お疲れ様でした!」

シオン

「本当に疲れました。はぁ~」


愚者の声

『哀愁が漂っているね……』




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