森の熊さんに出会った!
森の中へ入っていくシオン達に、多くの魔物が襲いかかってきた!
「クロウ!そっちをお願いね!」
「ああっ!任せとけ!オラッ!」
「二人のフォローは任された!」
クロウとミリアがナイスコンビネーションで、狼の魔物グレイファングとゴブリン達を屠っていった。討ち漏らした魔物や、危なくなった所をレインが上手くフォローして短期間で魔物を殲滅した。
「ふぅ~何とかなるものねー」
「数が多いと面倒だな!」
「確かにこの魔物の多さは異常だね?」
森の奥ならいざ知らず、こんな浅い所でこんな魔物の大群は確かに異常である。
「何とか森小屋までいくぞ!あそこは【護りの結界】が張ってあるから安全なはずだ!」
「結界の張り直してもしないとね!」
少し急ぎ足で、森小屋へ急ぐシオン達であった。そんな時、シオンはふと思い付いた様にクロウに尋ねた。
「ねぇ、クロウの両親は大丈夫なの?」
いつも森小屋を利用するクロウの両親が心配だった。
「ああ、昨日の内に村へ戻って来ているよ。流石に、魔物が増えたのに気付いて、他の冒険者達にも戻るよう先導したそうだ」
流石はクロウの両親だね。素晴らしい判断だよ!
グオォォォォォォォォオオオオオオオオオ!!!!!!
突然、大きな雄叫びが聞こえてきた。
「ひいぃぃぃ!なに!?なに!?」
シオンは突然の雄叫びにびっくりし、兄のレインにしがみついた。
「はははっ!大丈夫だよシオン。僕が守ってあげるからね」
シオンに掴まれて嬉しそうにするレインに、クロウとミリアはため息を付くのだった。
こそこそっ
「相変わらずのシスコンね~」
「だよな~」
「クスクスッ、クロウも大変よね~あんなお兄さんがいたらね」
「な、何だよ!別にシオンの事なんて何とも思ってねーよ」
「あら?私はシオンの事なんて言ってないけど?」
「…………………」
無言になったクロウにイオンが注意した。
「こら!そこ!会話はして良いけど先頭を歩いているなら、周囲の警戒を怠らないように!」
「すみません!」
「気を付ける」
シオンの支援聖歌はまだ持つので防御力は3倍になっている。しかし不意討ちなどは警戒しないと危険に変わりないのだ。
「ねぇ?さっきの雄叫びの方に向かってない?」
「そうだな………森小屋の方だね」
「声からすると大型の魔物がいるみたいですね………」
「どんな魔物か楽しみねー♪」
はい!そこっ!1人だけ意見が違うぞ!命が掛かっているんだから、止めてよね!縁起でもない。
もう少しで森小屋の所にたどり着く距離で、前方から異質な気配が漂ってきた。
「………みんな、声を小さくし気配を極力消すぞ!大物が居そうだ……」
「そうね。楽しみね♪」
「シオンが危険だと判断したら、即座に消してやる!」
ああ、どうしてこのパーティーはバラバラな意見を出すのだろうか?クロウ、私はあなたを支持するよ!
そろり、そろりと近づくと遂に見えて来ました。
森小屋の周辺に、【護りの結界】が張ってあるせいか、森小屋の周りに大勢の魔物が円を描く様に集まっていた。そして、その正面には一際大きい魔物が陣取っている。
「………でかいね?」
「ああ、でかいな?」
「大きいね?」
「なぜ、みんな疑問系?」
大きな魔物は【熊型の魔物】でした。ヨダレを垂らして、周りの魔物を食べているようだ。
「ヤバいな!どうして魔物が大量発生したかわからないが、あの熊は危険だ。同じ魔物を食べて力を増している!」
「今日は熊鍋ね~♪」
「熊を食べるのは久しぶりだな~」
「お腹減っちゃった♪」
どうして、クロウが緊張感を出しているのに、後のみんなは緊張感が無いのよ!!!
あっ!?熊さんがこっちを見つけたみたいです!ヤバいよ!
「グオォォォォォォオォォォォォ!!!!」
二階建ての家ぐらいある大きさの熊さんは、木々を薙ぎ倒しながら襲いかかってきた。
「来るぞ!?」
私達はその場で隊列を組んだ!
クロウとレインお兄様が前線に出て、ミリアはフォローに入るみたいだ。私とイオンさんは後方で聖歌を唄うの!シオンはすぐに護りの聖歌を唄った。
「よし、いくぞ!!!」
大きな熊さんは巨体が邪魔で速くは動けないようだ。クロウは一気に加速して熊さんの間合いに入った。
「喰らえ!!!」
クロウは熊さんの足を斬り付けた!
ザシュ!!!
分厚い毛皮に阻まれて剣が通らない!
「かたい!?」
すると、熊さんから強烈な攻撃が クロウを襲った!大きな腕を大きく振りかぶってクロウを目掛けて振り下ろす!
ドッゴーーーーーン!!!
熊さんのパンチ………(熊さんパンチと命名!)が地面を抉った!!!
「クロウ!?」
シオンは思わず叫んだ。防御力3倍になってもこの強烈な熊さんパンチは無傷ではすまないだろう。
すると、クロウが手で大丈夫だと合図を送り、今度はミリアが投げナイフで援護しながらレインが攻撃を繰り出した。
「はっ!!!」
レインの攻撃が熊さんの腕を切り裂いた!
「なんでレインの攻撃は通って、俺の攻撃は通らないんだよ!」
「ふっ、単純に腕の違いさ!」
レインは妹のシオンに良いところを見せたくて、かなり気合いが入っている。攻撃も毛皮の薄い所を狙って攻撃を繰り出している。確かにそこに関しては腕の違いだろうか。
グオォォォォォォオオオオオオオオ!!!!!!
痛みに咆哮する熊さんに、周りの魔物も襲いかかってきた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「さぁ!遂に戦闘開始です!」
シオン
「熊さんって緊張感無いですわね!」
愚者の声
「可愛いくて良いじゃん!」
シオン
「家ぐらい大きいボス級モンスターを可愛いですか?」
愚者の声
「あっ!?」
シオン
「お馬鹿さんですわ………」
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