第9話「それ詳しく教えて?」
―昼休み―
「ヒロ、購買行こうぜー」
「悪い。今日は先約があってさ」
「先約?」
「広山君。」
「うおっ!
「行こうか!」
「うん。」
「ええ!?何この急展開!?」
俺はドヤ顔で英太を見た。
―屋上―
「いい天気だな~。相生さんはいつもここで?」
「いえ。ここにはたまに。中庭があいていないときに。」
「ふーん。」
俺は今日はコンビニで買ってきた焼きそばパン、メロンパン、サンドウィッチ。あと缶コーヒー。
「相生お弁当なんだ。」
「うん。料理好きなの。」
おおっと!ポイントが高いぞ鉄仮面美女!俺にも作ってくれ!
「そうなんだ。」
「うん。」
「……」
いい風が吹いている。
冬と秋の間の季節が俺は一番好きだ。
「そういえば渡すものがあるって……」
「うん。はいこれ。」
「これは……銃のおもちゃ?」
「おもちゃじゃないよ。3Dプリンターで作った銃。」
「え!?実銃!?」
「実銃と同じくらい危険なもの、かな」
昼休みに高校生がもらうもんじゃねえ!
「ごめんなさい、こんな物騒なものをお昼時に。」
「心を読まれた!?」
「顔にでてた。」
「なにー!?」
「これを使わないことを願うけど。もし使う時は気を付けてね。」
「……実弾が?」
「いやさすがにそれは……」
「よかった……。」
「大きいホッチキスの針みたいのが実弾並みの速さで出るから」
「なんかもっとエグいんだけど!?」
「大丈夫。一発じゃ死なない。足止め用につかえばいいわ。」
「あーホッチキスだけにね」
「……?それ詳しく教えて?」
天然のボケ殺し!?いかん、俺のライフが!?
「い、いや、いいです。」
「そういえばマイルドヤンキーについても……」
「まだ覚えてたの!?」
やばい。面白いぞ、この人……。
しぶしぶマイルドヤンキーの説明をした。
「なるほど。覚えたわ。」
「忘れて……」
「広山君といると色々勉強になるわ。」
「いや、そんなことに記憶容量を使わなくていいよ……」
「そうなの?」
「そうなの。」
「そうなんだ。ふふふ」
「ははは。」
相生さんの笑顔は最高だ。
もちろん周りには誰もいない。
この笑顔が、兵器だなんて。確かに破壊力は兵器級だけど。
「食べ終わったら作戦会議しましょう。」
「うん。」
・・・・
「昨日の博士の話だと、他のファクターを持ってる女の子は二人わかってるって感じだったけど……」
「そうね。
【喜】のファクターの【
【怒】のファクターを持つ【ケイト・K・アンガー】」
「え?外国人さん?」
「ハーフらしいわよ。Kは
「怒りすぎだろ……」
「アンガーが積極的に動いてる。喜連川さんのほうは中立、というか無関心らしいわ。」
「ってことは昨日の作戦通り、まずは喜連川さんを説得して仲間にすることが最初の手か。」
「そうね。しかも幸運なことに彼女はこのあたりの地域に住んでるらしいけど、どうやら学校には行っていないみたい。」
「そうなんだ。じゃあどこかですれ違ってるかもね。」
「一応写真はあるの。」
相生さんは写真を見せてくれた。金色のショートカットでダウナー系の服を着ていてロックバンドやってそう。ピアスがたくさんついている。
「なんか、すぐに見つかりそうだけど。」
「私も探してるけど見つからない。」
「じゃあ、今日から……あ、いや今日はバイトだから明日から探すよ。」
「うん。よろしく。水曜日と金曜日はお昼にここで定期報告しましょう。」
「わかった。あ、そろそろ行かないと。」
「そうね。ああ、それちゃんと隠してね?」
「ああうん。」
俺は3Dプリンターガンを素早くビニール袋にしまって教室に戻って鞄にしまった。
―放課後・バイト先ー
俺はレンタルショップでバイトをしている。
動画配信が流行っているけど、レンタルもまだまだ客が来る。
バイトも終わる五分前。
時間調節のため、棚に返却されたDVDを戻していると
「すいませぇ~ん」
「はーい?」
けだるそうな声の客が話かけてきた。
振り向くとそこには
「これってどこにありますかぁ~?ホラー系のところになくてぇ~」
「あ、はいそれは今特集コーナーが……」
その少女は
金髪のショートで、ダウナー系、ピアス大量……
マスクをしているが
昼に写真で見た少女にそっくりだった。
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