第8話「笑ったのなんて久しぶりだから。」

 俺は博士の解説を聞き終えて帰路につく。


 隣には相生さんが一緒だ。

「ごめん。」

「え?」

「やっぱりちゃんと言っておきたかったから」

「??」

「俺が不用意に相生さんにちょっかいだして、そのせいで色々大変な感じに……」

「そうね。」

「えっ即答!?」

「間違いないもの。」

「アッハイ」

「だから。協力してね。」

「う、うん。」

「ふふふ。」


「!?」

 なんて不用意な!?

 つい周りを見回す。

 ここはちょうど公園なので平気そうだ。


「相生さん。俺、今寿命縮んだよ……」

「ふふ。ちゃんと確認してるから大丈夫。笑ったのなんて久しぶりだから。」

「相生さんの笑顔は、いいよ。とっても。」

「そう?ありがとう。でも不用意に出さないようにしないと。薬飲まなきゃ。」

「薬?」

「精神を落ち着かせる薬。博士に貰ってるの。」

「ふーん。」

 少し気になったが話を続けた。


「とりあえず明日からお昼休み一緒に食べない?作戦を練りたいの。」

「いいよ、もちろん!」

「即答ね。」

 相生さんとお昼ご飯なんて、夢のようだ。

 これなんてギャルゲー?


「色々、渡す物もあるから忘れずに来てね。」

「わかった。」

「じゃ、私はこっちだから。ここで。」

「うん。また明日。」

 彼女は手を出した。

 これは握手を求められている?


「これからよろしくね。」

「ああ。よろしく!」


 握手を交わした

 彼女の手は細くてきれいな指だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る