第4話「色々と、ごめんなさい。あと、ありがとう。」

 ピーポーピーポーピーポーピーポー……


「はい、水。」

「……ありがとう。」

「大丈夫……じゃないよね。」

「……」

「あの人、大丈夫かな。」

「多分ダメ。それより広山くん。」

「え?」

「いや平気だけど。」

「……そう。」


 テレテンテンテンテレテンテンテン♪


 スマホの着信がなっている。俺のではない。

「ちょっとごめん。」

「うん。」

 相生さんは電話にでる。

 スマホを持っていることに意外さを感じた。あとでLINKを交換したい。


「はい、はい……わかりました。」

 電話が終わったらしい。

 俺は買った缶コーヒーを飲んだ。

 ここの自販機はホットを押したのに冷たいのが出てきた。信用できない。


「……まくん。」


「広山くん。」

 気づいたら彼女のきれいな顔が横にいて心臓が跳ね上がった。

「は、はい!?」

「明日、放課後時間ある?」

「明日は平気だけど……」

「じゃあ、放課後このゲームセンター前で待ってるから。」

「え?ええ!?」

「今日は解散。色々と、ごめんなさい。あと、ありがとう。さよなら。」 

「ああ、うん……。」


 彼女はそのまま駅に向かった。

 俺は彼女を見送ることもできないまま一人とぼとぼ帰った。

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