どうするの?

宰相が悲痛な面持ちで待っていると、空いているソファーに座らせてリゲルが話した。


「さて、ここ最近の王家の求心力の低下はここ辺境でも聞こえてきている。一週間以内に次々と使者がやってくる訳だが、シオンやシリウスはどうしたい?」


リゲルは子供達に話題を振った。


「俺は王様には興味がないな?ただシオンを傷つけた事への手痛い報復は必要だろう」


「私は、特に気にしてませんよ?それに国のトップになると、どうでもいいお茶会とか面倒くさそう………今の生活がいいなぁ~」


子供達もやる気がないようだ。


「では、国王達は王族を辞めて貰うか?」


!?


リゲルの言葉に宰相は目を開いた。


「それはどういう…………」


「安心しろ。殺したりせぬよ。それに王様には王様なりの苦労があることも理解している。私が言ったのは王政の廃止だ」


「王政の廃止………?」


宰相は呟くように言った。


「そうだ。国王をトップとする王政を廃止して、複数のトップ代表が多数決で重要案件を決める議会制を提案する。同じ一家がずっと君臨していると腐敗したり、暗愚がトップに付くこともあるだろう。だから定期的にトップが変動する議会制を取り入れようと思う」


そこでベガ王子が口を挟んだ。


「それは私の国の政策を取り入れようとお考えですか?」


「そうだな。南のアルタイル公国は、似たような体制を取っているな?ただ、そこにもう1つ新しい政策を取り入れようと思っている」


「新しい政策?」


リゲルは少し間を置いて口を開いた。


「議会制でも『議長』を決めないと最終決定ができないからな。その国の国王に対する者を皆で決める………そうだな国王に成りたいものを民が決める『選挙』をして民衆から国王を決める国にしようと思うのだが?」


「その国の国王を民が決める!?」


リゲルの途方もない制度の話に驚きの声が上がった。


「そ、そんなことできる訳がありません!現状の王国の秩序が崩壊してしまいます!それに他の貴族達が賛同する訳がありません!」


宰相は声を荒げていった!


「そうかな?地方の男爵でも、国のトップに成れる可能性があるのだぞ?余り反対はでないと思うのだが?それに、今の枠組みはそのままで、民から選出した国王(議長)の下に50席ほどの各トップを決めて発言力を持たせれば、議長はともかく、その50席を狙って首を縦に振る者も出るだろう」


「国王の下に50人もの大臣に相当する者を決めるのですか!?」

「まぁ、50人(席)ってのは取り敢えずなんだが、それくらいは必要だろう。余り少ないと同じ派閥で融通し合うからな」


う~む……………


「確かにお父様のいう制度が上手くいけば面白いですね!」

「でも、金と権力で票を集める者が必ずでるだろうな?」

「あら、それなら私達が『懲罰委員会』など立ち上げて、王国とは関係ない独立機関として不正を監視すれば良いんじゃないかしら?」


お母様の言葉に私達は同意した!


「それはいいね。王国に無茶な制度を命じるんだからそれぐらいはやらないとね」


あれよあれよと言う間に、この国の未来が決まっていく事に宰相は真っ青になっていった。


「取り敢えず、宰相どのに我々の代理人になってもらう」

「わ、私にこの制度と政策の話をしろと!?」


宰相は真っ青な顔が真っ白になった。


「お父様、せめて1度はお城に出向いて下さいな」

「そうだぞ?言い出しっぺは責任を取らないとな?」

「シリウス!貴様は1ヶ月以上も会えなかった娘のシオンと更に愛する妻と離ればなれになれと言うのか!」


「「そこかよっ!」」


お母様は顔を赤くして、あらあらと照れていた。

こうして、最後にはお父様が折れる感じで王都へ向かう事になりました。










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