母は強し!
さて、アルデバランとベガの二人が熱烈な『歓迎』を受けてボロボロになって屋敷(砦)の応接室のソファーに、ぐったりとよしかかっていると、身支度を整えたシオンが入ってきた。
「お待たせ─!?って、どうしたの!二人とも!?」
ボロボロの二人を見て驚くシオン。
「いやー?大切なシオンを任せるに足る男かどうか確かめただけだよ♪」
満足そうに言うシリウスにシオンは、お得意様を怒らせてどうするのよっ!と、内心で憤りシリウスに言った。
「もう!私の(オリオン家)大切な人達(金づる)になんて事をするのよ!そんなお兄様なんて嫌いよ!」
ガガガッーーーーーーン!!!!!
雷が落ちたようにシリウスはショックを受けた。
「し、シオン?これは…………その………な?」
「もう!知りません!大嫌い!プイッ」
あっ、最後のしぐさ可愛い…………じゃない!どうしてこうなった!?
シリウスは衝撃の余り固まり、立ったまま気を失っていた。
「なぁ?生きてるか?」
「………なんとかね。なんかオリオン家に逆らうなと言うより、関わるなと思えてきたよ」
「まったくだ。でも、着飾ったシオンは美しいな」
「同意する」
ボロボロの二人も、気力の限界が来て気を失うのだった。
「えっ?」
この場にいた男性陣が『全員』気を失ったのでシオンはどうすれば良いのかわからず、ただ戸惑うばかりであった。
─別室にて─
「あなた?大切なシオンが連れてきた男性をボロボロにするなんて、シオンに嫌われてもいいのかしら?」
顔は笑顔であったが、威圧感がハンパないシオンの母親スピカがリゲルに詰め寄っていた。
「ま、まて!大事なシオンを任せれるか確かめただけ─」
「問答無用!」
うぎゃーーーーー!!!!!
奇しくも父リゲルも、妻の折檻を受けて気を失ったのであった。
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「お母様♪ただいまです!挨拶が遅くなってすみません!」
「良いのです♪それより、あなたの連れてきた男性達はメイドや執事達が丁寧に接客しますから、久し振りに母と一緒に『お茶会パーティー』でもどうかしら?」
「行きます!楽しみですわ♪」
「うふふふ♪私もよ!」
こうして、シオンは母と一緒に『お茶会パーティー』に【行く】のでした。
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「あははは♪楽しいですねー!」
「うふふふ♪そうねー♪」
魔物の返り血を浴びながら、シオンは母親と一緒に魔物を狩っていました。動きやすいドレス姿で!
(セイバーみたいなイメージね!)
オリオン家での『お茶会パーティー』とは、魔物狩りの隠語である。魔物を血祭りに上げるパーティーだ!
シオンの母スピカの武器は、特別な魔剣『連接剣』であった。複数の刃が合わさって、鞭の様になる剣である。通常の剣としても使える、近接と中距離を賄える武器であった。
多くの魔物がいるときは、鞭として複数体を切り刻むその強さはオリオン随一であった。
シオンも剣と魔法で母に、負けず劣らず倒していった。
「我が手には紅蓮の炎、目の前の敵を焼き尽くせ!『フレイム・ストーム』!」
ゴゴゴゴッ!!!!!
目の前にいた巨大な熊系の魔物は消し炭となった。今、二人がいるのは城壁の外に広がる魔境の森の中である。森と言っても、都市に近い所は、木がまばらで光が差していた。
長い年月を掛けて、城壁に近い周辺は、木を伐採し、荒地にして見晴らしがよくしてあったのだ。シオン達はその少し奥に行った近場で狩をしていた。
「「楽しいわね♪」」
元々赤いドレスを、もっと真っ赤に染めて楽しむ二人であった。
「今回は久し振りのパーティーだから素材は気にしなくて良いわよ♪後で魔石だけ取りましょう」
「はい!了解です!」
いつもは魔物の素材を気にしながら戦っているのだ。高値で売れるからね。
こうしてシオンはこの1ヶ月間のストレスを発散するかのように、魔物を嬉々として狩るのだった。
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