バカ王子の末路!
シオン達がオリオン領へ着いた頃、バカ王子は窮地に立たされていた。
「この!大馬鹿者め!!!!!!!」
王城の謁見の間にて、父である国王の罵声が響き渡った!
「グハッ!何をするんです!」
父親に罵倒され殴られたバカ王子ことライクは父親を睨んだ!しかし、いつも溺愛して甘々な父親が初めて憎しみと増悪のこもった目で自分を見ていた事に、初めて恐怖を覚えた。
ライクは現国王の正室である王妃の子供である。しかし長年子供に恵まれず、ようやく産まれた子供だったため、甘やかされて育った。しかも、側室を含めて女しか産まれていなかったので待望の男の子と言う事で、それはたいそう喜ばれたのだ。
その甘さがこのボンクラ王子に育ったのだが、流石の国王も、最低限の勉学をさせていて、まさかオリオン家に逆らうとは思っていなかったのだ。更にいえば、子供の命より自分の命が大切であると考える者であった。
故に、バカをやらかした王子に激怒するのは無理もないだろう。
「貴様のせいでこの国は終わりだ!厳密にいえば、王家がだ!皆殺しにされるぞ!」
父親の言葉にライクは反論した。
「何故ですか!?王家に反逆したのですよ!貴族達に勅命を出して討伐すれば─」
最後まで言わせず国王はさらにライクを殴った!
「貴様は今まで一体なにを勉強していた!?」
バキッ!
「ぎゃっ!」
「ハァハァ!教育係や私や王妃から、口を酸っぱく言われていたはずだぞ!オリオン家を敵に廻すなと!オリオン家の娘が王城に来たときの態度で、どれだけ叱った!」
ライクはまだ理解できていなく、頬を押さえながら呆然としていた。
「オリオン家は魔境の森に面しており、毎日魔物と戦っている!毎日だ!精鋭1万ものオリオン家が攻めてこれば10万の、烏合の衆の軍隊を揃えても勝てぬわ!しかも、学園で貴様が起こしたバカ騒ぎのせいで、貴族のほとんどはオリオン家に付くだろうなっ!」
国王の言葉にようやく立場を、状況を理解し青ざめたライクであった。
「せめて、貴様の趣味の令嬢を側室にあてがえば良いだけの話を!オリオン家を怒らせおって!?」
ライクは助けを求めて王妃である母に視線を送ったが、母である王妃は静かに首を振るだけであった。
「はぁ~、待望の息子が産まれたと甘やかして育てたのが間違いでしたね。元の婚約者を妊娠させたと聞いた時以上に失望しました」
「は、母上?」
「あなた、いえ国王陛下、この子の首1つで許してくれるかしら?」
!?
「母上!何を!!!?」
まさかの死刑判決に言葉が詰まる。
「わからん!せめてお前や、他の娘達の助命をお願いせねば………なんとか、王家の血筋を残せるよう頭を下げるしかないな」
国王は力なく玉座に腰を落として頭を抱えた。普通に考えれば、連座で王家に連なる直系は皆殺しだろう。
「すまなかったな。ワシが腰抜けなばかりに苦労を掛けた」
「いいえ、あなたと一緒に過ごせて幸せでしたわ」
すでに二人には悲壮感がただより、二人の世界に入っていた。ライクは逃げようとしたが、国王により牢屋へと送られる事となった。
「ど、どうして私が牢屋なんかに!?」
「今すぐ死にたいか?」
!?
「本来であれば今すぐ首をはねて塩漬けにしてオリオン家へ送る所だ!しかし、向こうで貴様を死刑にしたいと言ってくるかも知れんから、生かしてやるだけだと思え!」
「そんな!?」
ライクは引き摺られながら牢屋へと連れて行かれた。
「いいか!見張りの数を増やして絶対に逃げられないようにしておけ!それと、オリオン家について鉄格子ごしに再度勉強させておけっ!」
「はっ!」
その場にいた兵士に命令した。
「宰相は上手くやってくれるだろうか?」
すでに、御詫びの文を持たせた宰相がオリオン領へ旅立っていた。本来であれば国王自身が頭を下げに行きたかったが、そのまま殺される場合があった。国王としての公務や自分がいなくなった時の引き継ぎなどの為に、行く訳にはいかなかったのだ。
こうして、オリオン家に祈りながら過ごす事になるのだった。そう、星に願いを込めるように………
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