*第五章ー9❇︎夢
一緒に歩けるかも知れなかった。でも、霧灯は、野々花や結翔と違って、夜空より、青空のほうがきっと似合う。
「その前に、デートしようか、ののちゃん、土曜日迎えに行くからおしゃれして待ってて」
「えっ……明日?」
「早いほうがいい。そうだな、三時に駅前で待ってる。そうしたら、椎名と付き合うよ」
女子の都合など、どこ吹く風。懲りない羊なのだった。
「椎名さんと」
「きみは過去にいたいみたいだから。もう、きみの中では結翔は神か天使になってるね。そんなものに、僕は勝てない。きみが望む通り、椎名の手を取ってみるつもりだ」
今まで一番、男らしい口調だった。
「きみが教えたんだ。愛している人とのほうが幸せになれる……椎名の告白は7度目のお断りだが、考えてみるよ」
望んでいたはずだ。
でも、じゃあ、夢に出て来るのはなんでだろう?
「もう、暴走はしないからさ。きみも、迂闊に触れるなよ。目的は果たした。きみは結翔を受け入れたなら、僕は何も言わないし、言えない」
「でも、結翔さんは」
さすがに言えない。霧灯は、「だからだよ」と微笑み、会話はそこで終わった。
どうして夢に出てくるの?
どうして会いたい結翔ではなく......
取り返せないだろう。
こんぺいとうは砕けて、もうない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます