第2話 地球の哲学
「ねえ、サタン。また地球のお話を聞かせてよ」
「そうだなあ……」
あれから数年が経ち、少年へと成長したアダムは、彼を育て、守ってくれている男、サタン――かつてアダムをリリスから取り上げた男――は、黒いフードを脱ぐとほほ笑んだ。
「地球にはニーチェという哲学者がいてな。彼がおもしろいんだ。彼は言っていた「神は死んだ!」と」
「神様は死んじゃったの?」
「さあな。神様なんて最初からいなかったのかもしれない。でも彼はな、神様がいない世界でも自分が生まれたことを肯定していた」
「ふーん、つまりどういうこと?」
「生まれてきて、うれしい、ということかな」
「そっか。ぼくも嬉しいよ。だってサタンに会えたもの」
「そうか」
サタンはまた微笑むと、アダムの身体を抱きしめた。それに合わせるように、アダムもサタンの背中に腕を回し、力を入れた。サタンのぬくもりが、アダムに笑顔をくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます