第13節 -リナリアの忘れ形見-

 正午前。約1時間半に渡って大統領執務室にて行われた会合を終えた機構の一行は支部へと戻る為、既に大統領府を後にしていた。

 彼らを見送ったウィリアムが執務室を訪れてジョージに言う。

「会合はいかがでしたか?」

「非常に有意義なものだった。この国の問題について真剣に取り組んでくれている姿勢を感じることが出来た。モーガン中尉だけでなく、ウェイクフィールド少佐も。そしてその真剣な取り組みに彼らマークתも加わる事になる。とても心強いことだ。先程、警察に対しても彼らが信用に値する人物、組織であると報告を入れたところだよ。」

「それは良かった。彼らはアヤメ・テンドウさんの起こす奇跡を調査する為の唯一無二の力です。この国の現状において彼らが認識している以上に重要な役割を担っていると私個人としても感じています。」

「警察、ヴァチカン、機構、政府。マルティム、アヤメ・テンドウ。事の運びはなかなか難しいが、彼らが全面的な協力をしてくれるという点において私も心の荷が幾分か軽くなったように思う。ウィリアム、彼らが何かを必要だと求めることがあれば惜しむことなく協力してあげなさい。」ジョージは穏やかな表情をウィリアムに向けて言った。

「かしこまりました。それと、間もなく昼食の用意が整います。午後からは連邦議会が開始されますので早めにお食事をおとり下さい。」

「分かった。10分後に向かうようにする。」

「では、私は失礼します。」

 話を終えたウィリアムは一礼をして執務室より退室する。部屋の扉が閉まるのを見届けたジョージは窓際へと歩いて行き海を眺めた。

 いつもと同じ景色が輝いている。朝と同じく、特に荒れる様子もなく波が穏やかな海が広がる。

 太陽の光を反射して煌めく海面の様子を見つめながらジョージは昼食に向かうまでの僅かな時間、物思いに耽った。


                 * * *


 警察内部にある自分専用のオフィスで丁度コーヒーを淹れていたウォルターのスマートデバイスに部下から報告が上がってきた。

 コーヒーを片手にデスクへと戻りすぐにその報告に目を通す。

『大統領とW-APROの会合が終了。W-APROの使者は支部へと引き返した。』

 大統領府付近で偵察を行っている部下達からの報告だ。

 会合が終わって引き返した。ただそれだけの内容だが、ウォルターにとっては現在の膠着したままの事態が動き出すのに十分な内容だと感じられた。


 穏やかな波が荒れ狂うのは一瞬だ。

 気付いた時には大きなうねりの中に取り残されている。


 実はこの報告が上がる直前に大統領から直々に “機構の者達が信任に値すると評価した” という話を受けたばかりである。

 どのような内容を話したのかは分からないが、彼らが本来政府や警察が管轄する領域に対しても本格的に調査介入することになったのは明白だった。

 となると、警察の活動に支障をきたさない程度には情報を流してやる必要が出たということでもある。

 大統領が信任すれば情報を機構へも渡す。それが昨晩ウィリアムと交わした約束でもあるからだ。

 ウォルターは鼻で溜め息をつき、机にコーヒーを置いて代わりに内線電話を手に取る。そして情報を統括する部門へ連絡を取り、機構に対して “一部を除いた” 捜査資料を送信するように命じた。

 電話を切ると椅子へ腰を下ろし背もたれにもたれかかる。

 しばらく何も無いところをぼんやりと見つめながら、今後の捜査について考えを巡らせる。

 思考を巡らせながらコーヒーカップへ手を伸ばし掛けたが、ふとあることに思い至り、その手の行き先を自身のスマートデバイスへと変えた。

 そして、デバイスを手に取るとアドレス帳には登録していない番号を入力し、 “とある人物” に連絡を取った。


                 * * *


 地下に設けられた一室。細身の男と大柄な男の2人が退屈そうに椅子とソファに腰掛けている。

 大柄な男はつい先程かかってきた電話での話を終え、手持ちのスマートデバイスを机に置いたところだった。

「何の連絡だ?」口でくわえた煙草に火を付け、机に脚を投げだした横柄な態度の男が口を開く。

「面白みの無い内容だったぜ?海外からの客人が動き出したっていう内容だ。」いつもと変わらぬソファを所定地にして座る大男が答える。

「そうかよ。」

 煙草の煙をつまらなさそうに吐き出した男は、全てを見下すような視線を天井へと向けた。そして左手に持った写真を翳して見ながら大柄の男に問い掛けた。

「例の小娘の方はどうなっている?」

「次の奇跡が起きるより前には始末できそうだ。」にやりと笑いながら大男は答えた。

「今日中か?」

「そうしたかったけどよぉ。ちょいとした諸事情で先延ばしになった。」

「なんだそりゃ?殺る気あるんだろうな?」煙草の火を揉み消しながらせっかちな男はだるそうに言った。

「仕方ねぇよ。予定では来週には片が付くことになってる。何でもこの島に来たお客絡みでな。よく知らねーんだけどよ、さっき話した海外からの客人ってのが大西洋の方から来た機構の応援って話だ。その影響も手伝ってか市街地での調査活動が活発になっていて迂闊に近付けないんだと。焦って尻尾を掴まれるよりマシだろ?」

「新顔の来訪と活動活発化に繋がりは見えないが…まぁいい。あんなデタラメに対して誰が来て何を調べようと無駄なことだろうさ。」

「まったくだ。おかげでこっちも動きづらくていけねぇ。でも来週になりゃ、そのデタラメなガキの影響で今市内をうろちょろしている調査の目はナン・マドール遺跡に向かい始める。市街地への関心が薄くなるタイミングが頃合いだろうぜ。あとは国際文化交流なんとかっていうおあつらえ向きの祭りもあることだしな。」

「ガキを1人殺るのにここまで丁寧な仕込みが必要になるとはな。」細身の男は再び天井を見上げながら大きな溜息をついた。

 アヤメ・テンドウの写真は机の上に放り投げられる。

 組織の障害となる者には死を。ゆっくりと、しかし確実に男たちの狂気が少女の身に迫りつつあった。


                 * * *


 正午。大統領府から支部へ戻った一同は午後1時から始まるヴァチカン教皇庁の使者との会合の前にそれぞれが昼食休憩に入っていた。

 玲那斗とイベリスは皆とは昼食を別にとることに決め、食堂のカウンターでサンドイッチとサラダ、そして飲み物を受け取り2人揃って部屋へと戻る。

 先程の大統領府での会合の時にも気になったことを確認する為に、玲那斗からイベリスに昼食を部屋で一緒に食べることを提案したのだ。


 持ち帰った昼食をテーブルに置いて、椅子に座って一息ついてから玲那斗が言う。

「お疲れ様。初めての任務同行はどうだった?」

「ありがとう。実はまだあまり実感が湧かないの。みんなと一緒に任務に同行してみて、疲れたとか、大変だったと感じたりする以前に一生懸命やらなくちゃっていう気持ちが先にあって、そのことで頭が一杯だからかもしれないわ。それにまだたったの半日だもの。」

「そうか。俺も最初はそうだったよ。今のイベリスと同じことを隊長に言ったことがある。」

「そうなのね。」イベリスは笑いながら言った。そして持ち帰ったミルクティーを一口飲んでから言う。

「大統領との会合で、私は何かおかしなことを言ったと思う?」

「いいや。みんなが思ってることをしっかり話してくれた。君のことを、君自身の言葉で。素晴らしかったと思う。」玲那斗はオレンジジュースを飲み、サンドイッチの包みを開けながら言った。

「そう、それなら良かったわ。」

「あぁ。俺の初めての時なんかと比較にならないくらい凄くよく出来ているよ。堂々としていて物怖じしない。」

 話をしながら互いにサンドイッチを頬張る。具材はレタスと玉子、そしてチキンがサンドされたものでてりやき風味の味付けがされている。

 食事をしつつ、玲那斗は昨日から気になっていることを尋ねてみることにした。ヴァチカンの総大司教についてだ。

「イベリス、ひとつ聞いてみたいんだけど良いかな?」

「えぇ、もちろん。」

「昨日の会議の時と、今日の大統領との会合の時に気になったことだ。ヴァチカン教皇庁の総大司教ベアトリス。パトリアルクスであるロザリアという少女の名前が出た時に動揺していたように見えたんだけど、何か知っているのかい?」玲那斗はイベリスの目を見つめながらストレートに聞きたいことを伝えた。

 質問を聞いたイベリスはサンドイッチを食べる手を止め、ティッシュで口元を軽く拭いてから玲那斗と目を合わせて答える。

「貴方にだけは昨日の時点で伝えるべきだったかもしれないわね。私は彼女の名前をよく知っているの。思い違いでなければ、おそらくは同一人物。もし、仮にそうであれば “私達の” 知り合いということになるわ。」イベリスの目は真剣だ。

「まさかとは思うがリナリア公国にゆかりのある人物ということかい?」

「そう、同郷よ。リナリア七貴族の中における一家の令嬢。島の教会と礼拝堂の全てを管轄していた貴族の長の娘。その名前がロザリア。ロザリア・コンセプシオン・ベアトリス。一族の中でも神に仕える為の最高の資質を兼ね備えていると言われた少女で、公国が戦火により滅びるよりずっと前にローマのサンピエトロ寺院へと渡った才女。私達が彼女と直接話す機会は滅多になかったけれど貴方の中のレナトも覚えているはず。」

「名前を聞いた時に胸の奥で妙に引っかかる感覚を覚えたのはそう言うことか。イベリスの様子を見てまさかとは思ったけど。」

「午後の会合で実際にその姿を見てみるまでは可能性の話としか言えない。けれど、もし総大司教が私の知る彼女であるならば私のことを知っているのは当然であって何の不思議もないわ。ヴァチカンが例外中の例外として、教皇不可謬説を覆してまで彼女に司教職を与えた理由についてもね。」

「その確認の為にキリオン大統領にあの質問をしたのか。」

「えぇ。今日中にその機会が訪れるのだから会えば分かる話ではあったのだけれど、どうしてもその場で聞いてみたかったから。」

 そこまで言い終えるとイベリスは再びサンドイッチを手に取って食べ始めた。


 玲那斗は考えた。もし仮にイベリスの知るロザリアという少女がこの後の会合で話をする総大司教と同一人物だとすれば、それは一体どういう存在なのだろうか。

 深く考える必要もなく千年もの間を生身で生き続けることが出来る人間など通常存在するはずがない。かといってイベリスのような特別な例として考慮するのも現実的とは言えないだろう。

 ただ、思い違いで別人だと仮定すると今度はイベリスの存在を知っているということに疑問が生じてくる。

 どうあっても現状では結論を棚上げせざるを得ない。本人に会うまで何とも言い切ることが出来ない話だ。


「もし、そのロザリアという総大司教がイベリスの知る人物と同一だったとして、ヴァチカンがこの地に彼女を使者として送ってきたことにも意味があるということだろうか。」玲那斗が呟く。

「ごめんなさい。そこまでは分からないわ。」呟きを全て聞き取ったイベリスが答える。

「あ、いや。こっちこそごめん。ヴァチカンの意向なんて君に聞くことでは無かったね。」

「良いのよ。それよりこの後に会う人物が本当に彼女本人なのかという確認は大事だと思うわ。千年もの時を越えて存在を保つことが出来る常識外れの人物が同じ土地に二人も三人もいるとしたら…それは玲那斗の言う通り何か意味のあることだと私は思う。」

「意味、か。アヤメという少女に関わるにあたって必要なことだから…なのか、それとも別の何かがあるのか…」

「決めつけるにはまだ早いけれど、そうであるなら私がこの地に招かれたのも必然だったかもしれない。少佐が事件解決の為のパズルのピースとして、私と言う存在を真っ先に思い出した感覚というのも実は間違いでは無いのかも。そして、私だけではなく貴方が関わることもまた同じように。」


 彼女の言葉を聞いて玲那斗は考えた。

 総大司教ベアトリスという人物がリナリア公国の出身者だとすればイベリスのことを知っていることは納得できる。

 ただ、千年もの長きに渡り肉体を維持したまま生き続けるなどやはり不可能だ。伝説などで語られる “不老不死” などというものが実在でもしない限り有り得ない。


 本当に同一人物なのか否か。


 イベリスの知る人間なのかどうかは、彼女の言うように最初に確認しておいた方が良さそうだ。


「イベリス、午後の会合で総大司教に会えば同一人物かどうか見分けられるか?」

「えぇ、きっと。同一人物であれば貴方も何か感じるかもしれないわね。私は相手がどういう風に接して来るか様子を見ようと思うわ。」

「分かった、それで行こう。話してくれてありがとう。」玲那斗はイベリスに礼を言った。

「どういたしまして。」イベリスが笑顔で返事をする。

 午後にヴァチカンの使者二人と対面した時に真相が明らかになるだろう。その瞬間は間もなくだ。

 総大司教に関する話し合いを終えた後、二人は他愛のない会話に花を咲かせながら残りのサンドイッチを食べ、束の間の休憩時間を楽しんだ。


                 * * *


「もうすぐ彼女との再会ですわね。なんだか胸が高鳴りますわ。」

 機構支部へと向かう車中、見た目相応の無邪気な笑顔を浮かべながらロザリアが言う。

「ロザリア様、お気持ちは理解出来ますが今はお慎みを。我々はヴァチカン教皇庁の代表として会合に臨むのですから。」はしゃぐ様子のロザリアを見たアシスタシアが運転席から釘を刺す。

「あらあら、また貴女に怒られてしまいましたわね?えぇ、えぇ。貴女の言う通り、わたくしはとても気分が良いのです。長きに渡る歴史を越えて過去の知り合いと再び相まみえる瞬間が間近に迫っているのですから!」


 ロザリアの反応を見たアシスタシアはそれ以上何も言わなかった。

 この地にイベリスが来訪したことが分かって以降、彼女は常にこんな具合だ。同郷の知り合いと再会する瞬間がどれほど楽しいものなのかは自分には分からない。というよりも、生まれて以来そのような感覚を-知り合いという存在を-もったことが無いから理解できない。

 そんな自身が分からない感覚によって、普段は冷静沈着な彼女が立場というものを度外視して恋する乙女のように昂る姿を見るのは何とも落ち着かない気持ちになる。

 ただ、イベリスと言う人物について自分自身も深い興味を抱いていることは事実だ。彼女から話を聞く程度の知識しか知り得ないが、自身がこの世で最も敬愛する人物をここまで昂らせる女性とはどのような人物なのか。

 そこにはきっと、同郷の知り合いという理由を越えた何かがあるに違いない。勝手ではあるがそう解釈している。


 アシスタシアは複雑な思いを抱きながら車を走らせる。

 間もなく機構支部の地下駐車場へと辿り着く。その先は支部司令のモーガン中尉が会議室まで案内してくれる手筈となっている。

 自身の解釈が正解か否か、その答え合わせの時間は刻一刻と迫っている。

 

                 * * *


 ポーンペイカトリックスクールの屋上にアヤメの姿はあった。

 昼食を食べ終わると午後の授業が始まるまでの間一人でこの屋上に来て過ごすのが彼女の日課である。

 元々は長い平屋の校舎だったらしいが、近年に外国政府の援助を受けて建て替えが行われ、今は4階建ての立派な校舎へと生まれ変わっている。

 校舎の屋上はたまに授業で解放される以外は通常閉鎖されており、アヤメ以外の生徒が立ち入ることは無い。

 年間を通じて晴れた日の日差しが暑いが、校舎の日陰になる場所に居ればそれほど暑さも感じない。時折吹く風に当たる瞬間はむしろ心地よい。

 不安定な天候による突然のスコールをしのぐだけのひさしもある。

 そんな場所で空を見上げたり海を眺めたりしながら物思いに耽る時間は、今の彼女にとって至福のひとときだ。


 今日の夕方はマークתと呼ばれる機構の調査チームが両親と話をしに自宅を訪れるという。その中にはおそらく彼女も含まれるのだろう。アヤメはそう考えていた。


 イベリス。リナリア公国の忘れ形見。

 公国が滅びる最期の瞬間にその命を散らした悲劇の新王妃。


 自身ととても縁の深い人物。直接話す機会は滅多に無く、友人と呼べるような関係性でも無かったが、自分がこの世で最も敬愛する人の親友ということで一目置いていた。

 清廉潔白、容姿端麗、蓋世不抜。彼女を言い表す言葉というものには枚挙にいとまがない。

 当時の公国内でも彼女ほど多くの人々から憧憬の念を抱かれた人物もいないだろう。


 アヤメはそんな彼女の昔を記憶を思い出していた。

 ただ、正確に言うと “この体の本来の持ち主” である “アヤメ” とイベリスの縁が深いわけではなく、そこに割り込みをしている “自分の魂” に縁が深いという方が正しい。


 今からおおよそ5年前、2031年12月のクリスマスの日にアヤメ・テンドウという少女を依り代として自身の魂は現代に蘇った。

 何がきっかけだったのか、どうしてそんなことが起きたのかは分からない。ただある日そうなっていたとしか言えない。


 自身の本来の名はアイリス。

 アイリス・デ・ロス・アンヘルス・シエロ。


 リナリア公国における七貴族の一家の娘である。

 最初は自分が深層意識の中でじっと周囲を窺うようにして過ごしていたが、今はアヤメ・テンドウと互いが納得した上で奇跡を完遂するという目的の為に主人格を入れ替わりこの体の主として振舞っている。

 表層意識と体のコントロールは自分が受け持ち、深層意識にアヤメがいる。

 アヤメとは意識下で互いに会話することも出来る。日常生活で分からないことがあればすぐに彼女が意識下から助言をしてくれる為、特に不自由もなく過ごすことが出来ている。

 アイリスである自分がアヤメと呼ばれることや、生みの親ではない人物をお父さんやお母さんと呼ぶことに最初は違和感があったが今ではそれも慣れてしまった。

 今では彼女本人と比べても遜色ないほどに “完璧なアヤメ” として振舞うことが出来るようになっている。



 アヤメの意識下に目覚めてから、紆余曲折を経て数年の歳月が流れた。

 自分の目的とアヤメの目的を果たすために計画をして決行に及んだ半年に及ぶ奇跡の再現も残すところ2回。

 自身が持つ力とアヤメが持つ力を合わせて起こす奇跡によって互いの目的は達成される。


 親愛なるお姉様。あの時果たせなかったことを果たす為に私は…


 目を閉じてアイリスは心で祈った。あの日、あの時果たせなかった自身の役割を、想いを伝えたい。ただその為だけに今こうしてここにいる。


 アヤメが考え事に耽っていたその時、どこからともなく先生の声が聞こえた。

「テンドウさん?やっぱりここにいたのね。午後の授業が始まりますよ。」

 視線を横に向けると、昼に自分がここで過ごすことを校内で唯一知っている先生の姿が見えた。

 周囲の気配を感じられない程考えることに夢中になっていたらしい。

「すみません、今行きます。」

 子供らしい明るい笑顔で返事をしたアヤメはパタパタと駆けだし先生の方へと向かった。


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