動き出す野望
「誰からの刺客だと・・・」
「それとこの鬱陶しい幻覚も消せ。私の白鳥印の『なんでもみエールくんRX』には、遠近自動調節機能に加え、ブルーライトカット、魔法探知、幻覚防止、望遠機能などもろもろ使われている。当然お前の本来の姿もわかる。なぁ少年」
白縁のメガネを上げて、刺客を見据える。
「当ててやろうか。私の命を狙うのは、他企業の人間、人間を目の敵にする魔法族、そして女王。だが、貴様はこの街の人間ではないな。差し詰め、私にかけられた懸賞金目当ての賞金稼ぎといったところか」
うん・・・、違う。俺はそこに立っている娘から仕事を依頼されたカウンターズの下っ端だ。魔法界に立て付く白鳥社長の戦闘能力を探るという役目を預かった。まさか新しい隊長が、同じ車から降りてくるとは思わなかったのだが。いったいどんな関係なのだ。
「私にかけられた賞金1億円に目が眩んだ哀れな魔法使いよ。泣いて謝っても許さないぞ」
やめて、背後の娘さんがすごい残念そうな顔をしている。
「娘の前なんでなカッコつけさせてもらう」
そういうとネクタイを緩め、スーツのボタンを外す。確かに中年にしては腕につく筋肉はしっかりしていて、腹も出ていない。
「はは。魔法使い相手に肉弾戦でも挑もうって言うのか」
新隊長直々の依頼に対して、どんな相手なのか警戒していたが、杞憂だったようだ。
彼はおもむろにズボンに手をかけて、おろす。中からは派手な色合いのスカートが出てきた。
「・・・え?」
シャツを両手で掴むと思いっきり引きちぎった。中から見えたのはこれまたフリフリの派手な色の服。
「・・・ふぅ。魔法中年 シラトリさん! マジカルチェンジ完了」
「ぎゃあああああああ」
フリフリのドレスの袖から出るのはムキムキに鍛えられた木かと思うほどの腕。スカートから覗くのはもりもりの足。
み・・・見るに足りない。
「正義の魔法使い さちよに変わって、お仕置きしちゃうぞ」
「ぱぱ・・・」
「カレン危ないから下がっていなさい」
「危ないのはパパの格好デース」
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