第三章4話 さちよさん襲来

「がははははは!おとなしく降りてきな」


車の周りは杖を構えた魔法少女に取り囲まれていた。


「カレンこれは、お前の差し金か?」


「は、まさかデース」


肩をすくめる娘を見て、ため息をつく。


「だろうな」


運転手を含めた3人が車の外にでる。


「がははは!悪いことは言わねぇ!命が惜しかったら金を寄越しな!私は天下のさちよさんだぞ!」


「…悪いことは言わないデース。今すぐに降参してクダサーイ」


「はぁ?馬鹿が!寝言は寝て言え、え?」


スーツ姿の少女の警告を鼻で笑った彼女は、眼前に迫る拳をギリギリのところでよけた。


「…避けられたか」


「ち!囲まれてるのがわからねぇのか!」


鼻先から血を流しながら、さちよが叫ぶ。


「囲まれている?何に?」


白鳥社長はメガネを指で押し上げる。


「私には、見えないぞ?貴様の魔力しか。いい加減にさちよの真似をやめろ。三流が」


明らかにたじろぐさちよにトドメを刺す。


「なんだ、その杖は、さちよの杖は三本だ。間違えるな!そのローブも白鳥デパート魔法婦人服売り場にあったセール品。髪色など似ても似つかない!彼女の髪は燃えたぎるマグマのような真紅だ!お粗末な変身魔法でさちよを名乗るなど。彼女のスリーサイズはな、貴様の貧相な胸とは違う天然物だ!」


「パパ、落ち着いて」


冷めきったカレンの声でふと、我に変える社長。


「…ごほん。要するに、貴様が偽物なのは、分かりきっている。誰の差し金だ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る