第三章第3話 白鳥さんちのカレンちゃん

白スーツを着た区長は、目の前に座る白鳥社長の問いかけにたいして、あっけらかんと笑う。


「もう!せっかく演じ切ってたのに、残念デース」


白鳥社長は、静かに彼の姿を見据え言う。


「早く魔法を解け。その姿でその口調は調子が狂う」


少し肩をすくめ、スーツの胸元から杖を取り出してふるう。


胸元がふくらみボタンがきつそうに悲鳴をあげる。

袖を通す腕が短くなり、ズボンもだぼだぼになる。

ひらひらと余分になったそでをふって父親に話しかける。


「パパって毎日会社でもあんなつまらない会議をしているのデスか?」


「そんなわけないだろ?うちの会社はおむつから墓石までの白鳥コーポレーションだ。会議はマラカスもって、パンイチで踊るくらい楽しい会議に決まっているだろ」


「カオスすぎデース」


くすりともせず、大真面目な顔をする父親に冗談なのか不安になったが、父親を信じることにした。


「ところで、カレン。学校の方はどうだ。」


「そつなくこなしていマス。勉強も人間関係も」


「そうか。もうすこしで学園祭があるようだな。」


カレンは父親の表情を読むが、固い表情は崩されなかった。


「ん~」


正直あまり乗り気ではなかった。ほのかたちの前では、あんなだけど正直悪目立ちはしたくない。破魔町の中学生としての顔、カウンターズとしての顔、白鳥家の娘としての顔、それに


「まぁ。せっかく普通の生活ができているんだ。悔いのないようにな」


普通・・・ね。


「なんでこんなに胸が苦しくなるんだろう…」


「また、大きくなったのか」


「もうパパ、デリカシーがないんだから」


からからと笑う。


「む、すまん」


この町の企業を一手に担う白鳥社長でも、娘の前では形無しだ。急に車が止まった。


「ん・・・どうした?」


「がはははは!この町の権力者が乗っている車ってこれか?」


たくさんの赤髪の魔法少女が車の周りを囲んでいた。


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