第3章2話

突如として現れた人物に、全員が身構える。それぞれ身構えた理由はことなる。一人は萎縮を。一人は警戒を。一人は敬意を彼に向けた。


「白鳥さん、ご多忙と聞いていたので、お越しになられるとは、思っていませんでしたにゃ」


用心深く、猫耳の娘は問いかけた。破魔町の創設のころからいたメンバーは知っている。容赦のないこの男。ある目的のために白鳥財閥を一代で築き上げた。そしてこの町の魔法国と破魔町との力のバランス。区長制度などのあらゆるルールに彼はかかわっている。


「あぁ、まるで、私がいない時に会議が開かれてる気がしてならなくてね。この街への1番の出資者のはずなんだがな」


するどく問う。彼の狼のような眼光が会議の参加者全員に向けられる。


「し、白鳥くん。決して、我々は君を除け者にしようなんて」


ばかが。猫の魔法使いは舌打ちをしたくなった。もちろん顔はポーカーフェイスだが。


「われわれ?そのわれわれに、私が含まれていないことが悲しいですな。破魔町ができる前からの付き合いだというのに」


そう言われて、押し黙る。


「…ともかく。わたしは反対ですな。先日の集団催眠や神社への襲撃。近隣の町の奇怪な事件、魔法国の影響が大きいのは、間違いない。カウンターズが関わっていたとの話もありますが」


そう言って学園長の方を見据える。学園長は魔法国のパイプ役な上にカウンターズのメンバーである。


「元、カウンターズにゃ。カウンターズを悪者扱いしないで欲しいにゃ。結界張ったり、魔法の発展に貢献してるにゃ。今回だって、」


「魔法の発展。我々には、その恩恵が少ないのでは?魔法国が困窮している現状から、土地を貸している状況であるのに、簡単な魔法理論も教えられない。提供されるのは、魔法が込められた充電式の魔法具ばかり。まずは自国の問題を片付けてからにしてはどうですかな。こちらに戦力をあつめて、侵りゃ」


「…白鳥くん。」


それまで黙っていた妙齢の女性が声をかけた。長い黒髪がスーツの上に来た白衣にたなびく。


「めったなことを言うべきではない。」


白鳥社長は静かに東区長を見たが、それ以上は何も言わなかった。


「と…ともかくデス!またこの話はしましょう」


彼の一言で会議はお開きとなった。


白鳥社長と、南区長は車の中で会話を交わす。


「何を考えてるのデスか?」


「今日の会議で、どのくらい引き伸ばせそうだ?」


その質問に

「まあ、2.3週間でしょうか」


「せっかちな女王様だな。ところで。いつまで、その喋り方なんだ」


白スーツの青年に話しかける。


「カレン」

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