第23話 ほのかの憂鬱
布団の中に潜り込むほのかを揺すり起こす。
「…あと5分…むにゃむにゃ…」
「学校がはじまっちまうぞ」
「あと…せぶん…」
「ふやしてんじゃねぇよ…ったくミッキュ耳を塞ぎな…」
指で銃の形を作り、ねらいを定める。
「さ~ち~よ~…インパクト!!!」
「んぎゃああああ!!」
東区にある学生寮から女学生の悲鳴が響き渡った。最近は朝の名物になりつつあり、この声を聞いて朝の支度をはじめたり、出勤したりしている。
「まったく!…毎日毎日乙女のおしりになんてことをするんですか!」
制服に着替えながら、涙目で訴える。
「いや、さちよインパクトだけど」
「…いい歳した大人がカンチョーとか小学生っきゅか」
「ガッハッハッ!揺さぶっても起きないほのかが悪い」
このままじゃ、わたしのおしりがもたないよ。さきちゃん、カムバック!
大慌てで身支度をすませる。
「で、さきのやつは、最近見かけないが」
「わたし杖がこわれちゃったから、いつもより早く出ないといけないんだよ。それに、さきちゃんはこないだの時に活躍出来なかったから修行するんだって」
魔法を使っての登校ができないのが残念だ。
「まぁ、操られて味方差し出すんじゃ。街の守護者失格だわな。ガッハッハッ。竜崎の一族もお優しくなって。なぁ、ミッキュ」
「そうっきゅね。先代の竜崎の魔法少女はめちゃくちゃ強かったから、正直物足りないっきゅ」
そんなミッキュを睨んでだまらせる。
「さきちゃんを悪く言わないで。わたしさちよさんに杖壊されたの根に持ってるんだよ」
「ガッハッハッ。いや、まじすまん!」
「今日の放課後だからね」
「おう!杖を買いにいくんだろ。まかせな。顔が効く店があるから。いってきな」
「いってきまーす。ほら、ミッキュいくよ」
笑顔でほのかを見送った後、さちよはテーブルに水晶玉をおき、街の地図をひろげる。
「さてと私の杖ちゃんはどこかな?」
水晶玉が輝いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます