第20話 エピローグと見せかけたプロローグっきゅ!あれでじゃぶっきゅ?

 一夜開け、御神木の上空に2つの影があった。

「…隠れよ、隠れ!潜みて、潜め!隠れんぼ《ハイドアンドシーク》っと、いっちょあがりにゃ」


 猫耳のフードを被った白髪の魔女が額の汗を拭った。


「さすが七禍さん。こんな短期間で破魔町の数百ある結界を直すなんて」


 若い男の魔法使いが賞賛する。青い短髪が風で僅かに揺れる。


「にゃっはっはー!術式はパズルと一緒にゃ!コツさえ分かれば、楽勝にゃ。周りから埋めていくだけにゃ。まぁ六駆むくにゃんの杖があるからだけどにゃ。さすが杖職人界の若きホープだにゃ」


 彼女の杖は、先端に魔石柄埋め込まれており、その周りを小さな魔石が恒星のように回っていた。


「伝統をぶち破るスタイルにゃ!かっこいいにゃ」


「ありがとうございます。まだ親方には怒られてばかりですよ。七禍さんこそ、球体魔法術式なんて、古代魔法よく再生させましたね」


「にゃっはっは!魔法と魔術は違うにゃ。古代魔術にゃ。魔法は、生まれ持った才能が全てだけど、魔術は術式を知ってれば誰でも出来るにゃ。ところでにゃ、昨晩破魔町で暴れ回った彼女の杖は、どこにあるニャ?」


「なんでも、別々の場所で管理してるらしいですよ。指折カウンターズ禁忌デッド・赤髪レッド』の三本杖。いやぁ、舐めまわした、失礼、撫で回したいなぁ」


 うっとりと少年が言う。


「…どんな言い間違えにゃ。なんで、うちには変な奴が多いんかにゃ。つか、わたしの結界ぶち抜いたほのかとかいうクソネズミはどこにゃ!次会ったら噛みちぎるにゃ!!」


「あなたもなかなかですよ。さちよさんの魔力で杖が破裂したらしいから、ほのかちゃんもしばらくは動けませんね。」


「ほのかちゃん?随分親しげだにゃ?」


「僕の学校での後輩でして」





 破魔町立第二中学校では、朝のホームルームが行われていた。


「スタンダップ!アテンション!バウ!」


「カレンちゃん、今日も元気だね」

 となりの席に座るさきちゃんは大きく欠伸をする。

「私は寝不足だよ。昨夜は検査やら聴取やらで、へとへとだ」


「まぁ、すぐに復帰できたからいいじゃん」


「宮内ほのか!龍崎さき!私語を慎みなさい!白鳥カレンも写真を見ながらヨダレをたらさない。何枚目ですか。貴方から没収した写真で個展が開けそうです!」


「あああぁぁぁわたしの妹成分があああぁぁぁ」


「さて、今日は転校生を紹介します。入りなさい」

 教室がザワつく。


「天照、天馬です。よろしくお願いします」


「!?工エエエエ工!?」


 ほのかたちの絶叫が空に響いた。

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