第2話 クラスの子

入院4日目

看護師さんにベットを上に傾けてもらったのはつい30分程前のことだった。

陽くんが一昨日お見舞いに来たときにくれた最近流行っているらしい漫画に夢中になっていた。

ガラッと病室窓が開く。

入ってきたのはかなりの美少年のわたしと同じくらいの年の青年であった。


「和葉さん、事故の怪我大丈夫?クラスで話し合って僕が代表で来たんだ。」


──クラスということは学校の人だろうか。

嫌な人間である私なのに彼は嫌っていないのだろうか。

彼の考察をしていると彼が思い出したように話しだした。


「あ、そういえば記憶喪失って聞いたよ。やっぱり僕の事覚えてないよね。」


「うん…ごめん。」


「謝らなくていいよ。悪いのは和葉さんじゃなくて信号無視した車の方だから。」


彼は私が嫌いではないのだろうか。

きっと普通なら女子が来るだろうに男子である彼が来たということは女子達が来るのを嫌がったからだろう。

「ねえ」


「!?どうしたの?」


私から声をかけられたことにびっくりしたようだった。

「貴方は私を嫌ってないの?」


「嫌う?なんで?」


「だって、陽くん…私の弟から私は家に帰らなくて最悪なやつだったって聞いたから。」


「…!」


聞いてはいけなかったのだろうか。


「そんなことないよ!だって和葉さんはクラスの中心で笑ってる可愛い子だもん!」


「ちょっ、そんな褒めないでよ。」

顔が熱くなるのを感じた。


「あ、ごめん…」

彼の顔が真っ赤になる。



数秒間の沈黙が続いた



話しだしたのは彼の方だった。

「もうこんな時間。これ学校の課題、先生は時間があったらやってって、あとこれは板書まとめたノート。良かったら使って。また来るね!」


それだけ言い残して行ってしまった。

ファイルに入ったノートの表紙には板書まとめノートと書いてあった。


五十嵐裕翔いがらしゆうとくん、か…」


私は何故陽くんと裕翔くんの間で人柄が違っているのだろう。



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