雨の日の朝
いつものように目を覚ました。
雨が降っている。
あなたは目を閉じて、うっすらと微笑んでいる。何万回と見てきたその笑顔は相変わらず綺麗だ。あなたの髪を撫でながら思う。
ベッドから離れて、キッチンへ向かう。
あなたのやるように見よう見まねで、初めて朝ごはんを作ったのはいつのことだったか。卵を握りつぶし、フライパンを曲げてしまった私にも、あなたは優しく笑ってくれた。そんなことを考えていたら、目玉焼きが焼き上がった。
パンを一枚取り出して、その上にのっける。うん、今日も上手くできた。
あなたはまだ目覚めていない。あんまり深く眠っているみたいだから、起こすのは忍びなかったが、このままだと冷めてしまう。私はあなたを軽くゆすった。
キイッ キイッ
また身体の軋む音がする。出逢った頃から、ずっとだ。別に動きに支障はないから良いが。
キイッ キイッ
身体の軋む音だけがする。
だけがする。
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