暖炉

 私は、一番頑丈そうな机を差し出して、

「自分の家だと思って、くつろいでね」

と言った。


 ギギ?


「どうぞ、座ってね」

私が言い直すと、あなたは徐に座った。

 さあ、お客さんには美味しいものを出さなくちゃ。でも……

「あなたって、何を食べるの?」

 もしかしたら家にあるものが全部食べられない、なんてこともあるかもしれない。

 キュイッ

 あなたは腕を暖炉の方に伸ばした。

「あら、あれを?」

 薪……を食べるのかな?私は薪を持ってきて、あなたに差し出した。

 ギギッ

「うーん、違うのか……」

 暖炉の近くの花を持ってきても、花瓶の下の棚のパンをとってきても、家中のものを試してみたが、あなたは首を振るばかり。


「……ま、いいか」

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