最高神へのお仕置き
いちかちゃんと同化して、より深く繋がった今の俺は以前よりもより多くいちかちゃんの慧眼を借りることが出来る。
そして、その慧眼のお陰で俺は最高神のステータスを見ることが出来ていた。
種族名 神人
名前 『 』
体力 1350/1350
筋力 220
魔力 1万7830
敏捷 58 (神界単位)▲
Lv 5340
職業 調停者
固有スキル
『神界の支配』
称号
『最高神』
種族は神で、名前は知らない言語で書かれていたために全くもって理解できなかった。所謂真名ってやつかもしれない。
そしてステータスは数値上ではスゴく低いが……この『神界単位』と言うもの。
最早ステータスを失った俺には具体的に示すことが出来ないが、以前見たポセイドンのステータスを見る限り、その最低単位は人間に換算すると『垓』だろう。
そう考えると、最高神のステータスはそんなに高くないように感じられた。
いや、筋力220垓とかあの少女の身体を見れば意味解らないけど。
それでも、以前の――ステータスを失う前の俺よりも魔力は低いし、それ以外もめちゃめちゃ高いというわけでもない。
今の俺といちかちゃんはステータスがないから、具体的に最高神と比べるのは難しいけど。そんなことを考えていると、先ほどまで戸惑いを大きく見せて、キョロキョロしていた最高神が不機嫌そうな顔で何かをしようとした。
何かは解らない。しかし、これで神の世界に帰られたら色々とパーになる。
俺は、分身との戦闘訓練で幾度となく使い身体に覚え込ませた『縮地』と『瞬歩』によって、距離を限りなく0に、速度を限りなく無限に近づけて最高神の腹を殴る。
ぬちょり、もの凄く嫌な感触と共に最高神は殺戮機械人形の方へ吹き飛んだ。
殺戮機械人形はそんな最高神を、刃や鈍器或いは拷問器具のような装備で受け止める。――次の瞬間、俺が見た最高神は少女の姿からただの肉塊に変わっていた。
「……あぁ」
まぁ、以前より強くなっている確信はあった。それに加えていつもの自主訓練の癖で魔力も込めた全力のパンチを放ってしまった。
如何に最高神と言えども、耐えようがなかったのだ。
しかし、やはり最高神と言うべきか肉塊の状態からでもジュクジュクと身体を再生させていく。
ステータスを失う前の俺でも(ついぞダメージを負う機会が殆どなかったから試せなかったけど)自動回復だけであれくらいは出来たし……
そんな再生していく最高神を殺戮機械人形たちはよって集って拘束した。
2mはある巨体を、惜しみなく使って。ある人形は最高神の右腕を凍らせながら。ある人形は最高神の左腕を燃やしながら。ある人形は最高神の左足から超高圧の電流を流しながら。ある人形は最高神の右足に杭を何本も打ち込み血液を抜き取りながら――それぞれに一万体ずつが力を貸し、機械人形たちは再生する最高神を全力で拘束していた。
「い、いだいっ……! 不敬ですっ! 最高神である、うぐっ……私にこんなっ……」
最高神は、明らかに痛そうなその拘束に悲痛そうに顔を歪めながらそれでもまだ、恨み言を呟いていた。
そんな最高神を哀れむでもなく、冷ややかに見ているいちかちゃん。
本気で怒らせたら怖そうだなぁと思いつつ、ちょっとあんな視線で見下ろされたいと思う俺はもう色々と末期なのだろうか?
いちかちゃんと感覚を大きく共有してしまった今でも、俺に対していちかちゃんがあんな冷たい目を向ける方法に見当も付かないけど。
そんなこんなで、最高神は全10万体の機械人形を前に手も足も出ていなかった。
いや、まぁここは神の世界じゃないし。引きずり下ろせた時点でなんとなく解ってはいたんだけど。
最高神はえげつない方法で拘束され、何も出来なくなったところを殺戮機械人形によって、粘膜という粘膜に唐辛子や山葵をブレンドした拷問用の激辛クリームを塗りたくられていた。
服をびりびりに引き裂かれ、最早何で作ったのか忘れた――あぁいや思い出した。10万体も居るが故に、性能の種類のネタが尽きてなんとなく激辛クリームを装備した殺戮機械人形を1000体ほど作ったんだった。
あのクリームはキャロライナリーパーを更に品種改良したり、魔力や呪いや魔法を施してえげつない性能になっている。
最高神は声にならない悲鳴を上げ、ぐちゃぐちゃに顔を歪め、のたうち回るにも、身動き取れずえげつない目に遭っていた。
見てるだけで痛い。
思い出されるは前の人生の記憶。四歳くらいだっただろうか?
子供の頃、干してあった唐辛子が気になって一頻り触ったあと目が痒くて搔いたら地獄を見た記憶である。
あれはもの凄く痛かった。如何に最高神とは言えども、彼女(と勝手に思ってるだけで神に性別があるかは知らない)はあの時の俺よりも凄まじい苦痛を味わっているだろう。
俺はそう思うと、少しだけ最高神が哀れに感じた。
と言うか、如何に最高神が嫌な奴で一発殴ってやりたいと思っていたとしてもここまでする必要はなかったんじゃないかなぁと思う。
いや、まぁやったのは殺戮機械人形だし。機械である彼らに情を求めるのもナンセンスだとは思うけど。
俺は殺戮機械人形を止めて、拷問のような拘束も解除させる。
四肢がジュクジュクと再生されても、辛子クリームは取れないのでいちかちゃんに頼んで魔法で綺麗にしてもらった。
何か途中
「辛子クリーム痛いでしょ? 取って欲しかったら、相応の態度があると思うけど」「ごめんなさい」
「私の使い魔になる?」
「なります」
見たいな会話が聞こえたような気がするけど、思い返せば最高神は「ぇ…」「ぁぅ」「かひゅっ」としか言ってなかったような気がする。
そんなこんなで、何とか傷と辛子クリームの激痛から逃れた最高神様はびりびりに破かれた見窄らしい格好のまま地面に頭をこすりつけていた。土下座である。
その性格はとても小さく、そして打ち震えていた。
「その節は大変申し訳ありませんでした」
「その節じゃ解んないですよ」
「…………」
「お仕置きがまだ足りませんか?」
「ひっ……! その、ステータスとかスキルとか取り上げたことと、そこの佐島靖くん……様を人質に取って脅したことと……それと、それと……」
「他には?」
「その……ご、ごめんなさい」
いちかちゃん、怖ぇ。
しかし、最高神も俺の名前を公表したこととか厄災を送り込んだこととか、最高神の試練とかいって調子に乗っていたことに対する自覚はなかった。
自覚はなくても、これだけ怯えているとなれば次似たような事をすることはないだろう。さっきの殺戮機械人形の所業がよっぽど答えたらしい。
精神完全耐性を持っていなかったのか、貫通したのかは解らないけど。
まぁ、そんなこんなで一悶着あった後に結局俺といちかちゃんは最高神を許すことにした。許すというか、いちかちゃんの使い魔になったからもう危険もないというか
そんなこんなで、以前聞いてしかし答えて貰えなかった質問をすることにする。
「それで、貴方はどうして一年前――この世界に厄災を送り込んだんですか?」
「そ、それは……」
最高神は怯えながら、その経緯についての説明を始めた。
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