国家成長の軌跡

 大陸を創り、俺が国王でいちかちゃんがお姫様の国が出来てから一年が経った。


 国の名は『佐島靖王国』――そこはかとなくダサい国名ではあるが、孔明くん曰く「佐島靖の名前は世界中の人が知っているし、ネームバリューとしてはこれが一番効率が良い」との事らしい。

 国の管理は孔明くんに一任しているから、仕方なく受け入れた。


 因みに、その佐島靖王国は現在190カ国からの承認を得られている。


 最初の頃はアメリカなどが太平洋のど真ん中の領土を自国のものだと主張していたけど、孔明くんの交渉によってほぼ全ての国がこの国を認めたらしい。

 一言「異議があるなら、次は国王がそちらに出向きますが」と言ったら、反対する国はなかったらしい。……それ脅しじゃない??


 そんなこんなで、国として認められた「佐島靖王国」の人口は1000万人に及ぶらしい。滅多に外に出ないから解らないけど、住人の9割が村人以外の職業で、村人でも何らかの特殊なスキルを持っているケースが多い。

 民族は多種多様で、言語も文化も多種多様。――世界中の、職業やスキルが原因で迫害されている人たちが逃げるようにこの国に来たのだ。それは仕方がない。


 しかし、それ故にもめ事も多いらしい。それを解消するために俺は孔明くんに頼まれて、三ヶ月に一回ほど外に出ては国王演説をしている。

 内容は「皆仲良くしてね」というもので、その主目的は全国民を『威圧』することで色々と多種多様な人たちを、俺というシンボルの元なんとか纏めているらしい。


 孔明くんには何かと苦労を掛けるが、その分この前見たときは8人くらい女の子を侍らせていたし、役得もあるみたいなので申し訳ないとは特に思わなかった。


 そんな佐島靖王国の住民はレベルが全員三桁を越えていて、一部――寵愛の星のような最初から居た人たちはとうとう999の大台に突入していた。

 あちこちに設置したゴールデンフェアリーパピヨンのお陰だろう。


 それだけレベルが高く平均的な武力が強い国なので、やはり主要な産業はダンジョン資源関連のものだった。

 主に、最近では核や火力発電に変わるエネルギーとして魔石の需要が上がっておりその魔石を産出するために冒険者や強力な装備品の需要も高まっている。


 そして、その魔石や魔物の素材などの産出量は二位のアメリカと100倍ほどの差を付けて、この国が一番になっていた。


 そして、次に力を入れている産業は農業である。


 無駄に広い土地に加え、ダンジョンなどから溢れ出す濃い魔力によってこの土地の作物は強く、そして成長が早い。

 おまけに農業を促進する職業の人や、土を良くするスキルを持つ人の影響で、農作物も輸出量が世界で5位までに上り詰めた。


 逆に電子機器や機械類自動車などはまだ技術者が少なく輸入品に頼っているけど、まぁ、そのお陰で貿易摩擦が緩和できているので悪いことばかりではない。

 それに、無限のエネルギーとレベル3桁の冒険者がごまんと居るこの国に戦争をふっかけてくる国なんてないだろう。


 その間、俺はと言えば殺戮機械人形を増やしたり、改良したり。筋トレしたり。国民を威圧したり。

 後は、いつでも親父たちがこの国に来れるように、カナヘビのダンジョンの最下層と俺の実家を繋ぐ転移魔法陣を設置したり、それをいちかちゃんの両親の家にも設置したり。


 多少は色々してたものの、基本的にはいちかちゃんといちゃいちゃしていた。


 この国に来て、職業養成学校を自然消滅的に辞めちゃった影響でただでさえ自由時間が多かった俺の生活は、全てが自由時間。ついでにほぼ毎日が休みになってしまった。そうなるとやることがなくなってくるのだ。


 家事はいちかちゃんが魔法で一瞬で片付けちゃうし。


 祖父ちゃんたちとはお隣さんで三日に一度くらい会うけど、毎日会うわけじゃないし……何か祖父ちゃんたちも転移魔法陣を使って日本に行ったり、外に出て遊びに行ったりしているし。


 そうなってくると、もういちゃいちゃするしかないだろう!


 一説では、田舎の子はエッチが好きな子が多いと言うがその理由は田舎には遊べるものがなにもなくて、つまりそう言うことしかすることが無い、と言う話を聞いたことがあるけど。

 人間、暇とエネルギーを持てあまして近くに好きな異性が居るとずっとセ○クスばっかりしてしまうものだ。


 何かもう最近だと「子供出来ても育てれば良くね?」ってなって、避妊具も使わなくなりつつあるし。

「ずっと一緒に居る」とか「一生側に居る」とか、そんな感じのことは何度も言ってきたし言われてきたけど……


 それでも、そろそろプロポーズをしても良いかもしれない。

 未だに、日本の法律に引っ張られて18歳になったらって思っているけど……


 2012年4月。本来なら高校三年生に上がったばかりの年になる俺は、もうすぐ18歳だ。一緒に暮らして5年経つけどなんの問題もないし、そろそろ結婚するのも良いかもしれない。


 ただ、どうせするなら格好良くプロポーズしたい。


 この一年。ゴールデンフェアリーパピヨンを倒しても上がらなかったレベルが、この国の成長に伴って上がった。

 俺のレベルは74で、いちかちゃんは37。

 俺の強さは、ステータスで表せなくなっているけど、それでも少なく見積もっても一年前――ポセイドンと戦ったあの時に比べて、1万倍以上は強くなっている。


 それに、更に硬く魔力量を多く、込める魔法の量を増やした『靖といちかの殺戮人形Vol.2』の数は100万体に増やした。

 分身だって1000体だったのが、10万体(1000体出せる分身が、それぞれ1000体ずつ分身を出せるようになった)まで出せるようになった。


 それに……俺は、俺の腕の中で微笑むいちかちゃんを見る。


 次、最高神に挑むときはいちかちゃんも付いてきてくれる。


 いちかちゃんも、最高神には相当お冠みたいだし。それに、俺だけ危険な処には行かせたくないらしい。

 ……前回は、一番信頼できるいちかちゃんに家族を守って貰うことで安心して戦えたけど、今回はスタンピードがあるわけじゃないし、それに機械人形2を100万体設置したから万が一でも安心できる。


 精神的にも、状況的にも安心だ。


 俺は決めた。最高神にリベンジして、一発殴りに行こうと。

 そして、それから――いちかちゃんにプロポーズしよう。こんな考え、死亡フラグみたいだ。

 でも、どんな宿命だっていちかちゃんが居れば返り討ちに出来る。


 そんな安心感があるから。


「明日、最高神に挑もう――」


「うん」


 いちかちゃんは俺に答えてくれる。


 でもまぁ、その前にもう一回戦――いちかちゃんといちゃいちゃしたのは言うまでもない。

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