新たなる国家の誕生
反復試行が記憶したスキルの影響か、或いは人魔に進化した影響か。
一晩中続けても、精力が途絶えることはなかったし。コンドームは人箱じゃ足りなかったし。そのくせ次の日眠かったり、疲れが残ったりすることもなかった。
筋トレをすると性欲が高まる。スクワットをするとチン○ンが元気になるとはよく聞くけれど、そう言う効果なのだろうか?
結果として翌朝、いちかちゃんと初めて出来た幸せと良い感じにエネルギーが消費できた感じが相まって、スゴく穏やかですっきりとした気分になっていた。
今の俺は、いつもの10倍は冷静で賢いだろう。
そんな俺は、いちかちゃんと一緒にシャワーを浴びていちゃいちゃしながら昼を迎えた。その間ずっとダンジョン内に居たけど「昨晩はお楽しみでしたね」とは言われなかった。
まぁ、ダンジョンの最奥の音なんて聞こえないだろうし。職業養成学校に行く前は割とダンジョンに籠もりきりだったし。
そんなこんなで、いつもより十倍くらい賢く正にベストコンディション(一徹)でいちかちゃんを伴って、昨日の孔明くんにされた話――「国を創らない?」と言うお誘いへの返事をすることにした。
「それで――」
「結論から言えば、国、創ってみたいとは思う。でも、アメリカを滅ぼして乗っ取るのはナシだ」
そんな俺の返答に少し驚いたような、それでいて興味深そうな表情を見せる孔明くん。――もし、いちかちゃんが居なければ俺は迷わずアメリカを滅ぼしていただろう。
でも、いちかちゃんは昨日――俺のことを優しいと言ってくれた。
俺は偽善者だ。基本的に他人のことなんて興味がないし、どうでも良いと思っている。俺の知らない人がどこで苦しんでいても、俺に影響を及ぼさないなら知らんぷりをする。
でも、それでも俺は恋人の前では良い人を演じたい男の子だった。
いちかちゃんには良い人って思われていたい。だから、誰も傷つけない方法を考えた。
「でも、土地はどうするんだい?」
「そんなの、創れば良いだろ?」
俺は悪戯っぽく言ってから、いちかちゃんに目配せした。
「そうね。まず私の土魔法を使って太平洋のど真ん中辺りを埋め立てるわ。大きさはオーストラリア大陸くらいかしら?」
「で、その後俺が魔力プレスで潰して頑丈に圧縮する。そしてまたいちかちゃんが土魔法を……って繰り返す」
「それから、私の植物魔法で植物を生やして」
「動物は、ダンジョンの魔物で良いだろ。資源もダンジョン。ダンジョンは俺も持っているし、なんなら他のところにあるでっかい奴をいくつか移動すれば良いだろう」
なんなら、魔法石やアイテムは俺の魔力次第でいくらでも生成できるし。
大陸そのものを、あのカナヘビのダンジョンの支配下に置いてしまえば防衛も完璧――住む住民の数を考えればどう考えてもそんな広い必要はないんだけど。
なんなら家一軒建つ広さで良いまであるけど。
出来れば食べ物とか資源とかはあまり輸入に頼らないで自分でなんとか出来る状態にした方が良いに決まっているし、出来れば俺に攻撃できないようにするためには輸出もしたいし。
人手は賢そうな魔物を従魔にすれば解決しそうだから気にしなくて良いだろう。
そう言って計画を立てていると、孔明くんが目を点にしていた。
「佐島くんがとんでもない力の持ち主だってのは解ってたけど……まさか天地開闢に等しいことまで出来るなんて」
「ん~。流石に未だビッグバンは起こせないと思うけど」
「起こせたら困るよ!!!」
「と言うわけで、領土はまぁ問題なさそう。海の方は黙らせれば良いし」
埋め立て地が認められないって話は知っているけど、まぁ、大陸型のダンジョンが現れた!! って設定でその辺はゴリ押してしまおう。足りなければ拳で語る。
それで、主権は王国って言うくらいだし俺――と言いたいけど、俺はいちかちゃんに逆らえないから実質俺といちかちゃん。
「領民は……まぁ、いちかちゃんと後は俺の家族かなぁ?」
「それに関して何だけど、佐島くんが国を創ったら寵愛の星みたいな……強い職業やスキルを持っている人たちも民として受け入れてくれないか?
……元からそう言う風潮はあったけど、佐島くんの一件でそう言う人たちを排除しようって動きが世界中であるから」
「あー」
まぁ、そう言う動きがあるのは知ってた。
それに……俺にこれだけ攻撃的なんだから、他の村人以外の職業持ちにも風当たりが強いのは当然か。
半分は俺の責任みたいだし……
「まぁ、土地は余るだろうから別に良いよ。……でも、俺はそう言うの苦手だから纏めるのは孔明くんがやってよ」
「うん。勿論だよ」
まぁ、この提案をした時点でそのつもりだったみたいだが。
慧眼を少しだけ借りられるようになって、見えてくるものも増えてきた。その情報から言えるのは、孔明くんはきっとこれからも俺の友人で居てくれる存在であると言うことだ。
色んな意味で信頼できる。裏の目的も含めてね。
◇
そんなこんなで、話が決まってからは割と早かった。
人魔になってから、俺といちかちゃんの魔力量は以前にも増して増えていて大陸の土台を創るのには半日程度で済んだ。
全部が平野なら1分で出来たんだけど、山脈を創ったり川を創ったり湖を創ったり地下水を創ったり氷河を創ったりと色々と凝っている間にあっという間に時間が過ぎてしまったのだ。
その分、圧力とかの影響で作り物の大陸でも鉄鉱石や宝石は採れる可能性がある。
それから、ダンジョンを設置して大陸全てをダンジョンの支配下に置いた。
ポップ陣は起き放題だし、大陸に居る限りどこからでも魔物を出し放題。――俺は神じゃないけど、ダンジョンマスターであるが故にこの大陸はポセイドンにとっての海、最高神にとっての神の世界のような有利なフィールドにもなった。
因みにダンジョンの支配下にした影響と、俺の故意もあって、この大陸に生える木々は体力、筋力、敏捷、魔力のどれかが増える木の実をならすものだったり、近くにあるだけで体力や魔力を回復させるものが多かったりするし、生えている草もその大半は調薬の原料になるものばかりになった。
普通の植物なんてどこにもない。いちかちゃんの植物魔法スゴい。
後は、電気や水道が使えるようにするためにダンジョンや魔法を駆使してインフラを軽く整備したり、簡単な家を1000軒くらい雑に建てて、カナヘビダンジョンの最奥には俺といちかちゃんの家を建てた。
親父たちやいちかちゃんの両親の家も、作りはしたんだけど……長らく住んだ土地は離れたくない、と断られてしまった。
次の仕事が見つかるまで、少しお金を貰えれば十分だ、と。
こんなご時世だし、一緒に住んでくれた方が色々と安心なんだけど……。まぁヘルメスピジョンは付けてあるし、念のため――今は1500体に増えつつある殺戮機械人形を護衛に付けておいたから万が一はないと思うけど。
それでも、心配であることは確かだった。
でも、祖父ちゃん祖母ちゃんは俺のところに来てくれた。
何でも、ひ孫の顔がそう遠くないうちに見れそうだし。とのことだった。
……あれ、俺といちかちゃんがしたことバレてます?
と言うわけで祖父ちゃんと祖母ちゃんの家を新潟からそのまま最奥に持ってきて、ダンジョンの最奥で俺の家とお隣さんである。
祖父ちゃんと祖母ちゃんは俺の両親に、危なくなったらこっちに来なさいね、と言っていた。
後は、まぁ大陸の上の方にも寵愛の星の人たちを始めとして移民が増えつつあるらしい。建物が足りなくなると思いきや、土木系の職業を持つ人も居るし、食料も最初の内はいちかちゃんの時間魔法と植物魔法を駆使して基盤を作ったら、後は上の人たちが勝手に色々と自給自足を始めた。
俺はそんな彼らを応援するべく、手早く力を付けられるようにゴールデンフェアリーパピヨンのポップ陣を大陸の至る所に設置しておいた。
……そう言えば、ゴールデンフェアリーパピヨンを倒しても俺だけじゃなくていちかちゃんもレベルが上がらなくなったのは最高神のせいだろうか?
そんなこんなで、大陸の上の方は勝手に――孔明くんが取り仕切る中発展していく。その間、俺といちかちゃんはいちゃいちゃしながら。
覚えたての猿のように、何度も何度も飽きることなく――自堕落で退廃的に過ごしていた。
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