パワーレベリング

 レベリングに最適なダンジョンがあるから皆でレベリングしませんか? と言う俺の提案は親父の「俺はそう言うの好かんし、いい」の鶴の一言によって、他の皆も「じゃあ私もいいや」「儂も遠慮しとこう」と続いて断ってしまった。

 いちかちゃんの両親も「靖くんの両親も遠慮してるし、僕も良いかな」と、断られてしまった。


 鶴の一声と言っても、掃き溜めに住んでそうな鶴である。


 なんで断られたんだろう。……パワーレベリングが嫌いなのかな?

 いや、別に親父もお母さんもそんなにゲームしないし。かといって魔物を殺すのも実際に鶏を絞めたことがあるとか言っている親父が忌避しそうな雰囲気はないし。

 う~ん。マジで解せない。


 しかし、レベリングを断られたからと言って俺は親父たちが、俺の名前があの機械音声によって世界中に広まったことによって何かしらのトラブルに巻き込まれないか心配なのだ。はいそうですか、と諦めるわけにはいかない。

 なので、俺は最初はカナヘビに護らせようかと思ったけど、カナヘビが「主殿と離れたくない」と言うので、なにか良い感じに親父たちを護ってくれそうなモンスターをダンジョンの管理者権限で見繕うことにした。


 そのモンスターは『ヘルメスピジョン』


 伝令神ヘルメスに関係あるのか、そもそもヘルメスがいるのかは謎な蒼い鳩のモンスターである。

 もしその身に危険が及ぶと、仲間や主に危険を知らせる鳴き声を届けるらしい。

 その鳴き声は、例え地球の裏側にいても、主の元には届くのだとか。


 とは言え、神の使いを名乗るだけあってヘルメスピジョン本体もかなり強い。

 主に回復魔法で仲間の傷を癒やしたり、結界で護ったり、風魔法や翼で体当たりして攻撃したりすることが出来るらしい。

 とりあえずダンジョンで出せる最大のレベル999で、召喚コストは一羽頭五兆DPくらい。


 そのステータスは大体が七千億前後で、最も高い魔力だけ三兆と全体的に高水準である。まぁ、この数値はレベル999に加えて、従魔師のスキルの補正や俺の数値の暴力の補正込みではあるんだろうけど。それでも相当高いのは事実だった。

 これを俺はとりあえず俺の両親と祖父母といちかちゃんの両親と祖父母に一匹ずつ着けて、護るように命令した。


 魔力威圧と筋力威圧でちゃんと怖がらせて『服従』させたので、まぁちゃんと護ってくれると信じている。

 いちかちゃんはまぁ、ヘルメスピジョンより強いし。それにそんなの着けなくともちゃんと俺が護れば問題ないだろう。


 まぁ、これからのレベリングで俺よりも強くなってしまう可能性は大いにあるけど……。

 そんなこんなで、みんなにレベリング断られて悄げてた俺を救う天使ないちかちゃんのレベリングが始まったのである。





                    ◇




「四元素魔法『プロミネンス』」


 一階層にポップする何百匹ものゴールデンフェアリーパピヨンの群れ。それを覆い尽くす爆炎は一階層の全てをものの数秒で消し炭に変えた。

 うぉぉぉぉおおお!! 魔法だ!!! 魔法だ!!!


「スゴいね!!!」


「そ、そう?」


 洞窟内で炎が燃えたはずなのに、体力が減る様子はない。一酸化中毒とか、どうなっているんだろう。と言うかあの魔法は魔力からどうやって変換されたんだろう。

 見ただけでは解らなかった。だが、これだけは言える。魔法って格好良い!!


 いや、正直威力だけなら魔力プレスとそんなに変わらない。いや、魔力プレスの方が多分強い。でも、炎を吹き荒らすというのはそれだけでかっこよくて、美しいのだ。あぁ、俺も魔法使いたい。


「ね、ねえ。カナヘビ、俺も魔法とか使えたりするのかな?」


「うむ。主殿は魔法のスキルなどがあるのか?」


「ないけど……」


「なら無理じゃな」


「そうなんだ……」


 スキル性なのか。自力習得とか出来ないのか。いや、未だ諦めない。ダンジョンのアイテムにスキルオーブ『なんちゃら魔法』みたいのがあるかもしれないし。

 うん、あとで見てみよう。


 そんなこんなで、いちかちゃんが職業『魔女』になって得た『四元素魔法』の水の最強魔法、風の最強魔法、土の最強魔法を見せて貰っている内に、階層はどんどん下に下がっていく。

 その間に、やはり経験値豊富なゴールデンフェアリーパピヨンを倒した影響か、魔女の職業レベルも上がって、魔法が『陰陽魔法』や『聖魔法』『光闇魔法』『生体魔法』など、使える種類がどんどん増えて行っていた。

 他にも『錬金術』や『調薬』『呪い』など魔女っぽい力は様々だ。


 流石に全部は見せて貰ってないけど、どれもこれも有用そうな能力である。その上職業レベルがMAXになったときの修得スキル数が俺よりもかなり多かった。

 良いなぁ。俺も従魔師じゃなくて魔導師とかが良かった。でも、魔女って見た感じだと魔法使い系の最上級っぽいし、そのくせ女性限定職っぽいんだよなぁ。

 魔女の男版の職業とか思いつかないし。

 ファンタジーにありがちな、魔法は女性の方が親和性が高いとか言うアレなのだろうか?


 ただ、魔女の最後のスキル『火炎完全耐性』は少しだけ闇を感じた。魔法があれば火あぶりなんて効かないだろうに……


 そんなこんなで、やはり経験値効率がこのダンジョンで出せるモンスターでは最高のゴールデンフェアリーパピヨン。

 最終回層はレベル999の群れがあるだけあって、いちかちゃんも、最終回層のゴールデンフェアリーパピヨンを全滅させる頃には流石にそのレベルは999に至っていた。


 MAXとは表示されてないけど、今までの感じだと1000以上になってもおかしくないくらいに経験値? が入ったとも思う。

 999が上限なのか、それとも1000にあがるのは莫大な経験値が必要なのか。あるいは、解放条件があるのか。


 よく解らないけど、いちかちゃんのステータスはこんな感じになった。


名前 小林いちか

体力 9984兆7463億2800万/9984兆7463億2800万

筋力 41兆2151億4000万

魔力 1749京4925兆0458億

敏捷 4兆1215億1400万     ▲

Lv 999

元数値

体力 5億3876万

筋力 5億3876万

魔力 16億2828万

敏捷 5億3876万

職業 魔女

スキル ▼

『柔軟Lv35』『体力増強Lv24』『体力増強Lv20』『体力増強Lv18』『体力増強Lv16』『筋力増強Lv18』『筋力増強Lv18』『筋力増強Lv16』『魔力増強Lv78』『魔力増強Lv46』『魔力増強Lv34』『魔力増強Lv30』『演算Lv23』『鑑定LvMAX』『アイテムボックスLv24』『超回復Lv19』『超再生Lv17』『敏捷増強Lv18』『敏捷増強Lv16』『体力強化Lv18』『体力強化Lv16』『筋力強化Lv17』『敏捷強化Lv17』『魔力強化Lv29』『魔力強化Lv27』『ダメージ軽減Lv19』『ダメージ軽減Lv17』『ダメージ軽減Lv15』『魔力効率増強Lv36』『経験値増加Lv12』

職業スキル

『四元素魔法』『光闇魔法』『魔法制御』『調薬』『植物魔法』『錬金術』『魔法印』『聖魔法』『呪い』『生体魔法』『詠唱破棄』『魔法完全耐性』『契約魔法』『魔法付与』『天災魔法』『魔法耐性貫通』『魔力耐性貫通』『召喚魔法』『時空間魔法』『火炎完全耐性』

特殊スキル

『審美眼』『スキル重複』『体力自動回復』『精神完全耐性』『物理完全耐性』『魔力完全耐性』『アイテムストレージ』『真眼』『魔眼』『超鑑定』

固有スキル 『慧眼』

称号『魔女を極めし者』


 新しく増えた魔女を極めし者は、魔力量を5倍にした上で魔法の威力を底上げしたり、魔力の効率が上がったり、魔法に関係するスキルの効果が上がったり、レベルが上がりやすくなったりする超万能称号だった。


 この称号の影響か、魔力量が凄まじいことになっている。因みに、職業補正で魔力量のみだが2倍の補正まで掛るみたいだ。あれ? 魔女って最強の職業?

 それと、レベルが999と言うことも遭って体力の数値が得に凄まじいことになっている。筋力も俺の1/10くらいはあるから、実質的な耐久は恐らく俺の1.2倍くらいはあることになる。


 いや、ダメージ軽減のレベルとかで、その限りではないんだけど。


 そんなこんなで、レベリングは完了した。

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