世界初の攻略者
ダンジョンの最奥部に居た、蛇の尻尾をもつライオンキマイラ。
俺の魔力威圧をものともせず、ダンジョンに入る前に確認した俺の体力と筋力の数値の倍以上はある怪力。
もし、キマイラを出してしまえばこのダンジョンが出現した新潟県――否、その周囲の県で甚大な被害が出ることは予想に難くない。
絶対に負けられない戦い。その決着は、結論から言えば、実にあっさりとしたものだった。
魔力硬化で作った壁をキマイラの上にのっけて、その上から俺が殴りつける。
ただそれだけで、キマイラはぺしゃんこになって消え失せてしまった。
確かに、キマイラの数値は凄まじかった。それこそ、ダンジョンに入る前の俺なら苦しい戦いを強いられていたかもしれない。
しかし俺は、このダンジョンに侵入してレベルだけなら自分よりも高い敵をかなり多く倒してきた。故に俺も、強くなっている。
具体的な数値を示すなら、あの荘厳な扉の前で見た――キマイラと戦う前の俺のステータスがこんなものである。
名前 佐島 靖
体力 55万1240/55万1250
筋力 36万7500
魔力 1億3043万2500
敏捷 28万5000 ▲
Lv 25
職業 なし
スキル ▼
『鑑定 Lv26』『敏捷増強Lv74』『体力増強Lv96』『筋力増強Lv82』『超回復LvMAX』『超再生Lv5』『並列思考Lv7』『魔力増強LvMAX』『魔力増強Lv64』『農業Lv11』『教授Lv12』『柔軟Lv42』『ダメージ軽減Lv52』『魔力効率増強Lv63』『遊泳Lv50』『魔力強化Lv31』『隠密Lv22』『体力強化Lv9』『敏捷強化Lv6』『筋力強化Lv7』『経験値増加Lv4』『アイテムボックスLv2』『経験値増加Lv10』
特殊スキル
『精神完全耐性』『俊足』『剛力』『体力自動回復』『魔力操作』『魔力吸収』『魔力完全耐性』『魔力解放』『魔力威圧』『超演算』『物理完全耐性』『瞬歩』『縮地』『神速』『加速』『体力吸収』『体力貯蓄』『審美眼』『関節可動域増加』『金剛力』『筋硬化』『筋力威圧』『阿修羅』『スキル重複』
固有スキル『反復試行』
筋力の数値一つとっても、キマイラの約20倍。20倍だ。
その力量差はネズミと人間くらいはあると言っても良い。
元のステータスの数値が50で、レベル9まではレベルが一つあがるごとに魔力以外の全ステータスは25ずつ上がって、10~19までは50ずつ。20だけが100で、21~25は75ずつ上がった結果、俺は素のステータスで1250ある。
魔力は使い込んでいる影響なのか、倍の2500である。
そこから更に、魔物を倒すことでレベルが上がった『増強』や『強化』などのスキルの補正が掛るのだ。
素の1250、2500でさえヒグマにくらいなら殴り勝てる数値なのに……。
ダンジョン内では走り回れなかったから、今まで筋力と同じだった敏捷がここにきて少し足りなくなってしまったが、それにしたって二十八万五千である。
ダンジョンに入る前の6500でさえ、10歳の39kgの肉体なら音速を超える速度で走ることが出来たのだ。
その20倍……冗談抜きでマッハ20越えられそうな数値だ。殺○んせーかよ。
それに、一番高い魔力に至っては一億三千万。ダンジョンに入る前の俺が『魔力威圧』で気絶するほどの数値である。
『魔力威圧』によって日本列島に居る人間を任意で気絶させることくらいは余裕で出来てしまいそうな数値である。
綺麗に真ん中取れれば中国でもいけるかもしれない。ロシアは広すぎて怪しいが。
そんな――スキルとレベルアップと日々の鍛錬によって更に馬鹿げた数値になった『魔力』『体力』『筋力』『敏捷』を手に入れた俺が、数値上のステータスならキマイラの20倍以上ある俺が負けるはずがなかった。
そりゃ、3倍程度までならお互いの体重差や体格差によってステータスの限りじゃないのかもしれないが、流石に20倍はステータスだけでゴリ押せるようだ。
そんなこんなで、ものの数秒でひねり潰して。光の粒子になっていくキマイラを眺めていると、少し遅れて数時間前に、ダンジョンに入るときに聞いたようなファンファーレが脳内で響いた。
《キマイラの討伐が確認されました。世界で初めてダンジョンが討伐成されたのを感知しました。ダンジョン内の全てのモンスターの討伐が確認されました。120分以内にダンジョンが攻略されたことを確認しました》
聞き覚えのあるような、機会音声が次々と言葉を並べ立てていく。
《報酬として全ステータスの元数値が+1000されました。称号『蹂躙する者』を獲得しました。》
元の数値が+1000? それに、称号? それがどんなものなのかは解らない。
ただ、キマイラを討伐したことで上がったレベル分含めて。称号やステータスを確認しようと思ったら、もの凄く嫌な気配がした。もの凄く異様な気配だ。
《攻略者の条件が満たされていることを確認しました。
エクストラボス『ナイトメア・ナイト』がこれより出現します》
それは闇だった。圧倒的に暗い闇の穴。
小さなブラックホールのようにすら見える、異様な空間から出てくるのは、俺の倍の身長はありそうな、全身黒鎧の――騎士のような生き物。
人間なのか、モンスターなのかは解らない。
ただ、そいつが敵だと言うことは解る。
俺は固唾を呑んで、緊張した気持ちでその『ナイトメア・ナイト』を鑑定する。
種族名 ナイトメア・ナイト
名前 デュラン
体力 5万7255/5万7459
筋力 8万7990
魔力 159万9000
敏捷 6万7890 ▲
Lv 75
職業 悪夢騎士
スキル 『剣術LvMAX』『体力増強Lv35』『筋力増強Lv47』『魔力増強Lv82』『敏捷増強Lv38』『魔力耐性Lv9』『物理耐性Lv8』
特殊スキル『体力自動回復』『筋力威圧』『魔力威圧』『魔法反射』
「あぁ――」
確かに凄まじい数値ではあるけど。キマイラを倒す前の俺にさえ及ばない。
キマイラを倒したことで多分レベルが上がっていて、その上報酬で少なくとも全ステータスの元数値が1000ずつ上がって強くなった俺だ。
元数値だから、スキルによる補正を考えればその強化は1000どころじゃないし――結果はお察しの通り、エクストラボスの『ナイトメア・ナイト』とやらも、一撃でぺしゃんこだった。
《エクストラボスの討伐が確認されました。エクストラボスの100倍以上のステータスが確認されました。報酬として魔力以外のステータスの元数値に+2000、最も高かった魔力のみ+5000されます。全てのスキルレベルが+10されます。
また、称号『数値の暴力』を与えられます》
この時ばっかりは、機械音声すらも乾いた笑みを浮かべているような気がした。
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