グレードアップ

 小学生に上がったとは言え、やることと言えば幼稚園生の頃とそう変わらない。


 朝六時に起きて、一時間ほど町内会を走り込み。朝ご飯を食べてから、軽く筋トレをする。そして全力疾走で登校。

 家から小学校まで1kmくらいあるが、今の俺なら走って4分だ。


 そして授業中は延々と魔力を操ったり観察したり、鑑定でクラスメートや先生の名前を見まくったりしながら時間を潰していた。

 小学一年生の勉強なんてひらがなカタカナの練習とか一桁の足し算とかそんなものだ。正直抜け出して筋トレとかしたいところだが、そう言うわけにもいかないので仕方なく魔力の鍛錬に比重を置いていた。


 お陰で小学生に上がってから、魔力量と魔力操作の練度がかなり上がった。

 ただ、やはり資本となるのは肉体だと思うので昼休みは校庭を何周も走り回ったり鉄棒で懸垂したり……時間が減った分、密度の濃い筋トレを心がけたい。


 まぁ、俺の小学校生活も中々充実していた。

 強いて悩みの種をあげるとすれば給食がクソ不味いと言うことくらいか。最初は「なつかし~」とか思ったけど、三日食えば音を上げるね。

 甘すぎるカレーとかあまなつサラダとかべちゃべちゃの麦ご飯とか全てにおいてお口に合わない。


 あぁ、後はあまりにも一人で筋トレしたり走ったり魔力トレーニングばかりしてたら先生が「偶には友だちと遊んだら?」とか言ってくるのも少し面倒ではある。

 ……友だちとか居ないし。いや、前の人生でも小学生の頃は流石に友だちの一人や二人くらいは居た気がするが、そいつらは同じクラスになるのもっと後なのだ。


 そんなこんなで、途中誕生日を迎えつつ、人間関係ドブに捨てて三ヶ月――最初の夏休みまで鍛えまくった結果がこれだ。


名前 佐島 靖 

体力 39/42

筋力 36

魔力 42

敏捷 36     ▲

Lv 1

職業 なし

スキル ▼

『鑑定 Lv6』『敏捷増強Lv3』『体力増強Lv4』『筋力増強Lv3』『超回復Lv6』『演算Lv9』『精神耐性Lv7』『魔力増強Lv4』『農業Lv4』

固有スキル『反復試行』


 そう。『補正』スキルがグレードアップして『増強』スキルになったのだ!!


 増強スキルはステータスの値+Lv×0.5×ステータスの値……例えばLv4なら元のステータスの三倍の数値(加算分がステータスの倍)に強化されるのだ。

 Lv4にして強化倍率が三倍なのだ! Lv1の時だけは、強化倍率が2倍から1.5倍に下がって不便もあるが、しかし、それが気にならないくらいには強力なこうかである。


 具体的に表現するなら、今の俺の筋力は運動部の中学生に匹敵する。


 ソースは鑑定スキルだ。

 Lv6に上がってようやく他人のステータスまで見れるようになったのだが、ステータス的には補正込みでも別に肉体派というわけではない親父にすら負けそうな勢いだった。


 そう聞くとイマイチに感じてしまうが、元が七歳児の貧弱ステータスなのだ。仕方がないと言えば仕方がない。


 対して、魔力の成長はかなり凄まじかった。


 以前は灯火だのたき火だのに例えていたが、魔力量が増えてくると、操れる量も増えてどちらかと言えば水……粘体……のような名状しがたいものになる。

 絶対量が増えたことによって、魔力に対する質量を感じるようになったのだ。


 身体に纏わせてみると、魔力はやや重たいし、なんかこう乾いたスライムのような不思議な感触をしていた。

 これがどう活きるのかは解らないけど、授業中の暇つぶしとしては以前よりも上々だ。触覚があると弄り甲斐も出てくる。


 まぁ、魔力はあると楽しいけど、役に立ちそうにないって事実はそう変わらないのだが。あるいはもっと増えれば、何か変わるかもしれない。


 他はまぁ、順当にレベルが上がっただけなので語ることはないが。


 こうしてスキルレベルが上がって、中にはグレードアップしたものもあると言うのに、今までと変わらぬペース……何なら、上がる速度が少しずつ加速しているような気さえするのはやはり固有スキルである『反復試行』の影響なのだろうか。


 前の人生でも、黙々と繰り返すのは好きだったけど、ここまで上達するのは速くなかったし……あるいは、このスキルもLvに現れないだけで成長してるのか?

 それとも、このスキルを観測して意識したことによって効果が発揮されるようになったのか。

 よく解らないが、俺に恩恵をもたらして居るであろうことは確かなので素直にラッキーだと思っておく。


 それに、こうして鍛えれば鍛えた分だけLvとして、ステータスとして結果が出てくれるのはモチベーションの維持にも繋がるしね。


 そんなこんなで今日から夏休みだ!


 一学期は……と言うか小学校は、授業時間で四時間近く拘束されるから魔力ばっかりで筋トレと走り込みが疎かになっていた。

 お陰で魔力のレベルが、体力に追いついたほどだ。


 特にこれから六年間、授業中の大半を魔力につぎ込むことを考えればあっという間に俺は魔力特化になるだろう。

 でも、だからこそ、出来るときには筋力と敏捷と体力を鍛えておきたい。


 あと、出来ればそろそろ新しいスキルも習得したいところである。


 そんな、夢いっぱいの夏休みを胸に描きながら。気負いなく、レベリングに費やせるように。今日のところはとりあえず、夏休みの宿題に勤しむことにした。

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