スキル詳細

『佐島 浩介』

『佐島 明恵』


 鑑定スキルのレベルが3に上がったことで、人の名前も鑑定スキルによって判明するようになった。

 確かに、前の人生で22になるまで一緒に住んでいた両親だ。名前を間違えるはずがないし、この鑑定の効果は確固たるものだろう。


 ただ、流石によくよく観察してもステータスウィンドウのようなものは見えなかった。試しに「お母さん、掌見して!!」と尋ねてもやはり、見えなかった。


 鑑定のレベルが足りないのか、そう言うものなのかは解らないが、鑑定のレベル上げを兼ねて、最近は両親を見ながら筋トレしたり、ランニングコースも少しだけ人通りの多い場所を選ぶようになっていた。

「朝早くから偉いね」と褒められながらするランニングは中々に悪くないのである。


 そんなこんなで、冬休み期間中の大半を筋トレと走り込みを体力の限界まで続けてクールタイムは灯火からたき火サイズまで大きくなった魔力を動かしたり観察したりして魔力を高める訓練を繰り返した。

 正月は祖父母の家に行くことになったが、筋トレの成果か、畑仕事での働きぶりは大いに喜ばれて2000円のお小遣いを貰った。ラッキーだ。


 とまぁ、俺はとても有意義な冬休みを過ごしたわけだが。しかし、最も有意義だったと思うのはこれだ。


スキル

『鑑定 Lv3』――見たものを鑑定する。レベルが上がるにつれ情報は詳細になる

『敏捷補正Lv6』――敏捷に補正をかける(1.Lv倍)

『体力補正Lv7』――体力に補正をかける(1.Lv倍)

『筋力補正Lv6』――筋力に補正をかける(1.Lv倍)

『超回復Lv3』――身体ダメージを食事することによって回復する。ダメージを受けた部分は強化される。

『演算Lv3』――計算しやすくなる。

『精神耐性Lv5』――精神攻撃に対する耐性を得る(Lv/10)

『魔力補正Lv2』――魔力に補正をかける(1.Lv倍)


固有スキル『反復試行』――反復して試行する場合の効率化、および成長率に補正がかかる(反復回数によって倍率が増える)


 そう。鑑定のレベルが上がったことによって、スキルの説明が入るようになった。


 例えば補正系の1.Lv倍というのは体力補正ならLv7だから1.7倍になるってことだろうと予想出来るし、精神耐性は5だから5/10……つまり、精神に対する干渉や攻撃の効果を半減にするってことなのだろうと予想出来る。


 効果自体はなんとなく解っていたが、その倍率が知れたのは意外と大きかった。


 特に耐性に関しては半減程度じゃ気休めにしかならなさそうな気がする。そんな微妙な耐性で「精神耐性Lv5だし大丈夫か」と油断していたら完全に死亡フラグだった。いや、まぁこの平和な日本でこの耐性が生きる日が来るのかは解らないが。


 それに比べて、補正系はかなり役立つだろう。


 1.6~7倍は一見微妙に感じるかも知れないが、ゲームだとノーリスクでこれだけの補正が掛るスキルは滅茶苦茶優秀であるように感じる。

 例えば握力40kgの人が64kg~68kgくらいに強化されるって考えればなかなかのものではないだろうか。


 まぁ、俺は今六歳だし補正込みでも16kgが精々だろうけど。


 他には鑑定とか演算の内容自体は予想通りだったが、『超回復』の効果は予想以上だった。名前からして筋肉に関係してそうだなぁとは思っていたし、超回復自体をばっさり説明するのならあんな感じなんだけど。

 それでもスキルとして『食べるだけでダメージ回復。おまけにダメージの分だけ成長』と現れていると、何かスゴそうな気がしてくる。


 それに『反復試行』

 効果は、反復して繰り返すと繰り返した分だけ成長および効率化に補正が掛るというものだ。

 固有スキルって言うだけあるし、効果も――恐らくLvが上がるごとに必要経験値?みたいなのが増えそうなスキルも順調に上がっている辺り、かなり有用なのだと思う。


 ただ、こう。このスキルに関しては鑑定によって見えるようになただけで、前からずっと――前の人生でも持っていたような、そんな親しみがあるのだ。長年連れ添った相棒的な。


 まぁ、とは言えスキルの詳細を知っても知らなくても俺がやることは根本的には変わらない。

 今日も、明日も、明後日も。


 酸欠寸前になるまで公園で走り込んで、魔力を練って、全身の筋肉が悲鳴を上げるまで腹筋、腕立て、スクワットを繰り返して、魔力を練って、ご飯を沢山食べて、また筋トレして、魔力を練って、走りに行く。

 その中に、偶に中学・高校数学のおさらいをして『演算』のレベルを上げたり、土日両親の連れ添いで祖父母の家の畑仕事の手伝いをしたりして。


 収穫、除草、肥料撒き全ての手伝いをした影響か、いつの間にか手に入っていた『農業Lv2』のスキルを上げたり。

 そんなこんなしている間にあっという間に時が流れて、卒園式を迎えた。


 意外だったのは、未だに俺が園歌とさよなら僕たちの幼稚園を覚えていたことだ。前の人生でも記憶力は悪い方ではなかったが、スキルの影響か。あるいは、俺の人生なにもなさ過ぎて、些細な記憶を忘れられるほど思い出がないだけなのか。

 後者はあまりにも哀しすぎるので「俺、記憶力ある! 天才!!」と気分を無理矢理奮い立たせた。


 因みに、幼稚園では黙々とずっと一人で筋トレばっかやってたので友だちも居ないし、そもそもこの歳に戻ったのが12月中旬だったので思い入れもない。


 強いて言えば、この三四ヶ月スキルを鍛えまくったことが思い出だ。


名前 佐島 靖 

体力 18/20

筋力 18

魔力 12

敏捷 18     ▲

Lv 1

職業 なし

スキル ▼

『鑑定 Lv4』『敏捷補正Lv8』『体力補正Lv9』『筋力補正Lv8』『超回復Lv4』『演算Lv6』『精神耐性Lv6』『魔力補正Lv6』『農業Lv3』

固有スキル『反復試行』


 三ヶ月前に比べて倍近いステータス!!

 補正のレベルが高いのか、この年齢の子供の成長が早いのかは解らないが、どちらにせよ、非常に嬉しかった。


 それに、スキルレベルも、体力補正を始めとして補正系がそろそろ10に上がりそうなのだ。10に上がったらカンストするのか、11があるのか。

 カンストしたとして、次のスキルがあるのか想像するだけで胸が膨らんでいく。


 そんなこんなで、更に春休み。いつも以上に筋トレと走り込みと、魔力鍛錬に励み――今更ランドセルにワクワクしない、それどころかハードな恥ずかしさを感じる俺も小学生になった。

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