第54話 無4
忍海君が、こちらの世界に居た。
それは、驚きとともに、でも、私が殺しちゃったから――居るか。と思っていた。そういえば、私は、この部屋から、出れないはずだったけど……今は、忍海君のそばにいる。あの部屋から出ている。今私がどこに居るのかは、わからないけど――部屋?ちょっと、古い感じの部屋に、忍海君と立っている。
そして、先ほどから天井?の方から声がする。忍海君が、話しているが。この声が……神様?なのだろうか?
そんなことを思っていると、神様と忍海君の話は――私を殺せば、忍海君はまだ、現実世界に戻れると。そんな話になっていた。ちょっと驚いたというか……複雑な気持ちに、一瞬はなった。でも、すぐにそうか、私が死んだら。忍海君。まだ、戻れるんだ――現実世界に。と思うと。
私は、忍海君から少し離れた。どのように、殺されるのかはわからないけど、あまり近くに居ても、忍海君がやりにくかったり。もしかしたら、返り血?というのだろうか。そもそも、今の私に、血が流れているかはわからないけど、それが忍海君にかかってしまうのは、避けないと。と思い。距離をとった。
神様と話していた、忍海君から「了解」との声が聞こえた時。あー、私、殺されるんだ。こっちでも死ぬんだ。
でも……忍海君ならいいかな。と、目を閉じた。そして、迷惑をかけたことを、再度心の中で、謝りつつ。忍海君の行動を待った。
――本当は……もう少し、忍海君といろいろ話したかったな。と、あの本のことも、もっと初めの方から、感想の話し合いをしてみたかったな。と、
それに、中学の時――私が、もっと忍海君のことをちゃんと見ていたら。ちゃんと、話していたら。未来は違ったのかな。とか。私が、あの時行動していれば、忍海君も、つらい日常だけじゃ……なかったのかな。とか、私が思った時だった。
バキッ。
と、木?が折れるような音がした。……気になった私は、そっと目を開けてみた。
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