第35話 13時10分
たまたま、だったのだろうか。忍海君が歩いていた道は、適当だったと思うのだけど。そのまままっすぐ道なりに歩いて行くと。私の行きたかった場所の近くまでやって来ました。
「……事故後。初めて来たけど、特に、何か残っているわけでは――――ないよね」
私が、引っ張って来た忍海君は、なんで、止まった?と、いう顔を今しています。
「おい、どうした?迷ったか?」
「……違いますよ」
「っか、行く。って、言って引っ張られてきたが――俺たちどこ向かっているんだよ」
そんなことを聞かれましたが。ここで答えると「なんで知っているんだ?」と。なるかと思いましたが。もしかしたら、忍海君には時間がないかもしれません。上手に理由を付けて――。
「……ここは、な、長瀬さんでした?今の私の姿」
「――ああ」
「その方が……亡くなったところですね」
「――――――――はっ?」
私が話すと忍海君は固まった。というのでしょうか。多分、学校でも噂になっているはずなので、交通事故のことは知っているだろうと私は思いつつ。自分のことを、忍海君に話します。
向こうの世界的に、自分のことを言うのは……多分NGではないみたいだったので。そもそも、規制みたいなのは、ほぼ無い気がしますが。私が知らないだけ?まあ、大丈夫でしょう。今も話せましたし。
「そ、そうなのか?」
「……はい」
「って、なんで、お前が、知っているんだ?案内人が」
「……さっき考え事していた時に――――向こうの力を使って、調べてました」
多分これなら大丈夫だろう。と、私は続けます。
「……自殺した場所。ね。こんな住宅地の横断歩道でか……なんで」
「――――――うん!?」
今なんて言いました?
「どした?いや――向こうの力とかで、調べたんなら知ってると思うが、長瀬、自殺したって……」
――――――――待って、待って。
私の過去と違うことを、忍海君言ってるんだけど?これは――どういう事かな?私自殺なんてしてないよ?ただ、横断歩道歩いていただけなんだけど……。
「えっと……自殺?誰が?」
「うん?違うのか?」
「その――――彼女は自動車事故に巻き込まれたのだと……」
「はい?いや、俺が聞いたの……っか。先生らは確か――長瀬は転校した。という話にしたみたいだが……俺はそのあと、先生らの話で、自殺したみたいなこと――まあ、盗み聞きみたいな感じで知ったんだが……」
おかしい。おかしいですよ。なんか私の知らないところで、違う情報が流れていたみたいです。これは、彼の最期までにちゃんと話しておかないと。
「……私の得た情報では、彼女は、自動車事故に巻き込まれています。自殺ではないです」
「と、聞かされてもな――――」
「……じゃ、目的地に行って聞いてみましょう」
「――うん?」
私は、また忍海君の手を掴み。歩き出します。そして、事故現場から歩いて少しのところに、忍海君を連れて行きたかった場所があります。
13時10分。私は、数年ぶりに自分の家の前に立ちました。
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